付き合いが長い同性の幼馴染みがいるのですが、彼女はすぐに他人のものを奪おうとするので鬱陶しいです。
同性の幼馴染みで友人でもあるプレリアは他人のものを奪うのが大好きという困った性質の持ち主だ。
おもちゃ、アクセサリー、衣服、そして恋人――とにかく彼女は私のものを奪いたがる。
これまでもずっと被害を受けてきた。
だが、そんな私たちもそういう年齢になり、お互い婚約者ができた。
私の婚約者は領主の息子であるドルタム。
彼女の婚約者はそこそこ地位のある農家の息子であるウォッカ。
それぞれ婚約者ができればややこしいのも少しはましになるだろう――そう思っていたのだが。
「ねーえ、ドルタムさんってどう?」
プレリアは早速私の婚約者について探ってくる。
「どう、って……どうしてそんなことを聞くの?」
「何それぇ、隠したい系? 必死ねー」
「いやべつにそういうわけではないけれど、でも、急に聞かれたから。どうしてかなーって思ったのよ」
「べつにぃ、普通の会話だってばぁ」
何だろう、いちいち鬱陶しい。
放っておいてくれればいいのに。
でもなかなか逃れられないのだ。
長い付き合い過ぎて。
今さら「縁を切りたい」なんて言えない。
「そう……」
「で、どんな感じ?」
「そうね、まあ、普通よ」
「普通!? 何それぇまたぼやかしてぇ」
「ぼやかしていないわよ?」
「ぼやかしてるじゃなーい。普通、なんて!」
「そうは思わないけれど」
「んもぉ、そういうのをぼやかしてるーって言うのよ」
その時はそのくらいで話が終わった。が、その後、プレリアはドルタムに手を出した。そのことが判明したのは、ドルタムから「接近され誘われた」との報告を受けたからだ。私はドルタムに謝り、それから、プレリアがそういう人間だということを説明し納得してもらった。
危うくまたもや奪われるところだった……。
ただ、ドルタムはそういうところに関してきちんとした人で、だから泥棒猫プレリアなんかにはなびいていなかった。
――素晴らしい人、ありがとう!
「そっか。彼女はそういう人だったんだね」
「そうなんですよ、すみません、何というか……恥ずかしいし、申し訳ないです」
「でもさ、そんな人となら縁を切ってしまえば?」
そう言われたら、諦めていた心が蘇ってくる。
プレリアと離れたい。
そういう心。
いちいちややこしい人とは離れたいものなのだけれど、これまでなかなか上手くいかなかった。でも、いつかは離れるべきだろう。生涯に毒を注入するような人とずっと関わりを持っていては絶対に被害を受けるから。
「昔からの付き合いだからなかなか離れられなくって」
「はっきり切るといいよ」
「そう、ですよね……ありがとうございます。そうしてみようと思います」
ドルタムに言われて、心を決める。
「そうそう! その方がいいよ」
「頑張ってみますね」
私はプレリアのところへ言って縁を切ることを告げた。
「ごめん、もう関わらない」
「ええー? どうしてぇ!?」
「縁は切るから。さよなら、プレリア」
――その後。
私はドルタムと結ばれ、幸せになれた。
彼との関係は刺激的なものではない。特別なものではないし、ロマンチックな要素もない。ただ、そこには、ほっとできるような温もりがある。ドルタムといて良いと思うところは、安心して過ごせる、というところだ。
そうそう、そういえば、プレリアはあの後婚約者ウォッカから婚約の破棄を告げられてしまったそうだ。
というのも、ドルタムに手を出そうとしていた間ウォッカをずっと放置していたようで、それによって彼を怒らせてしまっていたようだ。
ずっと放置して、結婚する気がない。
ウォッカはそう判断したようで。
それによって関係の解消を宣言されたようだった。
ま、自業自得だ。
プレリアは他人の相手に手を出していないで自分の相手と向き合うべきだったのだ。
そうしていれば婚約破棄になんてならなかっただろう。
ただ、驚いたのが、プレリアは婚約破棄された数日後にウォッカを殺めてしまったそうなのだ。
返却物を渡そうとしたというていで家に押し入って、刃物で刺したらしい。
ああ、恐ろしい……。
◆終わり◆




