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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 3 (2023.1~12)  作者: 四季


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幼い頃、森で虹色のりんごをかじってしまい、その時からざまぁスキル持ちになりました。

 私、リーザ・エフェクテは、幼い頃家からそう遠くない森で遊んでいる時にかじってしまった――虹色のりんごを。


 そして、ざまぁスキルを手に入れた。


 りんごを食べてスキル取得?


 珍しい話かもしれない。

 でもこれは事実。

 こういう事例がよくあるか否かは定かではないが、私に関しては紛れもない事実なのである。


 ある時は。


「リーザのぶりっこ! 最低キモ女!」

「あんたって男受け良くしようと思い過ぎじゃねーの」


 同性からそんなことを言われたが。


「……っ、む、虫!? ぎゃああああああ!!」

「うげえええ! うげえええへぇぇぇ!」


 その人たちの頭に大量の虫が降ってきて、それによって追い払えた。


 またある時は。


「ねーちゃーん、一発どうだい?」

「かわええのぉ~」


 街中で怪しい男たちの声をかけられたが。


「ぎゃ!」

「ぐぼえ!」


 突然現れた通り魔に男たちだけが刺されたためにナンパから逃れられた。


 ――そういうことは多々あったので、本当に、このざまぁスキルには色々お世話になってきたのだ。



 ◆



「え……、レイアさん、どうして女性と……?」


 レイアというのは婚約者の男性の名だ。


「お前こそなぜこんなところに?」

「私は本を返しに……」


 借りていた本を返すべく彼のもとへ向かったところ、自室で私の知らない女といちゃつくレイアを見てしまった。


「ねーぇ、この女、誰?」

「ああ、彼女は、言ってた婚約者」

「あーそっかぁ。ま、話の通りだねっ。地味だし」


 私はレイアを責めるようなことを言ってしまった。


 すると。


「あーあ。もういいよ鬱陶しい。じゃ、お前との婚約は破棄するから」


 急にそんなことを言われてしまった。


「あの……待ってください、そんな、急な……」

「うるせーよ」

「お願いです、もう少し待って……」

「うぜえよ!」


 ――だがそこでスキルが発動。


「ぐぼじぇへぇぇぇぇぇぇぇッ」


 突如口から大量の血を吐き出すレイア。


 女は驚いて彼から離れた。


「ちょ……あなた、レイア様に一体何したのよ……?」

「ええと、これは多分」

「多分……? 何よこれ!!」

「ざまぁスキルです」

「はぁ? スキル? ざまぁ? ……意味分かんない」


 女は何が何だか分からず困惑していた、が。


「何でもいいけど! あなた気持ち悪いのよ!」


 ――そう言ってしまったために、彼女までもざまぁ対象に入ってしまって。


「きゃあああ!!」


 突如倒れた背の高いたんす。

 それが女性に襲いかかる。


「いやあああ!!」


 そして、そのたんすによって、彼女は押し潰された。


 たんすの下からはすすり泣く声。


 今助ければ何とかなるかもしれない。

 まだ生きているのだから。


 でも私は助けはしなかった。

 なぜなら、ここで助けても、さらなる悲劇に見舞われるだけだから。


 悲劇は少ない方が良い。



 ◆



 あの事件、私のせいとはならなかった。


 かなり残酷な出来事だった。

 でも私も被害者として話が進んだ。


 いや、実際、ほぼそうなのだ。


 ……ざまぁスキルを発動させたのは私自身ではない。


 それからしばらく、街の人たちは、その話ばかりしていた。


「聞いた? レイアさん、浮気してて急死したんですって」

「血を吐いたとか」

「うっわ、それは怖いわね……」


 レイアは死して時の人となった。


 ま、だから何、という感じだが。


 レイアが有名になったからといって私に得があるわけではない。


「まさか、リーザさんの能力?」

「え、あんな噂信じてるの」

「ええ! 何でも、ざまぁスキルとかいうのを持っているとか! きっとそれが事実だったのよ!」


 ただ、楽しげに話す人たちを見ているのは楽しかった。


「ないない~、そんな嘘みたいな話」

「そうかしら? あるんじゃない?」

「そんな都合の良いスキルなんてないわよ、きっと」

「そうかしら」


 良い暇潰しにはなった。



 ◆



 あれから三年半、私はたぬき顔の青年と結婚することができた。


 彼はスキル無効化スキルを持っている。

 だから私のざまぁスキルが効かない。


 それも結婚に至った理由の一つであった。


 ……もちろんそれだけのことで決めたわけではないけれど。


「貴方に出会えて良かったわ」


 夜、意味もなく、口を開く。


「え。そ、そう? またいきなりだね? でも嬉しいよ」


 彼はお湯を沸かしながらでも速やかに言葉を返してくれた。


「だって、ざまぁスキルが効かないんだもの」

「えっ、それって嬉しいことかな」

「ええ。嬉しいことよ。だって、ちょっとしたことで死なれては困るもの。共に生きてゆくなら、こんなスキル、効かない人との方が良いわ」



◆終わり◆

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