これまでのように私の婚約者を奪おうとした妹でしたが、その結果痛い目に遭いました。~ざまぁみろ、です~
妹ネネは私が良い物を持っているのが許せない性格だ。
だから私が少しでも良い物をてにしているとすぐに全力で奪いにかかってくる。
酷い時には私を悪者にしてでも。
さらには両親に嘘をついて二人まで巻き込んで。
ネネは愛らしい面の持ち主だが、それとは真逆の黒い人間なのである。
――そんなネネが今回奪いにきたのは婚約者だ。
彼女の婚約者は農家の長男。
私の婚約者は油の生産で資産家となった家の一人息子。
その組み合わせをネネは喜んでいなかった。
プライドが高く常に私を見下していたいネネにとって、自分の婚約者の方が階級が下であるということが許せなかったのだろう。
……農家の長男も悪い身分ではないのだけれど。
◆
「妹さんさ、最近よく僕のところに来るんだけど」
ある日婚約者ビフスから聞いたのはネネの接近だった。
「えっ」
まさか奪おうとしている?
また嘘をついて?
そう気づき、ゾッとした。
ネネはまだ私のものを奪い取る気なのだ――しかも、婚約者などという、物でない人まで。
「なんかさ、よく分からないこと言うんだよ。姉に虐められてきて~とか」
「ええっ」
「あれ、嘘でしょ」
「……ええ。妹は、ネネは、嘘をつくの……すぐに」
運が良かったと思ったのは、ビフスがネネの言葉を信じきってはいなかったこと。
彼は疑ってくれていた。
だから説明の余地があった。
「彼女は私のものを奪うのが好きなの。だからビフスさんも多分……狙われているのだと思うわ」
「なるほど。そういうこと、か」
「変な話でごめんなさい。でも! どうか信じて!」
するとビフスは笑った。
「もちろん、信じるよ。婚約者の言葉だからね」
嬉しかった。
とても。
私の言葉を信じてもらえたことが。
両親はいつだってネネの味方だった。私が真実を述べても、それを信じてもらえたことはなくて。信じるどころか嘘つき扱いされたことだってあるくらいで。とにかく私は悪者扱いされてばかりだった。
でもビフスは違った――彼は私の言葉を信じてくれたのだ。
「そうだ、今度さ、ネネさんの前ではっきり気持ちを言うよ」
話すたび彼のことが好きになってゆく。
彼とならどこまでも行ける。
そう思える。
今は彼と行くことを欠片ほども恐れはしない。
「僕、ネネさんと仲良くなる気なんてないから」
「迷惑……じゃない?」
「いやいや。僕には君という存在がいるから。他の人は要らない」
「……何だか恋する乙女みたいね」
「はは、そうかな」
「でも……いいの? 本当に?」
「もちろん! 言うよ、君の前ではっきり!」
「ありがとう」
ビフスに出会えて良かった。
今、心の底からそう思う。
◆
「ビフス様ぁ、呼んでくださるなんてぇ~光栄ですわぁ! ……って、どうして姉さまがいますの」
ネネは私がいることに気づくと表情を固くした。
二人きりだと思っていたのかもしれない。
「ネネさん、僕は、貴女と関わる気はありません」
淡々と話し出すビフス。
「ええ~? どうしてそんなこと? いいじゃありませんの、ちょっとくらい。だってわたくし、婚約者の妹ですわよ?」
「寄ってこられるのが不愉快なんです」
「ま! まさか姉さまがそのようなことを?」
「違う。僕が、だよ」
「ビフス様……どうして……」
ネネは泣き出した。
……彼女は嘘泣きも得意なのだ。
「僕には素晴らしい婚約者がいるんです、貴女に興味はありません。ですからもう近づかないでください」
「うっ、うっ……酷い、姉さまに洗脳されているんですわよね、っ、うっ……姉さまのせいで、っひく、変わってしまわれた……う、うっ、ううっ……」
「もう話すことはありません、さようなら」
ビフスは一礼し、私の腕をそっと掴んで、歩き出す。
「ま、待って……!」
ネネが追いかけようとすると。
「言いましたよね、近づくなと」
ビフスは驚くくらい冷ややかな目でネネを睨んだ。
以降、ネネはビフスに近寄らなくなった。
たまたま道で出会った時も、ビフスを見て怯えたような顔をしていた。
さらにネネはその後婚約者から婚約破棄された。
何でも、ビフスにすり寄っていっているところを婚約者に見られていたそうなのだ。
そのことでネネの婚約者だった彼は腹を立てたようで。
姉の婚約者に寄っていくような女は無理、とのことで、婚約破棄を宣言されたようだった。
で、それによってネネは壊れた。
「いやああああああ! 婚約破棄なんてええええええ! 何よあのくそ男ぉぉぉ、低階級のクセにいいいいいいい! 大金持ちでもぉぉぉぉ、ないくせにぃぃぃぃ、生意気なのよおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ! きいいいいいいい! きえぇぇぇぇぇぇ! 許さないわぁぁぁぁぁぁ! ふざけるんじゃないわよおおおおおおお!」
彼女は一日中激怒し叫び続けるようになっていった。
でもそんなことは私は関係ない。
だって私はもうビフスのもの。
血の繋がりはあるけれど、今や彼女との縁なんて切れたも同然だ。
ちなみに、私とビフスは今、ボランティア団体を立ち上げて貧しい人や災難に見舞われた人たちをサポートする活動を行っている。
日々とても忙しい。
でもやりがいは確かにあって。
だから嫌いではない。
ありがとう、と言われると嬉しいし。
◆終わり◆




