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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 3 (2023.1~12)  作者: 四季


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婚約破棄されましたが落ち込んでいる暇はありません! ~日々仕事が忙しいのです~

「お前との婚約は破棄する! お前との縁はここまでだ、もうすべておしまいにする」


 婚約者オーウェンからそう告げられたのが、昨日。


 彼は私ではない女性を愛した。

 そしてついに私を捨てた、切り落としたのだ。


 でも、だからといって、のんびり落ち込んでいる暇はない!! ――なんせ私にはやるべきことがあるから。


 じっとしてはいられないのだ。


「いらっしゃいませ!」

「こんにちは~、久々ねぇ元気にしていた?」


 そう、我が家はアイス専門店をしている。


 だから毎日忙しい。


 自分で言うのも何だが……これでも結構人気店である。


「はい! とっても元気です!」

「ふふ、なら良かったわぁ」


 そして、今日もまた、顔見知りがやって来る。


「今日は抹茶アイスがいいわねぇ」

「ありがとうございます! 抹茶を気に入っていただけていて嬉しいです!」

「四つお願いねぇ」

「承知しました!」

「持ち帰りに時間がかかるからねぇ、冷却成分多めで頼むわねぇ」

「はい! いつも通りですね!」


 仕事時間中はあれこれ忙しくて大変さもある。が、知っている人と会えるのは嬉しいし、お客さんから「美味しかった」「良かった」と言ってもらえることもまたとてつもなく嬉しいことだ。だからこそ日常の苦労も痛くはないし日々乗り越えられている。


「いつも本当に美味しいアイスをありがとうねぇ」

「いえいえ! こちらこそ買っていただいて感謝しています!」

「美味しいんだものぉ、買うわよ。ここのアイスは特別、だからたくさん買いたいの。うふふ、いつも最高よ」

「そんな……嬉しいです、本当に。ただ、少し照れてしまいます」

「あらそう? 誇っていいのよ? 可愛いわねぇ」


 たまに嫌なことがあったって、いつかは乗り越えて。先へと、明日へと、一歩ずつでも着実に進んでゆけるのだ。



 ◆



 オーウェンに捨てられてから半年。

 私は今も親と共にアイス専門店を営んでいる。


 この暮らしにももうすっかり慣れた。


 もう何も怖くない。


「おう! 来たぞ!」

「あ、こんにちは」

「今日はだち五人と来たんだ! ここのアイス美味だからな!」

「ありがとうございます」


 私はこれからも未来へと歩んでゆく。

 この店の中で。


 多くの人に喜んでもらう、そのために。


「あれとこれとこれ、で、それ、とか、あれとか。いいか?」

「はい!」

「じゃあそういうことでお願いしまーす!」

「承知しました」


 ――ちなみにオーウェンはというとあの後女性と結婚するもある時女性の母親に失礼な行為をしていまい怒られ最終的には離婚ということになってしまったのだそうだ。


 で、今は一人、夜の街を彷徨っているらしい。


 まぁもうどうでもいいことなのだけれど。


「なんだこれ! うめえ! こんなうめえの食ったことねえ!」

「すげえなお前っ、言うだけあるなっ」

「神アイスじゃね!? うおっ、うおお、もっと食いたいくらいだわ! ホント神だわ!」



◆終わり◆

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