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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 3 (2023.1~12)  作者: 四季


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婚約者が女性といちゃいちゃしているところを目撃してしまったので、その様子を撮影して国民向けに流すことにしました。

「ねーえ、もっと触れて?」

「ああ」

「あたしのこと、好きぃ?」

「好きだよ」


 その日、まさかのシーンを目撃してしまった。


 婚約者ルーベルタンが自室に女性を連れ込んでいるところ。

 しかもソファで女性に覆いかぶさるようにして。

 お互いに甘い声を発しながら絡みを楽しんでいる場面だ。


「でもぉ、婚約者いるんでしょお?」

「いるけど、でも、形だけだよあんなの」

「そうなのぉ?」

「ああ。当たり前だ。あんなのは形だけの婚約、愛しているわけじゃない。向こうだってそうだろうよ」

「そっかぁ~」


 ルーベルタンは女性と手を握り合いながら深く口づけを交わす。


「だからお前は何も気にしなくていいんだ」

「そう?」

「ああ」

「本当に?」

「そうだ、愛しているのはお前だけさ」

「そっかぁ~、なら嬉しい~」


 私はすぐに状況を理解できなかった。

 でも、動かない脳のまま、これを何とか記録しなくてはと思った――よな気がする。


「婚約、破棄してくれるぅ?」

「いやそれはまだ無理だな」

「ええっ」

「だって決まってしまっているからな」

「そんなぁ……」

「だが、こうやって生を楽しむことはできるさ。これからもずっとな。だってあの女、馬鹿そうだから」


 馬鹿そう、て!


 ……いや、そんなことに怒っている場合ではない。


 こっそりこの光景を撮影することにした。


「……そうなのぉ?」

「ああ、気づかないだろ」

「そうかしらぁ……でもぉ、不安だわぁ……」

「まったく、可愛いなぁ。心配性過ぎるだろ。いいんだよ、何も気にしなくて」


 撮影魔法。

 これは私の得意な魔法だ。


 見ていることがばれないように、気をつけながら魔法を発動。

 いちゃつく二人の姿を確実に捉え刻む。

 婚約者の浮気に近い行動なんて見たくないけれど、今だけは仕方ない――記録するためにはその光景をきっちりと見なくてはならない。


「心ゆくまで愛を語らおう」

「そうねぇ~」


 今はそうやって油断していればいい。


 近く、二人の関係は壊れる。

 それは間違いないのだから。


 その果てに後悔すればいい。



 ◆



 いちゃつきを撮影した日から一週間、私は、撮影した写真を複数の新聞社に持ち込んだ。


 するとそれは一気に拡散。

 婚約者がいる身で他の女といちゃいちゃしているみっともないたくさんの写真が多くの人の目に触れることとなる。


「ルーベルタンの記事見た?」

「あれやばない?」

「ほんとサイテーよね」

「何あれ意味不明だったわ。婚約者いるんでしょ? なのにあんなことしてるんでしょ? あーもう腹立つ!」


 それによってルーベルタンの評判は最悪なものへと変わった。


 そして私は動き出す。


「ああいう行為をしている方と結婚するなんて無理ですので、ルーベルタンさん、貴方との婚約は破棄します」


 関係の解消。

 それが我が選択。


「ま、待ってくれ! それはさすがに……慌て過ぎではないか!? 婚約破棄なんて! 評判が落ちるぞ!?」

「いいんです、真実は多くの人が既に知っていますので」

「あ、あんなもの! 浮気ではない! そうだろう? ちょっとした遊びじゃないか!」


 今になって焦っても無駄だ。


「さようなら、ルーベルタンさん」


 彼との縁は今日切れた。



 ◆



 あの後ルーベルタンは国民から強烈に批判され、それを苦に自殺した。


 呆気ない最期だった。


 だが可哀想ではない。

 自業自得だから。

 すべて、彼の悪しき行いが招いたことだ。


 さぁ、私は、過去を捨てて未来へ行こう――!


 希望を持ち直して。

 未来へと。


 まずは一歩、踏み出すのだ。



◆終わり◆

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