婚約者とその母親が呼び出してきたのですが、そこで告げられたのは婚約破棄でした。~花たちが繋いでくれた、良き縁~
「あんたはあたしの息子には相応しくないわ!」
婚約者レッフィーブとその母親に呼び出されたと思ったら。
「悪いがリリー、お前との婚約は破棄とするッ!!」
関係を叩き壊すような言葉を発されてしまった。
「え……」
思わず漏れてしまう声。
「分かったな? 婚約は破棄、だ」
「そうよ、そうすべきと母さんも思うわ」
「そうだよな」
「ええ。こんな女、あたしが大切に育ててきた宝のようなレッフィーブには相応しくないわ」
レッフィーブと母親はそんな風に言葉を交わしていた。
――こうして私は捨てられたのだった。
◆
あれからというもの、私は、実家の庭にて花を育てている。
花を見ていると癒やされる。
嫌なことなんて全部忘れられる。
だから私はいつも花を育て眺めるのだ。
そんなある日。
「あの、すみません」
色とりどりの花を眺めていると、声がして。
面を持ち上げてみると。
「あ……急ですみません、えと……」
「はい?」
「そのお花、凄いですね。とっても綺麗です、いろんな色で」
「そうですか……!」
私が作り上げてきた物を褒められた。
それはとても嬉しいことで。
子どもを褒められたかのような感覚だった。
「僕はピレといいます」
「私はリリーと申します」
花を介して知り合った私たちはあっという間に仲良くなった。
「素敵なお名前ですね!」
「いえいえ……」
「あの、少し、よければまた見に来ても大丈夫ですか?」
「はい! もちろんです!」
こうして私はピレと定期的に会うようになった。
会う場所はいつも実家の庭。
特別な意味で二人で会う、というよりかは、彼が花を見に来てくれている、というような意味合いに近い。
そんな風にして関わっているうちに私たちは段々仲良しになっていった。
「今日も来ました!」
「ありがとうございます……!」
「しかし今日も綺麗だなぁ」
「こっちの列は新しいのが咲いたんですよ」
「わっ! 本当だ! 凄い……! 珍しい色だね」
「そうなんですよー」
共に美しい花を見つめていると、心と心は次第に接近してゆく。
そして――。
「結婚しませんか?」
ついにその日が来た。
ピレから投げかけられたのは、将来を誓い合うところへと至るための言葉。
「はい……!」
私は少しも迷わなかった。
こうしてピレとの未来へと進んでゆく。
◆
あれから二年半、私とピレは二人で一つの家に住み、その庭にてたくさんの花を植え育てている。
家の周囲が花々に囲まれている、これはとても嬉しく幸福なことだ。
……お世話は少々大変だけれど。
ちなみにレッフィーブはというと、あの婚約破棄の数日後に庭の大樹を伐ってから不幸に見舞われるようになってしまったそうだ。
恐らく、大樹によるたたりだろう。
レッフィーブの父親は仕事が急に失敗して借金だらけになり自殺。
その妻であるレッフィーブの母親はその事実に耐え切れず正気を失ってしまい、たまたま通りかかっただけの近所の人に刃物を持って襲いかかったために警備隊に拘束され、拘束中に謎の死を遂げた。
そしてレッフィーブは、急に両親が亡くなったことで心を病み、しばらくは自室にこもって生活していたものの一年も経たずに母親と同じ道を辿ることとなった。
――ということだそうだ。
◆終わり◆




