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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 3 (2023.1~12)  作者: 四季


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助けてあげてきたのに婚約破棄なんてするのですね? 良い覚悟ですね。では私は最後に一度復讐して去ることとします。

「うわっ、っ、う、うわああああっ」


 婚約者レデスィンとの出会いは、細やかなものだった。


 その時の彼は、雨上がりの道端で、一匹のかえるに襲われていた。

 否、襲われていたわけではない。

 ただ、かえるに貼りつかれてしまって、それが嫌で騒いでいたのだ。


「大丈夫ですか? ほら、取れましたよ」


 私はかえるなど平気だったので、彼の服に貼りついていたそれを指でつまんで剥した。


「あ……あ、あ……」

「ほら、ここです。かえるはもう離れました」

「あ、ありがとうございます……!!」

「災難でしたね」

「はい……」

「……かえる、お嫌いなんですか?」

「そうですよ! だいっきらい! かえるだけは無理なんです!」


 その一件で私たちは知り合った。

 そしてそれから時折会って話すようになっていって。


 それで婚約したのだ。


「かえるから生涯護りますね!」

「嬉しいです……! ありがたい、ありがたい……!」



 ◆



「お前との婚約なんぞ、もう破棄とする」


 レデスィンは変わってしまった。


 仕事場の女性の後輩プーリアが現れてから。


 ……もっとも、先に手を出したのはプーリアではなくレデスィンなのだが。


 私とて、そのくらいのことは知っている。


「何て顔してるんだ、情けない」


 優しくて面白かった彼はもういない。


「驚きますよ。いきなりそんなことを言われたら。誰だって驚くものでしょう」

「そうか? お前だって知っているだろ、俺は今プーリアだけを愛してるって」


 かつての彼は消えてしまった。


「後輩の方……ですよね」

「そうそう。俺は今、もう、彼女しか見えない。だから婚約なんか破棄することにしたんだ」


 そうか、婚約破棄か。


 もう彼は決めているのだろう。

 そしてきっと私が何を言っても意味なんてないのだろう。


 ならば最終プランで。


「分かりました。でも……少し、残念です」


 私は隠し持っていた袋を取り出し、その口を彼に向けて開ける。


 するとそこから大量のかえるが飛び出してきた。


「ぎゃ……っ、んあッ!?」


 レデスィンが大嫌いなかえる。

 それを彼に与えよう。


 それも、わざとらしいくらい、大量に!


 そのくらいしなくては駄目だ――だって嫌がらせなのだから。


「うわああああああ!!」


 パニックに陥るレデスィン。


「か、か、かえるぅぅぅぅぅ!? 嫌だ、ぁ、嫌だぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


 かえるたちに一斉に襲いかかられ、レデスィンはもはや冷静さなど欠片ほども持っていない。


「ぎゃああああ!! ぼぅふええええええッ!? ぴぎゃあああああ! ぴぎゅおあああああああ!! 嫌だあああああッ!? ひぃっ、ひっついて――ああああああああ!!」


 レデスィンは窓の方へと走り、急いで窓を開けると、そのまま飛び降りた。


 垂直落下したレデスィンの身体。

 その生が保たれるわけもなく。

 地面に叩きつけられ彼は一瞬にして生を終えた。


「ふう。……さ、帰ろ」


 これで婚約破棄してきたことへの復讐は終わった。


 彼も滅んだし。

 もうこれ以上は望まない。



◆終わり◆

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