晩餐会の会場にて、婚約者からいきなり婚約の破棄を宣言されてしまいました。
「本日をもって、お前との婚約は破棄とするッ!!」
晩餐会の会場に響き渡る宣言。
それは私を切り捨てるための言葉だ。
広がるざわめき。
誰もがいきなりのことに動揺している。
心揺さぶられているのは、私だけではない。
「破棄……」
「お前みたいな地味で顔の良さもそこそこくらいのくせに勘違いして偉そうに振る舞い高飛車で奉仕の精神のない女は見たことがない! お前は女性の中でも最低レベルだ。気の利いたことも言えないし、くだらないことばかり言うし、皆に尊敬されるほどの美女でもない……ああもう二度と関わりたくない気分だ」
「そう、ですか……」
「だ! か! ら! もう二度と俺の前に現れないでくれ」
こうして婚約は破棄となってしまった。
「可哀想ね、あの子。あんな風に晒すみたいに婚約破棄なんて言われて」
「心ねぇなぁまじで」
「大事なことなんだからもう少し静かなところで言えばいいのにね」
「それなそれな~」
何もやらかしていないのに……。
罪なんてないのに……。
「あいつのことだから多分、勝手なこと言ってるんでしょ」
「そうよね」
「彼そういうところあるから」
「まじできめーわ」
「気の毒なお嬢さんね」
「あんな風にぼろくそ言うなんて、どうかしていると思うわ」
◆
「あー! もうっ、何なのよ! あの男ッ!!」
婚約破棄された日の夜中、自宅の二階の窓を開けて、夜空に向かって叫ぶ。
「あんなやつ最低よ! 酷すぎるわ、恥をかかせて! 傷つけて!」
心のままに。
「消えてほしいくらいよーッ!!」
刹那、星が流れた。
一つ。
ちらり。
きらりと。
「あ。流れ星」
◆
翌日、婚約破棄してきた彼が亡くなったことを知った。
彼は夜中に暗いままの状態の家の中を歩いていたそうだ。で、階段に気づかず階段の方へと進んでしまって。足を踏み外し、転落。その際に頭を打ってしまい、それによって亡き人となってしまったようだ。
……これって、あの流れ星の力?
彼の死を知った時、ふとそう思った。
根拠なんてない。
何となくの勘だ。
でもまったく無関係でもないような気がするのだ。
ただ、なんにせよ、不愉快な彼はもうこの世からいなくなった――そう思うと自然にほっとできた。
◆終わり◆




