婚約破棄と小鳥のさえずり。~黒いウエディング~
「お前との婚約は破棄し、彼女と生涯を共にする道を選ぶ」
婚約者レディアンは勝手にそう決めた。
そして私を捨てたのだ。
もうじき結婚する、そのつもりでいた私を。
レディアンを許せるはずもなく、しかし、それ以上に憎かったのはレディアンの隣にいたあの女――勝ち誇ったように睨んでくる彼女を許そうとは欠片ほども思えなかった。
他人の男を奪い、感じの悪い目つきでこちらを見る。
そんな人間が善良なわけがない。
だから私は決めたのだ。
――あの二人を地獄へ突き落してやる、と!
実家へ戻った私は前から飼っていた黒い小鳥を手に乗せて囁く。
「すべて壊してしまいなさい」
誰にも届かない声、それでいい。
だって私、誰かに言っているわけじゃない。
その言葉に伝えたい相手の人間なんていない。
運命に向けて言っているのだ。
レディアンらをこのまま幸せになんてさせてなるものか。
◆
レディアンとあの女の結婚式は最悪のものとなった。
式中に近くの火山が爆発。
飛んできた大量の噴石で会場は破壊された。
でも、まだ終わらない。
噴き出した熱気が会場へ襲いかかったのだ。
人々はそれに呑まれた。
もちろん、参加者のみならず、新郎新婦も。
そして皆生き残ることはできなかった。
レディアンも、彼の妻になるはずだったあの女も、そして参加していた人たちも――すべてほんの少しの時間でこの世から消え去ったのだ。
そう、これこそ黒いウエディング。
さて。
私はそろそろ未来へと進もうか。
復讐は済んだ。
もう私が呪うものは何もない。
これからは自由、私は私という人生の道を行けるのだ。
◆終わり◆




