アメジストのような瞳のせいで色々酷いことを言われてきましたが、ついにその目のおかげで幸せを掴める時がやって来ました!
「おかしな目の色ね! あんた! ほんと意味不明だわ、なーんであんたみたいなのを生んでしまったのか……ずっと後悔しているわ」
母はいつも私にそんな言葉を投げつけた。
「お前みたいなおかしな目の色だけしか特徴のない女、生まれてきてほしくなかった」
父もまたたびたびそう言っていた。
そんな私にも一時は婚約者がいた。
その名はヴェルディ。
彼は友人の紹介で婚約するに至った近所の八百屋の息子だった。
しかし、彼すらも、私が生まれながらにして持っているこのアメジストのような瞳を受け入れられなかったようで。
「君みたいなのはやっぱ無理だ。その瞳が、おかしな色の目が、遺伝したら大変だしな。もしそんなことになったら、絶対に、僕はその子を受け入れられない。だから――婚約は破棄させてもらうよ」
ある平凡な晴れの日、そう告げられてしまった。
でも仕方ないか――そう思う部分もあった。
だって私は実の両親にすらあんな風に扱われていて愛されていないのだから。両親が愛せないのにヴェルディは私を愛せるなんて、そんな都合の良いこと、あるわけがない。
「我が家の婚約破棄されるなんて恥だわ!」
「まだ迷惑をかけるとは……まったく、どうしようもない娘だ。もはや娘と思いたくもない」
私が婚約破棄されたことを知ると、両親は冷ややかな言葉だけを放った。
二人はどこまでも心なかった。
――だがそれから二週間ほどが経ったある日、新しい出会いがあった。
その日、私は、親に命令されて街まで買い出しに出掛けていた。そこでこっそり少しだけ寄った雑貨店にて、人生初となる異性に声をかけられるということを経験する。で、その彼と色々喋っていると、彼が隣国の王子であることが途中で判明した。
けれども彼は気さくな人だった。
しかも、私のアメジストのような瞳を褒めてくれた。
それから私は、彼――ヴォルと、定期的に会うことになった。
そして、交流開始から一年ほどが経ったある日、ヴォルから「妻となってほしい」とプロポーズされ――私はそれを受け入れた。
そうして私はヴォルが生まれ育った国へと行くことを決意した。
それから国を出るまでは色々忙しかった。
両親からも、ヴェルディからも、いろんな妨害工作をされて。
けれどもヴォルや彼の部下である人が協力してくれたので、何とか、妨害工作を潜り抜けて準備を進めることができた。
そして二十五歳の春、ヴォルと正式に結婚し、夫婦となった。
両親はその時になって調子良く接近してきた。ずっと可愛がっていたかのようにわざとらしく振る舞って。多分、王子の妻となった人間に近づくことで自分たちも利権を使いたかったのだろう。
でもそんなことはさせない……!
私は、これまで両親に言われたことやされたことを公表した。
それによって両親の悪さが世に知れわたり。
二人の評判は地に堕ちる。
彼らは二つの国の民からその行いを批判されることとなった。
で、母は自ら死んだ。
遺された父もまた、数年以内に体調を崩し亡くなった。
あ、そうそう、ちなみにヴェルディはというと――私が結婚した年の秋にヴォル暗殺計画を立てそれがばれてしまったためにヴォルの国の警察に拘束され、処刑された。
私はヴォルと生きられて幸せだ。
両親とか、ヴェルディとか、心なかった酷かった人たちのことなんてもうどうでもいい。
◆終わり◆




