最強レベルの魔力を持って生まれたエリー 王子との道は選ばず、愛を貫く。
平凡な家に長女として生まれたエリー・ミレニアは、今日、能力を調べるために王城へ来た。
これは年頃の女性の中で国王によって選ばれた女性らが受ける検査。
そこで秘めた能力を調べられる。
そしてその結果も考慮して国王は代々王子の伴侶を決めるのである。
エリーが水晶に触れると。
「な、なぬうううう!?」
水晶から凄まじい虹色の光が溢れ出し――やがてそれは爆発し、がらすを割ったかのように粉々になった。
「お……お主、一体……」
「陛下、彼女の魔力が莫大です。それこそ、世界をひっくり返してしまえるほどのものです」
「な、名は?」
「エリー・ミレニアさん、でしたかと」
国王はふうと己を落ち着かせるように息を一度吐き、それからエリーへ改めて目を向ける。
「エリー殿、どうか、我が息子の妻となってはくれんか?」
国王に言われてもなお、エリーは真顔のまま。
「う、うぬ……?」
「申し訳ありませんが、お断りします」
「な、なぜ」
「私には愛する者がおります。ですから、他の方の妻となることはできないのです」
「し、しかし……条件なら負けるはずが……」
そう、エリーには愛する人がいる。
今この場にはもちろん来ていないけれど。
「条件がどうということではないのです」
「ふ、ふぬうううぅぅぅぅぅ……」
「それでは私はこれで。用事はもう終わったようですので、帰らせていただきます」
エリーは愛しい人のことしか見ていない。他の人とか、相手の条件が良いとか、そういうことは彼女にとってはどうでもいいこと、そして些細なことなのだ。
「ううっ……断られてしまうとは……ううっ……ぼり、しょん、ぼり」
国王は拒否されてしょんぼりしていた。
◆
その後、国王の一人息子は、二番目に良いとされた女性と婚約。しかし、婚約後に女性から「思っていたのと違う」「まるで子ども、サイテー」などと言われ、最終的には関係を続けたいなら金を渡せなどと言われ、その婚約は破棄となってしまった。
それまでは理想的な淑女だったのに婚約直後から豹変した女性は、ほぼ詐欺師のようなものであった。
ちなみにエリーは、その頃には、既に愛する男性と結婚していた。
「王子より僕を選んでくれてありがとう~」
「当たり前でしょう、貴方を優先するに決まっているわ」
「でも~……向こうの方が条件良いのは事実だよ?」
「条件とかどうでもいいのよ。嫌な思いしない範囲なら何でもいいの。それより、私は、愛せる人と歩みたいわ」
エリーとその夫となった青年は、今、海の見える場所にある家にて二人で穏やかに暮らしている。
◆終わり◆




