母や姉からこき使われてきたので色々嫌で、少々無理矢理な感じではありますが神になることにしました。
「あんたなんて! ダサいのよ! それにいちいち行動遅くて鬱陶しい! だから黙って空気になってなさい!」
幼い頃から家ではあまり良い扱いを受けられずに来た。
というのも、母が色々喋る姉ばかりを可愛がっていて、大人しかった私のことは良く思っていなかったのだ。
そしてある程度成長すると、今度は段々こき使われるようになって。
いつしか奴隷に近いような扱いをされるようになっていった。
そんな日々の中、私はこっそりと花を育てていた。どこにあってもそっと咲き続け輝いている花というものに魅力を感じるようになっていったのだ。花だけはいつだって私の傍にいてくれる。私にも嫌な顔をせず寄り添っていてくれる。だからこそ、それは何よりも愛おしい宝物だった。
そんなある日、ずっと大事に育ててきたものが開花した。
あれはいつだったか……家から少し離れた海岸沿いで拾った珍しい形をした種、それを植木鉢に植えていたものがそれだ。
で、咲いた花は虹色だった。
花弁の形としてはチューリップに似ている。
「綺麗……嘘みたい、虹色で……」
それが咲いた日は嬉しかった。
とても美しかったから。
――そして、その日の晩。
『よくその花を育ててくれましたね、お嬢さん』
目の前に現れたのは半透明な男神。
最初は意味が分からなかった。
何が起きているのだろう、と思ってしまって。
理解が及ばなかった。
「え……」
『我がもとへ来てください、そうすれば貴方は幸せに生きられますよ』
「本当ですか……?」
『ええ。今のままの生活で良いのですか? 虐げられて』
「どうしてそのことを!?」
『神はすべてを知っているのです』
「え、ええ……そ、そうですか……」
よく分からなかったけれど、このままでよいのかと問われれば頷くことはできない心境。
だから私はここから離れることを選んだ。
「で、では……お願いします!」
『よし』
「よろしくお願いします」
『ではこちらへ来い』
その後神の国へと行くことになった私は、様々な神たちからもてなされ、迎えに来てくれた男神と結ばれることとなった。
……いや、何だこりゃ。
……急展開過ぎる。
でもあの場所にいても母や姉から嫌な思いをさせられるだけ。
ならばましかもしれない。
どんな場所にいても母たちのところにいるよりかはずっと良いだろう。
そう思って、この道を選んだ。
私は儀式を終え、神となった。
まだまだ新米の神だ。
でもこれから新しい未来が私を待っている――恐らく。
人々のために生きよう、これからは。
「これからよろしくねぇ」
「何でも教えてあげるわ!」
「力になるからね。困った時は何でも言って?」
「よろです!」
ああそうだ。
あの後私の母と姉には罰が下ったようだ。
母はある日郵便屋に襲われて亡くなり、姉はその後一人になって家のことは何もできなくなりしばらくして飢え死にした――ということになってしまったらしい。
ま、ずっと他人を傷つけてきたのだから、そのくらいの目に遭っても自業自得だろう。
◆終わり◆




