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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 3 (2023.1~12)  作者: 四季


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21/1282

王女と婚約した途端豹変した青年は、そのよろしくない行いのせいで婚約破棄されてしまったようです。

 一国の王女たる私レフィナは新興領地持ちの家の子息である青年ヴィッツと婚約した。


 その婚約は、両親にお墨付きをもらってのことだった。


 だが。


「何なのあいつ! 感じ悪いっ、威張り散らして!」

「ヴィッツだっけ? 嫌な人ねぇ」

「侍女だからってあんな人に見下されるのは嫌だわ」


 ヴィッツの行動は婚約を機に変わってしまった。


 それまでは慎ましく生活していた彼だったが、婚約した途端にやたらと大きな顔をするようになっていったのだ。


 侍女らからの評価は一気に低下した。


「レフィナ様! あの人一体何なんですか!? この前なんて同僚が急にいやらしい発言をされて……泣いていました!」


 さらにある時、若い侍女からそんなことを言われて。


「それは事実なのですか?」


 これはそろそろ本格的に対処しなくてはならないな、と思った。


 多分、ヴィッツは迷惑をかけすぎている。


「はい! 目撃情報、証言もいくつもあります!」

「そうですか……それは、迷惑をお掛けしてしまい、申し訳ありませんでした」

「あ、い、いえっ。レフィナ様は悪くありませんっ……」

「ですが責任は私にもあります。ということで、これから調査をし、問題を洗い出してから処分を下します」

「よ、よろしくお願いしますっ……!」


 若い侍女は何度も頭を下げていた。


 ……さて、どうしようか。



 ◆



 あの後、ヴィッツを呼び出して話をし、問題行動について問い詰めた。すると彼はそのことを認めた。主に、侍女らを見下したことや若い侍女に絡み少々性的な発言を投げかけたこと。


 で、きつく注意しておいた。


 もう今後そういったことをしないように、と。


 しかし、それでもまだ彼の問題行動は止まらなかった。


「注意してくださったのですよね?」

「はい」

「まったくもって改善していないですよ! またおかしなこと言われてますっ」

「……昨日も少し話を聞きました」

「そうですか」

「はい。ですから、今度は具体的に処罰しようと思っています」


 本当はあの時ばっさりいっておくべきだったのかもしれない――そう思いながらここまで歩いてきた。


 だからこそ、もうこれ以上ヴィッツの身勝手を許しておくことはできない。


 そしてもう一度ヴィッツを呼び出した。


「ヴィッツ、まだ色々やらかしているようね」

「えっ? してないしてない!」

「本当に? 文句が出ているけれど」

「ええー?」

「本当に、やらかしていないの?」

「やらかしていないですよッ!?」

「色々証言があるけれど。……本当のことを言って」


 するとヴィッツは黙ってしまった。


 ――それから少し空白の時間があって。


「ちょっとお喋りしただけでしょ」


 彼はそんなことを言った。


「余計なことを言ったわよね?」

「何それ」

「若い女性に言うのは失礼なことよ!」

「ああ……」

「言ったのでしょう? 可愛いとかセクシー過ぎみたいなこととか!」

「あ……は、はい……」

「言ったのね」

「あ、はい、魅力的でつい……」


 ヴィッツは私のどれだけ恥をかかせるのか。


 もう耐えられない。


「そう。分かった。もういいわ、貴方との関係は解消するわ。……婚約は破棄します!!」


 はっきりと言ってやる。


「えええええッ!!」


 するとそう返された。


「何で!? 何でですか!?」

「みっともない人とはやっていけないの」

「えええ! そんなぁ!」

「恥をかかせないで、私に」

「ぶほぉええええ!?」


 ヴィッツは「嫌だ! お願い許して!」とか「もう何もしないからぁ! 捨てないで! 捨てないでくださいよぉ!」とか言ってきたけれど、それによって考えを変える気は一切なかったので、そのまま話を進めて婚約は破棄とした。


 その後ヴィッツは婚約破棄されたショックで西の塔から飛び降りて死亡した。


 まさかの展開だったけれど――でももうどうでもいいことだ、今や無関係だから。


 その後私は皆に謝罪した。


 我が婚約者が迷惑をかけたことを、だ。


 侍女らは笑って許してくれた。


「いいですよ~、大丈夫ですよ~」

「姫様に非はありませんわ!」

「ずっと仕えさせてください! レフィナ様!」


 ――それから数年が経ち、私は、有力貴族の子息と結ばれた。


 ヴィッツとの関係はあんなことになって壊れてしまったけれど、今回は順調に結婚まで話を進めることができた。


 これからは彼と共に生きてゆく。


 彼と一緒に、この国をより良いものとするべく歩んでいきたい。



◆終わり◆

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