「貴女は女神の生まれ変わりです」そう告げられ、王子と婚約することになったのですが……冷遇されてしまい、さらには罪を押し付けられました。(前編)
「貴女は女神の生まれ変わりです」
それは二十歳を控えた秋のことだった。
突然家へやって来た聖者よりそのような事実を告げられ、そして、国を永く護ってゆくために王子ヴァルドと婚約することを求める手紙が手渡された。
まさかの展開に驚きはしたけれど、でも、王子との婚約それ自体は問題があるようなことではなかったので皆に祝福してもらえて――温かな言葉をかけてもらえて、前向きな気持ちで、私は王子ヴァルドのもとへ向かった。
――だがそこでは冷遇された。
「何よあの女。女神の生まれ変わりだからってヴァルド様と婚約? あーないわーないない、絶対あり得なーい。あんなダサいやつが王子の隣に立とうだなんてあり得ないことだわ」
ヴァルドファンであった侍女らからは悪口を言われてしまった。
「てかさ、普通辞退するよね? 相応しくない、って言って」
「それな!」
「そういうものですわよねぇ。これだから田舎者は。調子に乗って恥ずかしい……。こんなこと、田舎者と暴露しているようなものですわ」
「うけるわー、ドン引きー」
「しかもさ! それでうちらに受け入れてもらえると思ってんの! 普通に声とかかけてきて。きっつ、きつすぎるわ。無視されるでしょあれは」
少し質問したいことがあって声をかけたことすら、まるで愚者の行動であるかのように言われてしまって。
「なぁ、あいつと喋るなよ?」
「喋るわけがありませんわ、あのようなみっともない女となんて」
「恥かくわ」
「ないない! 喋るとか無理!」
しかも大抵無視された。
用事で声をかけること、挨拶をすること、それすらも許されなくて――すべて悪口の材料となってしまうだけであった。
さらにヴァルド王子も私を無視していた。
最初に会った日「お前とは口をきかない、なぜならどうでもいいからだ。俺には愛する人がいる。お前なんか形だけの婚約者、絶対相手にしない」と言われて、それきりである。
それから何度か、私は、婚約を取り消そうとした。
つり合わないから、と。
けれどもその訴えは認められず。
それどころか話をまともに聞いてもらうことすらできなかった。
無視するなら、悪くばかり言うなら、私を切り捨てればいいじゃないか。そうすれば私は勝手に去っていく。縋りつくようなことはしない。なのに切り捨てることはしないでいるのはなぜなのか。もしかしてサンドバッグにしたくて私をここに置いているのではないか、とまで思ってしまう。
――だがそんなある日事件が起きた。
ヴァルドが愛していた女性が謎の死を遂げたのだ。
彼女はヴァルドと夜を共にしていた。
しかし彼が少し目を離した隙に死んでいた。
「貴様! ガレッタを殺ったな!」
「いいえ! していません! 殺すなんて、そんなこと!」
私が一番に疑われた。
彼女を殺したのではないかと。
立ち位置的に無理もないか……。




