予想外の奇襲
遅れました...
このシリーズとは別に空戦の小説の準備をしています。
主人公機のリクエストとか希望あればくださいねー
「高度3000...3100...過給機変速。3200...」
コックピットに響くエンジン音。
今は機体の模擬戦形式の比較試験中だったはずなのだが...あの純粋な小隊員達とうちの格納庫の豊富な機種が合わさればあっという間に妖怪「あれ欲しいこれ欲しい」が発生するのは目に見えていたが、いかんせん動かすわけにもいかない。
なのでそのままにしていたら...
「サジタリオから試すってよ!」
「家にあったのか?なんだよ全く...」
呆れた表情の小隊員。
まあ機体変えるから、と言って元の機体に戻さなければ持っていないと判断するだろうが、家にあったなら俺も同じ反応をしただろう。
「えー...まあいいけど...」
って流れで今に至るんだが...
一糸乱れぬ編隊飛行。
各機の間隔は離れず近づかず棒が入っているかのように変わらない。
そんなことを思っていたら真下に機影が見えた。
塗装はドイツ空軍風のグレー。
シルエット的にはFw190系だろう。
あの機体達は前に乗った時の通り、強力なエンジンと頑丈な機体を持ち合わせる強力な高速戦闘機だ。
「海月、俺についてこい。ロッテを組んで一撃離脱を仕掛ける。」
今の高度は4000m。高度差もありそうそう負けるような高度ではない。
しかし向こうもシルエットからしてA型...
頭のおかしいロールレートと加速力を持つため、ついていけるかはわからない。
相手の腕次第だし...俺らは乗り始めの試験飛行のため大体の確率で負けが確定していると言ったところか?
「了解。小隊の各機へ...ご武運を!」
各機、機体を反転させ目下の敵機へ急降下する。
相手は回避機動を始めた...バレたか?
「海月と俺は右の二機をやる。左は任せた」
「了解!」
操縦桿を引っ張り機首を引き起こす。
「マウザーの弾幕を喰らいな!」
引き金を引けばちょっと掠っただけでも一瞬で敵はバラバラになるーーー
ーーーはずだった。
敵の機体の腹に機銃弾を叩き込もうとするもそのイかれたロールで避けられる。
「外してるけど?」
「いい動きだ。こりゃ一対一でもキツイな」
「ハァ...片方は逃げたよ。追う?」
「いや、追ったら多分一対一でボコされる。
決してロッテを解くなよ?」
「了解」
もう片方に分かれた二機の空域を見れば、そちらも押されていた。
「こっちは一機足りないな...堕とされたか」
「いや、滑走路に向かってるみたい。地上スレスレを飛んでるね。」
地上スレスレを黒い煙を曳きながら飛んでいる僚機が1。
上空では1対2の状況。
相手のFw190はその有利な状態を捨て、こちらに向かってくる。ヘッドオンは避けたい...。
この機体も機体はそこそこ頑丈だし、火力も高いがFw190は旋回性能と引き換えにその両方
を手に入れている機体だ。
とてもサジタリオと比べられるようなものではない。
「ヘッドオンはなんとしても回避しろ。旋回性能で後ろを取れ。」
各機がまとまって編隊を組み直す。
3機一隊のケッテだ。
「海月、後ろ!」
「OK、任せて!」
そう言うと海月はエンジン出力を絞り、機体を大きく捻って急減速。俺らはそれを援護する形でロッテを組み、相手の3機を相手に取る。
「行かせないぜ!」
「ああ、その意気だ!」
相手の2機は海月に向かっていき、急な減速に対応できず押し出され海月が後ろを取った。
俺らは単純旋回で相手の一撃離脱を回避しながらエネルギー切れを待つ。
「2機とも撃墜したよ!合流しよう!」
「やるな!俺らも負けてーーー」
次の瞬間、僚機は目の前で爆散した。
機体を反転させて下方を確認すると、パラシュートはちゃんと開いている。
大丈夫なようだ。
「チッ...」
「後ろに2機!上昇まで時間がかかるから少しだけ時間を稼いで!」
ーああクソっ!Fw190の火力では掠るだけでも片翼を持っていかれかねないのに時間稼ぎだと?出来ないなんて言えない。言ったら全国なんて目指せるわけもない。
ならー
スロットルを0まで下げる。
機首を上げて失速状態まで持ち込めば、勿論相手は前に押し出されていく。2機とも押し出されたのを確認してそのまま機首は下げない。
相手は耐えられないと降りてきたようだ。
ここからは俺のターンだ。
「右に旋回する。後ろに敵がついてくるのを叩けるか?」
「任せて!」
操縦桿を引き、機体が両翼から雲を発生させる。
ーそのまま...そのまま...ー
相手は限界まで速度が落ちている。
軽い機体で低速域でも運動性を保てる機体にサジタリオと違い、Fw190は不安定になり鈍重になる。
本来は旋回についてこないで加速して逃げ切るのが正解なのだが、ついてきているのを見ると相手は初心者なのではないかとさえ思う。
...油断とはこういう事を言うのだろう。
直後、俺は機体から脱出させられていた。
全く反応できなかった。
まさか。
まさか任せたもう一機が俺以外の全機を撃墜して、ずっと俺の機動を上から追っていたなんて思いもしなかった。
負けた。
実感もなく、結果だけが残った。




