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8 旅立ち

 シェリアと契約してから丸2日がたった。

 その2日間、何をしていたかというと、旅立ちに必要な準備をしていた。それは食料だったり、道具だったり、魔法等も教わった。

 だが…


 《力の源たる我が願う 魔の導きに従い 原初の炎よ 我が前に顕現し 烈火を放て オリジン・プラーミア!!》


  俺が詠唱する。すると、俺の目の前に大きな炎が……出てこなかった。

 俺はシェリアを怪訝な目で見る。


「お、おかしいな~。ちゃんと詠唱もバッチリなんだけどな~。」

「俺、思ったんだけどさ…」


  俺は自分の予想を語る。


「これ詠唱とかから察するに結構高位の魔法だよね?そんなの魔法初心者に使える方がおかしいんじゃないの?」


 俺の言葉を聞いてシェリアが目をそらす。

 おいこら。

  こんな風に、シェリアの知識には偏りがある。例えば高位の魔法は知っていても、その使い方がわからないとか、そもそも魔力ってなんだ、とか必要な知識が足りていないことが多いのだ。

  なので、シェリアは今、俺の記憶を読み解くことに時間を使っている。

 シェリアを権能の力はいま分かっているだけでは2つだ。

  1つは、物事を解析し、事象を完全に記憶出来るという力らしい。まぁ、封印によりほとんどのことを忘れているので、説得力はないが。

 そしてもう1つは、他人の記憶…というより情報を読み解くことが出来る力らしい。これには驚いた。なんと、俺の小学生時代の学校の名前を当てることができたのだ。しかし、万能というわけではなく、本人が読み解くのを拒否したり、秘密にしているものは読み解けないらしい。

 ……なので俺の秘密もまだバレていないだろう。

 ちなみに、俺が異世界からきたことはすでに、伝えてある。その時のシェリアの興奮ぶりは、すこし引いた。


  さて話をもどすと、今俺は魔法の訓練の他にもう1つ、やっていることがある。俺の周りをくるくると回る淡い光…下位精霊との交流だ。この精霊とは、シェリアと契約したときついでに契約しておいた。

  何でも《言の葉の精霊》というらしい。その権能は[知性があるもの同士の言葉をつなぐ]という力らしい。

 分かりやすいように例えると、ほん○くこん○ゃくだ。

 この精霊と契約すると、異なる世界の言葉でも分かるようになるという。シェリアと初めて会ったとき、スムーズに話せたのはシェリアがこの精霊と契約していたかららしい。え?精霊同士で契約が可能なのかって?それが可能らしい。そもそも契約は、人と精霊だけでなく、人と人、精霊と精霊などといった関係でも出来て、種族はあまり関係ないらしい。

 ちなみに、精霊の名前はフーリンと名付けた。名前があったほうが愛着がわくからな。シェリアいわく、今は言葉で意志疎通をする事はできないが、精霊として格が上がれば会話することも出来るかも、という話だった。楽しみだ。

  さて、そろそろ準備も終わってここにいる意味もなくなってきた。そろそろ旅立ちますか。



  俺はいま、この世界に来て初めて目覚めた大樹の前に来ている。シェリアが言うには、この大樹も精霊の一柱らしい。かなり高位の精霊らしく、何の精霊かはわからないみたいだが。けれど、この大樹は異世界に来た時から俺を見守ってくれていた気がした。

 俺は深く頭を下げる。もしかしたら勘違いかもしれないけど、この大樹に助けらたのは事実だ。なら、感謝の気持ちを伝えるのは当たり前だろう。

 やがて、ゆっくりと頭を上げる。


「もういいのかい?」

「ああ、いこう。」


  俺はそういって、大樹に背を向け、未知の世界への旅の一歩を踏み出した。

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