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31 遺灰

 リアルで用事が重なり、遅くなってしまいました。申し訳ありません。

 31話です。

 鎧が灰となり崩れ落ちた時、俺は不覚にも呆然としてしまっていた。

 あれほどの力を持っていた鎧が、一撃で倒れたことに衝撃を隠せなかったのだ。


『……恐らく、かなり経年劣化していたのだろう。ぎこちない動きをしていたから、きっと動くことも億劫だったはずだ。』


 シェリアがそう分析する。遅れて、勝利の実感が沸いてきたが、それもすぐにかき消えた。


「勝たせてもらった、というほうが正しいか……。」


 戦闘中、俺は多くの失敗をしていた。特にひどかったのが、途中に目を閉じて瞑想しだしたことだ。後で考えてみれば、あれは斬られてもおかしくなかったし、逆に斬られないほうがおかしかった。何故斬られなかったのだろうか?


「だいじょうぶ?」


 俺が先の戦闘中の不甲斐なさに苦い顔をしていると、ルナが近づいてきた。


「あぁ、うん。怪我はないな。」 

「そう、急に止まって目をつむりだすから何事かと思った。」

「はいすいませんあのときのおれはどうかしてました」


 ルナが今まさに悶えていたところに言葉のナイフをぶっ刺してきたので、思わず早口で返してしまう。

 ああ、ホントになんであんな行動をしたしたんだ俺は。


「……結局、この鎧はなんだったんだ?」

「……わかんない。」

 

 迷宮の奥深くに人知れず安置されていた謎の鎧。しかも、動くという隠し機能付き。怪しさ満点だ。

 なにか曰く付きだったのだろう。


「とりあえず、先にいこう。」

「……ああ。」


 ルナがそういって先を促す。確かに、今の状況ではいち早く迷宮からの脱出を優先すべきだろう。

 だが、俺には少し気になることがあった。


「なあ、この灰、持って帰っちゃだめかな?」


 それは別に深く考えた故の行動ではなく、


『ねぇねぇ、もってかえってもいいだろう?これは絶対役にたつやつだから。ね?ね?』


 と、シェリアが頭のなかでうるさいからである。知識を求めるシェリアにとって、鎧の残骸はまさに垂涎の的なのだろう


 俺も、この鎧がこんな薄暗い場所に放置されるのは、なんだか忍びないと思うしな。


「……別に問題ないと思うけど…まあ、いいんじゃない?」


 ルナは少し不審そうな顔をしたが了承してくれた。

 俺は荷物袋から、空いた素材袋を取り出し、小さな砂山のようになった鎧の残骸に向けて手を伸ばした。


「なんだ、これ?」


 だが、その中から謎の物体を見つけた。

 手に取ってみると、それは色の濃い水晶玉のようなものだった。

 水晶玉は、長年鎧のなかで眠っていたせいか、くすんでしまっており、その特徴的な透明度の高さはうかがえない。


「なに、それ?」

「さあ?」


 ルナが俺に聞いてくるが、そんなことを言われても自分にもわからない。まあ、あまり気にせずにさっさと灰を片付けよう。そう思い、水晶玉を袋のなかにしまおうとした。


 その時、水晶玉がヌルリと不自然な動きをし、俺の手から落ちてしまった。


「!あぶな…」


 ルナがそれに気づき、声を上げる。だが、俺はそれよりも一瞬早く動き、水晶玉を受け止めるための手を、すぐ下に置いていた。


 だが、水晶玉を俺が受け止めた瞬間、水晶玉が突然、俺の手をすり抜けた。


「はぁ!?」


 俺はすぐさま手をどけ、水晶玉が地面に叩きつけられる前になんとか回収しようと思い、石畳をみやった。


 だが、そこには水晶玉も、それが割れたのであれば飛び散るであろう破片さえもなかった。

 まるで、消えてしまったかのように。

 いや、ようではない、消えたのだ。俺やルナ、シェリアの目の前で、水晶玉は忽然と姿を消した。


「どこいった!?」

「わ、わかんない!?」


 辺りを見渡してみても、それらしき物影はない。

 シェリア、どこにいったかわかるか?


『…いや、少なくとも私が感知できる範囲にはそれらしきものはないな。だとしたら……』


 そういうと、シェリアは黙り込んでしまった。少し不気味な気分になってしまったが、まあ、魔法があるんだしそこまで気にしなくてもいいかな?と考え、さっさと灰を片付けてしまうために、手を動かした。

 

 数分後、大体の灰は回収し終わった。その間、ルナはさっきの水晶玉が気になったのか、軽く辺りを探していたが、結局見つかることはなかったようだ。


「よし、いくか。」

「うん。」


 俺たちは光が差す場所に向かって歩きだした。



◆◇◆◇◆


 先程の鎧の強さからみれば、あれが最初で最後の防衛機構なのは、容易に予想できる。

 しかし、俺の予想が的外れの可能性もある、そして、何より慢心は時に刃の前で鎧を脱ぐことと同義だ。

 そのため、慎重にいく。


 剣の鞘で地面を叩き、反響で罠がないか確かめながら進んでいく。

 目測ではそこまでの距離はないように見えるのに、体感では長く感じるのだから、不思議なものだ。


 そして、ついに部屋の最新部にたどり着いた。


「これは……。」

「……。」


 部屋の奥にあったものは、俺たちを困惑へと導いた。

 なぜならそこには……


「「……卵?」」


 そこには、卵があった。

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