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28 初めての迷宮探索

迷宮に入ってから数分たった頃、ようやく階段の終わりにたどり着いた。

 俺はふと縦穴を見上げてみる、すると自分たちが来た地上が小さな穴のように見える。

 当然太陽の光も迷宮の奥までは届かない。

 だが、それは迷宮内が暗いという訳ではない。俺は迷宮の内部に目を向ける。そこは、大きな洞窟のようだった。高い天井にはゴツゴツとした鍾乳石がぶら下がり、壁には青白く発光する水晶のような石が大量にあり、迷宮内を優しく照らしている。


「おい。呆けていい場所じゃねぇぞ。ここからは魔物やモンスターも出るんだ。気を付けろ。」


 つい迷宮の光景に目を奪われてしまいローに注意されてしまった。横を見ると、ルナも俺とおなじように、あまりにも幻想的な光景を前に呆然としてまっていたようだ。俺たちは、気を引き締め直すとローやライクたちの後を追いかけ、奥へと進んでいった。


◇◆◇◆◇


「おい!まだまだいるぞ、気を抜くな!」


 迷宮に入ってから一時間はたった頃。俺たちはモンスターの集団にが次々と襲い掛かられていた。角のあるウサギや頭が岩のように固いイノシシ、挙げ句の果てには大きな牙を持つライオンのようなモンスターもいた。


「おい!ここ本当に一階層か?初っぱなからきつすぎるんだが!」

「なにいってんだ?迷宮の辛さはここからだぜ!ほら、来やがった!」


 ライクがニヤリと笑いながら奥を睨む。

 そこには、体長六メートルはありそうな巨体と灰色の体毛をもつ巨大な熊がいた。

 体には他のモンスターとは比べ物にならないほどの魔力を纏っている。

 間違いない、魔物だ。それも、特徴から、依頼にあった灰熊……アッシュグリズリーだろう。しかし、予想していなかった登場に俺は動揺する。


「二階層からじゃなかったのかよ!」

「いったろ!おおよそだってよ!」

 

 こんなの詐欺だ…。俺はそう思いながら灰熊を睨み付ける。

 モンスターと魔物の違いは様々だが、パッと見て分かる要素がひとつある。それは……。


「目が赤い……。」

「ああ、それも赤さの度合いが強い。強い証拠だ。」


 魔物の共通的特徴。それは瞳が異様に赤いことだ。魔力というのは制御や素質により色が変わると言われている。

 上手く制御できていれば青に近く、逆に制御出来ずに暴走してしまえば赤に近くなる。

 魔物とは、モンスターや動物が魔力を急激に吸い、爆発的な魔力を得た存在を呼ぶので、当然と言えば当然なのだが。

 灰熊の瞳は、血を連想させるような鮮紅色。あまり、うまく魔力を扱えていないと見える。

 しかし、侮ってはいけない。魔物とは本能の塊だ。そのため、後先考えず本能に任せて魔力や魔法をぶっぱなす。ある意味、魔力を使う悪人よりも質が悪いとも言える。


「グルォォォ!!」


 灰熊が咆哮する。それに合わせ、ライクと俺が突撃する。他の仲間は回りのモンスターたちを押さえている。

 ライクの得物は、柄がながく矛先が鋭い槍だった。ロングスピアというやつだろうか。

 ライクが槍で距離を保ちながら牽制する。

 その隙に俺は側面に回り込み、灰熊の脇腹に向かって剣を突き立てる。

 だが……


「グルルォォォ!」

「くっ!?」


 灰熊は脇腹に張り付いた俺を上半身を大きく左右に振ることによって弾き跳ばした。

 しかし、俺も只ではやられない。


「シャウト!!」


 俺は振り払われた直後、空中で闇属性魔法のシャウトを無詠唱で生成、それを灰熊の頭部目掛けて射出した。

 そのせいでうまく受け身がとれず、背中からもろに落ちてしまったが、そのぶんの元は取れただろう。


「グルゥァ!?」


 魔法は見事に灰熊の頭部に直撃し、そのまま瞳を覆い隠し、その視界を奪った。

 灰熊は張り付いた魔法は剥がそうと自らの顔を両手で引っ掻く。

 しかし、それは戦闘中においては致命的な隙だった。


「おらぁぁぁぁ!」


 ライクが槍を手首のスナップを効かせて回転させながら、灰熊の頭部に向かって突き出した。

 槍は灰熊の脳髄を貫通し深々と突き刺さった。ライクが槍を引き抜くと、灰熊は糸が切れたかのように動かなり、ドゥとその巨体はゆっくりと地に伏した。


「ふぅ、終わったか。」


 回りを見ると、ローたちもモンスターたちとの戦闘を終え、こちらに駆け寄ってきた。


「?」


 だが、ルナだけは壁に手を当ててこちらに来ようとしなかった。

 俺は不思議に思いながら、その後ろ姿に声を掛ける。


「どうかしたのか?」

「うん、なんかここに印があるの。」

「?どれどれ。」


 その言葉に壁をよく見てみると、確かになにかのマークが描いてあった。

 パッと見は、なにかがリングのように連なっているマークか?もっとよく見てみようと思い、壁に手を掛ける。

 

 すると……手が壁を通り抜けるかのように消えた。いや、手が壁を通り抜けてしまった。


「え?」


 俺は体重を腕に掛けていた為、バランスを崩し、そのまま壁に吸い込まれてしまう。それを止めるため、とっさになにかをつかもうと手を伸ばした。

 その先にいたのは……ルナだった。


「え?」


 ルナは突然の出来事に目を丸くし、俺と同じくバランスを崩した。


「「えぇぇぇぇぇ!!!!」」


 そのまま、俺たちは壁のなかに吸い込まれてしまった。

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