16 シスターさんの魔法教室
借金取りを追い返した俺は、シスターさんとルナから魔法の使い方について教えてもらっていた。
まず、魔法とはなんなのかについて教えてもらう。魔法とは、人の体内に宿る❬魔力❭という生命エネルギーを使い、制御し、様々な事象を実現させるものらしい。これだけだとよく分からないので噛み砕いて説明すると、絵画のようなものだった。
真っ白な紙を現実とし、魔力を絵の具、筆を制御力とする。絵の具が少ないと描き終わる前に使い果たしてしまい、筆の力加減が下手だとうまく描くことが出来ない。こんな感じだった。ちなみに魔法の制御をしやすくするのが詠唱で、魔力の量を高める魔道具などもあるらしいが、なれるとそれらがなくても魔法が使いこなせるらしい。
「さて、次はヘルトさんの魔法適正を見てみましょう。」
シスターさんにそんなことを言われた。なんでも、魔法には複数系統があり、人によって習得しやすい系統が違うらしい。ルナは水と火、シスターさんは火の系統が得意らしい。さて、俺の適正はどんな感じなのだろうか。シスターさんが俺に魔法を掛ける。すると、俺の中から黒と薄い緑の淡い光のようなものが飛び出してきた。なんだか精霊のフーリンのような感じだ。
「なるほど、分かりましたよ。ヘルトさんは闇と風、それも回復の魔法が得意なようです。」
シスターさんがニコニコしながらいった。闇と風か…。闇は分かるけどなんで風?
『おそらくフーリンと契約しているからだろう。フーリンは言の葉の精霊、風の系統に属しているからね。』
なるほど、つまりもともとは俺の適正は闇だけだったが、フーリンと契約したことによって風も得意になったわけだ。それならシェリアの得意な魔法も出てくるはずでは。そう思うとその言葉を待ってたとばかりにしゃべりだした。
『よくぞ聞いてくれた!私は天才でね、どんな魔法も見ただけで解析して、さらにそれを永遠に記憶することができるのだ。なので得意不得意など存在しないのだよ!』
なるほど。で、その肝心の魔法の使い方は?
『…………………………シスターさんの話し聞いたら?』
こいつ話をそらしやがった。あれ?でもなんでシスターは俺が回復が得意なんてわかったんだ?そこでシスターさんに聞いてみると、光の濃さで分かるらしい。光の色が濃ければ攻撃、薄ければ回復が得意だと分かるらしい。なるほど、納得がいった。
「それでは次に魔力を制御を行いましょう。」
◇◆◇◆◇
俺たちは孤児院の庭に来ていた。そこそこ広く、子供達が遊んでいる。端では畑も育てられていた。ここで、魔力の制御を教えてもらう。
「さあ、目を閉じて集中してください。私はヘルトさんに魔力を送り込むので、体の奥底に眠る魔力を引き出してください。」
俺は言われた通り目を閉じる、するとどこからかなにかが俺の体の中に入り込んで来た。これが魔力だろう。それを意識すると、今度は入ってきたものとは別のなにかを感じた。これは自分の魔力だろう。それを自分の力で操ろうとするが、これがなかなか難しい、まるで大きな川の流れを制御しているような感覚に陥る。
「力ずくではいけません。優しく、流れを導くようにです。」
流れを導く…。俺は想像してみる。大きな川、いやここは風にしてみよう。俺の回りを吹き荒れる風。その流れを意識し、俺は腕を振るう。すると、魔力は俺の腕に引かれ一筋の風となって顕現する。目を開けると俺を中心につむじ風が起きていた。腕を振るう、するとつむじ風はあっという間に四散し、なくなった。
「おめでとうございます。あれから30分たちましたかな?なかなか早かったですね。才能がありますよ。」
シスターさんがそういってくれる。なんとあれから30分もたっていたらしい。そしてそれでも早い方なのか。お世辞だと分かっていても少し嬉しいな。
「ルナはどれくらいで出来たんだ?」
「私?5分くらいだったかな。」
5分!?はやいな。少し才能あるかな?って思った俺がバカだったよ。
「魔力はとても万能です。体や武器に纏えれば攻撃力や防御力を高めることも出来ますよ。覚えておいてください。」
なるほど、聞けば聞くほどハ○ター×○ンターのオー○なんだよな、これ。そう考えるとなんだか制御がしやすくなった。やったぜ。
◆◇◆◇◆◇
「それじゃあせっかくなので、一つ魔法も覚えておきましょう。」
おお!魔法だ!ついに魔法だ!この世界に来てからはや数日、ようやく魔法を拝める。
「では、最初は初歩の回復魔法を覚えてみましょう。私の詠唱をよく聞いていてくださいね。」
そしてシスターさんは意識を集中し始める。すると、さっきまで見えなかったシスターさんの魔力が動き始めた。
『力の源たる我が願う 風の導きに従い 彼の者に立ち上がる力を授けよ マリンヒール』
詠唱が完成したとき、緑の優しい力が畑の野菜を包んだ。すると、小さかった苗がぐんぐん大きくなり、あっという間に収穫できるほどになった。
「さあ、やってみてください。」
俺はうなずく。そして、まだ苗の野菜に手をかざす。詠唱は確かこうだったはずだ。
『力の源たる我が願う 風の導きに従い 彼の者に立ち上がる力を授けよ マリンヒール』
俺の詠唱は魔力を癒しの力に換え、苗に与える。すると、苗からニョキッと1枚、葉が生えた。それだけだった。
「「「………………。」」」
子供達が遊ぶ声が聞こえる。おいルナ、お前が笑いを堪えてるのバレてるぞ。シェリアは隠そうともせず爆笑している。
『くくっwww、ニョキってwwww。ニョキってwwww』
もうこいつと契約すんのやめようかな。
「ま、まあ、最初はこんなもんですよ。」
「…はい。」
俺はこの日、1日中魔法の練習に費やしたのであった。




