M5K0 アフロディア8
一時間後、兵士たちはヘロヘロになり上半身は地面に倒れているのに足がまだばたつかせて踊っています。歌君は俺に抱えられたまま槍を構え魔力を流して、地面に向かって投げました。すると地面の赤い水たまりが浄化されていき、ただの水になりました。
その後俺は歌君を少し離れた場所に降ろし、魔導銃ETOを申モードにDWTを亥に変えて合わせるとロケットランチャーに変形し、それを放つと瞬く間に弾が爆発して大きな網が蜘蛛の巣状に広がり、その蜘蛛の巣は兵士たちに絡まり、動けなくなりました。
俺も歌君の隣に降り立ち、疲れすぎて気絶した鎧を着た壮年のおっさんとドリルサイドテールの前に立ち、申モードで一応拘束する。歌君は近くの樹から小さな枝を折ってきておっさんとドリルサイドテールの鼻に向けて
「『鼻伸び嘘吐き』」
というと小さな木の枝は解けておっさんとドリルサイドテールの鼻の横に枝に着いた一枚の葉のマークが貼り付きました。歌君はおっさんとドリルサイドテールの頬を叩き起こすと目を覚ますと
「ハッおじい様!起きてください!」
「うん?はッ!クリスティーナ無事か?」
「よ!お二人さん起きた?」
と歌君が言い出しそれにおっさんとドリルサイドテールことクリスティーナが俺達のほうを向いてさらに息切れしながらも激昂して
「貴様ら!わしらをこんな風にしやがって!今なら許してやらんでもない。今すぐに開放しろ!」
と芋虫状態で叫びましたが威厳というものも感じませんでした。まあそうでしょうね傍から見るとすっごい間抜けですから。ですがこのままだと話が進まないので、
「俺が鎮静化しようか?」
と聞くと歌君は頷きましたので、俺は魔導銃ETOを丑モードに変えて二人に撃ち込み落ち着かせる。
しばらく待ってから二人が落ち着いたのを確認した後、歌君が
「あの話を聞いてくれますか?」
「なんですの?この平民風情が、この私に対してこのような仕打ちをして万死に値しますわ」
「なんじゃいこの性犯罪者が」
「まずなんで襲ってきたのか教えてください」
「そんなもん貴様がかわいい我が孫を弄ぼうとしたからじゃろうが!」
「ふむ、なるほど。では貴女はこのお爺さんになんと説明したのか正直に教えてくれませんか?」
「はぁ?あなたが私を襲おうとしたから逃げたといいましたわ?事実でしょう?!」
「えっとですね。お爺さん正直に言いますよ、このお嬢さんが乗った馬車がオークに襲われていたから助けた。それで、大丈夫かな?と思っていたら勘違いをしただけ」
というとお爺さんは目を見開いて慌ててドリルサイドテールことクリスティーナを睨み、
「それは本当か!クリスティーナ!」
「オオオオオオ爺さま落ち着いてください。あのような冒険者のいうことなど信用してはいけませんってキャー―――――――何これなんなよ!」
とクリスティーナは言い訳を開始しましたが嘘だったので、鼻が伸びに伸びて面白い姿になっていました。
「あ、嘘はつかないほうがいいですよ。嘘をつけばつくほど鼻が伸びますからすぐにわかりますよ」
と歌君が言うとクリスティーナの顔が真っ青になり逆にお爺さんの顔が真っ赤になりました。これって鎮静弾効いてるんだよな。
「いいいいや違いますわ?そこの冒険者が嘘を言っているのです」
「いやいや本当ですって。その証拠にあなたの鼻どんどん伸びていってますよ」
「なるほど子の冒険者の言うことは本当らしいな。ではそこの冒険者よ、本当のことを放せ!」
と言ってきたので仕方がなく事のあらましを話すとさらにクリスティーナの顔が真っ青を超えて真っ白になりお爺さんは逆に真っ赤で湯気が出てきました。そして冷静に、
「冒険者よ、本当にすまんかった。正式に謝罪をしたいのでこの網を解いてはもらえんか?もちろん暴れないと約束しよう」
とお爺さんは冷静に話し出したので、俺は申モードの網を全て解除する。
お爺さんは首や関節をコキコキ鳴らし体をほぐしてから、クリスティーナに向き直り
「クリスティーナよ、最後のチャンスをやろう。お前の口から正直に話せ」
「ももも申し訳ありませんでしたお爺様。実は私たちはオークの群れに追われているところを子の冒険者に助けていただきましたの」
と正直にかつ簡潔に話すと伸びて自分の身長よりも長くなった鼻が縮み元に戻りました。クリスティーナは自分の鼻を触り元に戻ったのを再確認して目からぽろぽろと涙が溢れました。
「冒険者たちよ、この度は我が孫が大変失礼なことをした。許してくれとは言わんが、お詫びに私が統治している町に来てほしい。詫びがしたい」
と頭を下げてきました。話を聞くとこの人が統治している街は俺達が行こうとしている街だということ。その街は鉱山資源が豊富で、武器屋や鍛冶屋が豊富にあるとのこと。
「わかりました。ではありがたくいただきます。ちょうど次に行く予定の街でしたので助かります。ですが一つ気になったことなのですが、何故貴女はオークの子供の死体を馬車の中に入れていたのでしょうか?」
「なに?それは本当か!クリスティーナ!何故そんなことをした!」
「実はオークの子供はおいしいと聞き、母様に是非食べていただきたかったのです」
ということでしたがそれを聞いた爺さんはさらに怒鳴り上げました。
「なんということをしたんじゃ!クリスティーナ!これは貴様の父に言わなければな。冒険者よオークはその後どうしたのじゃ?」
「えっとですね、怒り狂ったオークどもをいったん鎮静させてオークの子供の死体を全部渡して里に弔ってやれって言ったら帰っていきましたよ」
というとほっとしたような声を上げて、
「すまんかったなこれは追加で礼をせねばな」
とさらに暗くなりました。赤くなったり暗くなったり忙しい人ですね。
お爺さんがひとしきり後悔をしてクリスティーナを叱ったのを見届けてから、お爺さんはクリスティーナと回復はしたがまだフラフラな兵士たちを連れて地平線に消えてい行きました。
「なんだったんだ?今のやばいな」
「こんなことって今までもあったのか?」
「いや?俺だけの時は基本的に空を飛んでいるか全力で走っているからこんなことはあんまりないよ。二人の時は結構ある」
と他愛もない話をしてから出発しました。
そのまま歩くと川に着きました。川はかなり大きく石橋が出ているくらいの大きい川です。深さもかなりありましたので、
「時間あるし、ここで少し釣りでもしようよ」
「それはいいけど正義俺釣り具なんて持ってないぞ?」
「あ、俺スペア持ってるよ貸してあげるよ。そういえばこの川って魚とかいるのかな」
「えっとちょっと待って。えっとねえ結構いるな。魔物とかもちらほらいるけど正義の釣り具って大丈夫?」
「大丈夫大丈夫、この釣り糸ってかなり強いし、隠水龍のひげを使ってるからそれこそ本物の水龍でもかからない限り切れることはないから」
と俺は歌君にスペアを渡し川で釣りをすることにしました。
誘水龍は深海に棲む龍種ですがなぜか浅瀬でも川でも使えます。先ほど話に出ていた隠水龍とは、周りの空気に溶け込み反対側がはっきり見えるくらいに透明で、気配もなく触った感触もないという不思議な釣り糸です。もちろん龍と名の付く通りかなり糸が強靭です。
俺はバケツに川の水を入れ、浄化魔法をかける。歌君は精霊獣の力を使い、きれいな水を入れてもらいバケツに水を張りました。釣りを始めると、いろんな魚が連れて行きました。鮭やフナ、イワナにコイとまさに入れ食い状態です。季節に左右されないのは異世界ならではです。
一通りバケツにいっぱいになったところで歌君のほうを見に行くと歌君が何か漁師風の男たちに絡まれていました。話を聞いていると
「なあ兄ちゃん、だから言い値で払うっていってんだろ?だからさあその釣り竿譲ってくれよぉ」
「だーかーらぁ、これは借り物だから無理だって言ってんだろ?耳悪いのか?」
「なんだと?お前?」
「おーい歌君何やってんの?」
「あ!正義今こいつらに絡まれててさあ助けてくれ」
と困ったような顔をしています。
「なんだ?あんたたち俺の連れに何か用でしょうか?」
「あ?お前には関係ないだろうが」
「いやいやこいつは俺の連れですし、この釣り具も俺のを貸していただけだし」
「ほう、この釣り竿は兄ちゃんのものか。じゃあちょうどいい。この釣り竿を売ってくれ!」
「なんで?服からあんたらは漁師なんだろ?漁師なら自分の釣り具持ってるよな。なんでこいつの持ってる釣り具を狙うんだ?」
「この兄ちゃんがものすごい入れ食いで、釣った魚もこの川でかなり珍しい魚ばっかり釣っていたからな勧誘しようとしたら釣り具のおかげだと言ったから売ってほしいというわけだ。で、どうだ?兄ちゃん売ってくれ」
「断る!歌君魚を収納するからバケツ頂戴」
「お、おう」
と、漁師の誘いをバッサリ断り歌君からバケツを受け取りその場を去ろうとしましたが、漁師たちが行く手を遮りました。
「だから頼むってんだよ何無視してんの?」
「あのさあ、さっき俺は断るって言わなかった?邪魔だからどいてほしいな。これ以上俺達の邪魔をするならお前らを川のど真ん中に沈めるぞ?」
「やれるもんならやってみろよ!」
という言葉を皮切りに漁師は釣竿を奪おうとしてきました。
俺は歌君から釣竿を預かりアイテムボックスの中に放り込み、漁師が突進してきたところを躱して足を引っかけて胸ぐらをつかみ思いっきり川に向かってぶん投げました。
「うわああぁぁぁぁぁ」
という悲鳴と共に漁師のおっさんが川の中に勢いよく突っ込みドボンという音と共に入水しました。
漁師たち全員を川の中に放り込んでから、笑顔で歌君に向かって
「さっ、今日は野営で魚料理でもしようか」
「お、おう」
〈勇者サイド〉
俺は勇者取り巻きB!この世界を救う勇者だ!今日はクエストをしようと思いクエストに来た!俺は強敵の討伐クエストを探したが、その前に
「おい取り巻きB!さっさとクエスト行くぞその依頼書は元に戻しておけよ」
っち、うるせえな木島。
俺達は最初の依頼として爪ウサギと薬草採取の依頼を受けることにした!俺は草原を剣でばっさばっさ切りながら探していくと、長い爪を持ったウサギがいました。こいつが爪ウサギだと断定した俺は剣を構えて一突き刺して殺しました。俺は獲物を殺した後のつぶらな瞳が目に入り固まってしまった。
固まっていると後ろから爪ウサギが奇襲をしてきました。背中が切り裂かれ俺は血を吐き出し、背中が熱くなりました。俺が痛くて悶絶していると取り巻きAが爪ウサギを仕留めてくれました。その後すぐに小栗がやってきて俺を回復してくれました。
次はもうちょっとだけ慎重に行動しようと思います。




