第二話 プロローグ
第二話 プロローグ
それがいつから始まったのかわからない。
いつ頃からか。
意思が具現化する――
そんな現象が観測され始めた。
多くが幻影かホログラムのような頼りないものでしかなく。
また具現化できる者も限られていたため。
全世界で第四次オカルトブームが発生するものの。
非現実現象の研究に国家レベルの予算がつくことはなかった。
しかし。
先見の明がある者は気づいたはずだ。
幻影レベル以上のものが具現化されたならどうなるか――を。
セキュリティは意味を成さなくなる。
その気になれば、いかなる場所――世界要人の寝室にさえ、
爆弾を具現化させることも可能になるからだ。
水面下では。
軍事利用を目的とした具現者確保の国家間競争と。
非現実現象の研究は進められた。
その結果。
具現体と現実世界の事象の総量は、常に不変であることが判明する。
それは、具現体が増えれば増えるほど、現実世界が侵食されることを意味した。
このまま具現者と具現体を放置すれば。
世界が崩壊する可能性も否定できない。
一般には極秘にされたその報告は。
各国首脳陣ならびに軍事、諜報関係者を戦慄させ。
国家間競争が紛争の要因になることを危惧していた国際社会の状況とも重なり。
具現体を管理する条約――非現実現象管理条約の策定に繋がった。
これにより。
具現者の管理(監視)が規定される。
非現実現象監視機構の設立と
世界各国に設置された監視室の誕生である。