いつも君は僕を呼ぶ
あぁ、声が聞こえる。
この夢の中誰の声だ。誰の声なんだ。
「…ヵス、ルーカス起きて、ねえ?魘されてる。どうしたの?起きて、ルーカス。」
「…リア…、ユリアか…?」
夢の中で呼んでいたのは彼女だったのか。でも、夢の中の声はもっと幼かったような…一体誰なのであろうか?
「魘されていたけど大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ。心配かけた。」
「それは、良かったです。今日の公務はどうしますか?」
「問題ない。まだ朝早い、もう少し寝ていろ。時間になれば侍女が起こしに来る。」
そう言ってもう少し休むことにした。寝てしまったらまた誰かに名前を呼ばれるのだろうか…
君は一体誰なんだ。何故僕の名前を呼ぶ?
ー‥ルーカス
貴方のことが好きよ、ルーカス
もう、貴方にとって私はただの妹分なのかも知れないけど私は好きよ?ちゃんと男の人って意味で好きよ、ルーカス
ルーカス、何故こっちを見てくれないの?
私のこと好きじゃなくなっちゃった?
私よりも綺麗なアノ人の方が好き?
それでも私は好きよ、ルーカス
ねぇ、ルーカス
この花束貴方にあげるわ。私が摘んで貴方のために選んだの。綺麗でしょ?
もう、貴方の心に私はいなくなっちゃった?
ううん、知ってる。知ってたの…
元々貴方の心に私はいなかったって…
それでも諦めれなかった。
だって、私は貴方のことが好きだから…
お、思い出した。サーシャの声だったんだ。ずっと僕を呼んでいたのはサーシャ。ユリアじゃなかった。
もう、僕の名前を読んでくれないサーシャ。でも、それは僕のせい。ずっとずっと知ってた。サーシャが僕のことを好きなことぐらい、だけどそれは大人になれば消えるものだと、だだ年上は僕しかいなかったから好きになっているんだろうって。そんなこと思わなかったらあんなことは起きなかったんだろうか…
あれは、2年前のことだった。あの日もいつも通りサーシャの好き好き攻撃を受けていた。
「ねぇ、ルーカスのことが好きよ。全然信じてないでしょ?でもそんなところも好きになったの。好きよ、ルーカス。」
「ありがとう。僕の可愛いお姫様。」
いつも通りすぎて当たり前の光景すぎてサーシャの身に僕の身に何が起きてるのかこの時の僕は何一つわかっていなかった。知らなかった。
でも、サーシャは知っていた。そしてそれを僕に何一つ悟らせなかった。
「…ルーカス好きよ、大好きなの。」
でも、これでおしまい。貴方に思いを伝えるのも貴方に会うことも今日で終わり。明日になれば貴方には私のいない未来が待っている。ルーカスのこと本当に本当に好きだったわ。
明日になって私のことを誰かから聞いても悲しんだりしないで、哀れんだりしないで私はルーカスに会えたことが何よりも幸せだったのだから。そのことを貴方が否定するなんて許さないし、許されない。ルーカス、貴方にとっての明日はいつかしらね?
本当のことをいうといくら貴方に好きと伝えても私たちは結ばれない運命にあった。そのことを貴方は知っていた、けど私も知っていた。貴方は私が知っていたことを知らなかったけれど。そういうところも好きだったのよ、ルーカス。
まず一つ目は私が貴方の従妹だったこと。そして、私たちが王族だったこと。王族は従妹でも結婚しては駄目だったものね。
そして二つ目は私の体が弱かったこと。従妹ということを無しにしても王族に体の弱い私と結婚は出来なかった。
それでも私が貴方のことを1人の男性として好きだったことは認めて欲しかったわ。私はもう子供じゃないのよ。
ルーカス、貴方のことが好きよ。
僕は初めてサーシャに大好きと言われた日から何日かたった日に父親から聞いたことをすぐに信じることは出来なかった。
隣国の王女との結婚は知っていた。僕が望んだことだったから。
でも、サーシャが死んだことは知らなかった。
死んだと言われ月日が流れ結婚した。
その時から今の夢を見るようになった。いつも昔遊んだ花畑で僕に振り向きながら名前を呼ぶ。そして少し僕を罵しり、最後にはいつもの通りの言葉。
貴方のことが好きよ、ルーカス。
ありがとう、サーシャ。
僕の可愛いお姫様。