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少女たちの物語

希美と茜の試験勉強

作者: 雪野つぐみ
掲載日:2014/07/17

今日から試験一週間前。

一緒に帰ろうか、と茜ちゃんを探した。


いつもの教室。茜ちゃんがひとり、勉強していた。

「試験勉強?」

「ああ……希美も勉強するのか?」

「うん、さすがに今回はしないとヤバいし」

「あー、仮評定出るもんな……指定校狙いは大変だな」

「そうでもないよ」

少なくとも、一般入試の茜ちゃんよりは楽。

だって選ばれれば100%通るから……

その、「選ばれるまで」が大変なんだけどね。

評定平均が3.5以上、欠席日数30日以内。

……正直いって今のわたしじゃ厳しい。

通れば残りの期間好きにできるけどね。卒業できる範囲で。

「茜ちゃん、やっぱあの大学行くの?」

「ああ、あたしはそこで夢追っかけてみるよ」

茜ちゃんの夢……小説家。

厳しい業界だし、決して楽じゃない。

でも、茜ちゃんは諦めてない。

だからわたしも、頑張らなきゃ。


「あたしらも受験か……もうあれから一年半経つんだな……」

「そうだね……」

“災禍”事件。

この学校の生徒たちを巻き込み、死なせた事件。

あの事件から、もうそれだけ経っていたんだ……

あの時のことは、忘れられない……

「あー、すまん、悪かった。泣くなって」

「泣いてない……」

災厄体質なわたしでも、先にも後にもあんな事件はなかった。

「それでもさ、あんな事件の中であたしと希美だけでも生き残ったんだ。あたしはそれだけで満足だぜ」

「わたしは……」

生き残ったことは、幸せだったの?

茜ちゃんはあの事件の真実を知らない。知られるわけにいかない。

わたしは……茜ちゃんと同じ、“笑顔の嘘つき”だ。


ばたん、と茜ちゃんが机に突っ伏した。

「……試験勉強、全然進まねえ……」

「うん……つい喋っちゃう……」

「しゃーねえ、今日はもう帰るか。デートは試験明けまでお預けな」

「試験明けたら茜ちゃん写真部にこもるじゃん」

「あたしだって好き好んで暗室こもってんじゃねえんだよ」

「じゃあ何でよ」

「あのな、夏休みに合宿があるだろ?申し込みしなきゃいけねーんだよ」

「……」

そう言われると黙るしかない。

茜ちゃんが写真大好きなのも知ってるから。

「つか、つきあわして悪かったな。今日は一緒に帰るか?」

珍しい、茜ちゃんからのお誘いだ。

「うん!」


《二週間後》

「はあ、なんとかギリギリだよ……」

返ってきた試験。見たら真っ青になるような成績だった。

「お前授業中寝てるからだろ」

「んなこと言ってる茜ちゃんだって絵描いてるくせにー」

まあ、茜ちゃんはノー勉(本人談)で学年20位に入るくらい頭いいし。

「茜ちゃんはどうなの?」

「見るか?ほい」

茜ちゃんが出したリーディングのテスト用紙。

73点。って、ええ!?

「前、茜ちゃん英語苦手って言ってたよね!?」

「苦手だぜ?」

いやいやいや!苦手なんて言えないよ!

「なんで茜ちゃんそんなに頭いいのー!?」

「試験前に単語のプリント見るだけで違うってこった」

正論。正論なんだけど……

「希美、成績本当に大丈夫か?」

ぐたっと机に倒れこんだ。

「全然だいじょばないかもー……」

ああ、評定怖い……どうか受験できますように……


来ましたね受験生!ああ三年前の悪夢再び!

…実は今年、雪野も文群さんも共に受験です。

ちなみに雪野もノー勉派です。いや今回はちょろっと勉強したけど!

ともあれ、こんなあほな話におつきあいいただき、ありがとうございました。

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