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出発


甘かった。

本格的に旅支度をはじめて悟った。

俺は一人旅を甘く見すぎていたのだ。

水がいらないので予備を含めて10日分の食料を用意したらそれなりの重量になった。

この時点で嫌な予感はしたのだが。

着替えに毛布。これだけでいっぱいいっぱい。

この時代の旅人がマントを着けている理由が良く分った。毛布を2枚持つのは辛いが、コート代わりにマントを着けていれば防寒・日差し対策になり寝るときも毛布をひいてマントをかぶれば暖かい。毛布1枚では辛いからマントはかなり重要だ。

そして武器を持ってしまえば、限界ぎりぎりといった積載量になる。

うん、これで旅は出来る。出来るんだが、途中でモンスターをかればその分荷物が増える。

うち捨てて行くには素材や肉は貴重品。生活していく上で欠かせない収入源になるのに捨てていけるはずがない。

行商人のように荷馬車を連れて行くのも考えたが、一人ではいかにも難しい。

モンスターに襲われたときに守りようがないし、臆病な馬が逃げ出す可能性が高い。

その上夜行性のモンスターに狙われる可能性を考えれば、安眠も出来そうにない。

結界を作ればいけるか? が、結界とかイメージが曖昧すぎて難しい。

実際そんな魔法もないようだ。

そもそも持続させる魔法にはその分魔力を込めて発動時間を長くしなければならないので普及しないらしい。

困ったなぁ……。



まずは荷物の解決からはじめるか。

袋をとりだし、魔法をかけてみる。

「異空間に直結した無限の収納力を誇るバックです」

人前で使う魔法は、本当に呪文を考え直そう。夜中の通信販売のようになってきてる。

やりやすいんだよなぁ……。

お、うまくいたっぽい。

かさばる食料品を詰め込んでも、重さも見た目も変わらない。

のぞき込んだらそんなに大きな袋ではないのに明かりさえ差し込まない闇の空間になっていた。

………………。

手を入れて探るが、何も捕まらない。

食料はどこへ行った?

空間が広すぎて手の届かない位置へ転がっていったのか……。

失敗、だな。

しかも食料がなくなった。

はぁぁぁぁぁ。




気を取り直して作り直す。袋自体は同じ物を再利用出来た。魔法効果は上書きになるようだ。

今度は取り出したい物を思いながら手を入れれば取り出せるようにしたので、大丈夫だろう。

食料はなくなったので毛布で試したが、ばっちりだ。


そう思ってたら、朝になったらただの袋に戻ってた。

サイズ的に無理だったのだろう。毛布が袋を突き破ってはみ出している。

皮の丈夫な鞄だったのに無残な姿に…。

持続時間的な問題だろうか。

こうなると、収納袋は無理か?

でも、ポーションの方は効果が持続している。

魔法を使った品でも一回完全に変化した物はそのまま使えるということかな?

袋は収納バックにならなかったが……。

色が変わって完全な別物だと思えるポーションと、袋という素材が自己主張してそうなバックとの違いかも知れない。

いろいろ試してみるか。

早く王都を出たいのに……。


いろいろ考えた結果、こちらの文字ではなく漢字で欲しい効果を袋に書くことにした。もちろん魔力で効果をイメージしながら。

こちらの文字だと、読まれたとき恥ずかしいし怪しまれそうだが漢字なら模様と思えないことはないだろう。

一応、裏側に書いてあるし。

刺繍する技能も根気もなかったので、絵の具をかってきて書き込んだんだが。

この方法のいいところは、いろいろ機能追加しても上書きで消えていかない点だな。

あと、どんな効果をつけたかあとで確認しやすい。

今あるのは無限の収納力に取り出し機能がついた物だけだが冷凍用とか時間停止バージョンとかも作れそうだな。

ああ。モンスターの肉とか腐ったら困るな、時間停止も作ってみよう。

そうすれば保存食じゃなくて普通の食材が食べれるしな!



物を作るのが楽しいものなんだなー。

ここに来て新たな趣味に目覚めたようだ。

日本にあった品を魔法で再現してるだけだが、試行錯誤して思い通りの物が出来ると気分がいい。

落ち着いたらもっといろいろ試してみたいな。

今は先立つものがかなり心細いが……。

宿屋暮らしは結構出費がかさむ。

それ以外にも一回10日分物食料を失った上に重量制限が無くなったので一ヶ月は食べられそうなくらい買い込んだのが悪いのだが。

もう500ルトを切ってしまった。かなりやばい。趣味に走るのは稼いでからにしないとな。

食い物は安いのに服とか高いんだよなー。

古着の中でも最低ラインに近い物しか買ってないはずなのに小銀貨が飛んでいく。

丈夫そうなのとかになると数倍の値段に跳ね上がるから手が出せなかった。

正直今の旅支度は最低限ぎりぎりでしかない。

次に旅に出るときは、全部一新しなきゃまずいかも知れないレベルだ。

生活のためにも今度こそ出発だ!

次に大きな街に着いたらポーションを売ってみよう。

そして金に余裕が出来たら毒消しポーションとか構想だけのも作ってみよう。

この街から出ればいろんなことが試せる。楽しみだ!






王都から出るのに通行税が必要だったのがショックだった。

別の街に入るときにも必要になるのだろう。

村でモンスターの素材が売れなかったら街に入れないことになる。

大丈夫だろうか。

いきなり前途が暗くなってしまった……。




物価と所持品は一応計算してあります。

残額は126ルトです。

通行税は300ルトだったので、現状では王都に戻れません。

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