第3話 ウリシュクの人間化
「うんまぁその3分たったから食べてみろよ!結構いける…あ」
そう言えばウリシュクから見たらカップメンは人にすると巨大なドラム缶サイズの大きさだ。
とてもウリシュクが食べ切れる量では無い。
「す すまねえな気が利かなかったな今小皿に取り分けるからさ」
「あらいいわよ私も人の大きさになるから」
「へ?」
ウリシュクが、そう言うと身体が金色に輝き出し光に包まれていく
「なっ!?」
光が人のサイズに増幅し、さらにカッと輝き出す。
そして、その輝きが消えると共に、そこには一人の少女が現れた!
「うん久しぶりに、うまくいったわ人間に変われたわね♡これなら人の食事も普通に食べれるわよ♡」
「ええ!?嘘!?お お前人間に、なれんのかよ!?」
「フフーン驚いた?私達ハイフェアリーは魔力の高い一部の使い手なら人化出来るんだから♡」
マ マジか!?アークデーモン見るよりこっちの方が驚きが大きい気がする
「シグレは特別よ?妖精は正体を明かしちゃダメなのよ?掟で決められてるんですからね?あなたを信頼してるから、この姿を見せたんだからね?」
そう言うとウリシュクはカップメンを嬉しそうに片手で持ち上げ蓋を剥がし匂いをかいだ。
「とってもいい匂い!今まで、こんな良い香り、嗅いだ事無いわ!」
人の姿に、なったウリシュクは、見た目はアキラと同い年位の中学生の女の子位な感じだが耳が少し尖っている。
シルファと同じでエルフっぽい。
しかし妖精の時も美人だったが人間になっても、そのまま大きくなったのも相まってかなりの美少女だが
「あれ?なんで人間になると服装が変わってるんだ?」
「召喚魔法で、あらかじめ人の姿の時に着ておけば人化した時に自然に、その服装のままで人化出来るのよ便利でしょ?」
「はぁ〜た 確かに便利だよな人間になった時にいちいち着替えてたら不便だしな」
「うん確かに便利だし妖精の時より魔力が増大するからメリット多いんだけどね…でも、この身体だと凄く魔力を消耗するのよ。長くて3時間くらいしかもたないわ。身体能力は妖精の時より凄く上がってるし魔力も2~3倍強くなってるけど消費が激しいから、あんまり使えない手段なんだけど…今は、なんか調子が凄く良いわ!」
「え?なんでだ?」
「分からないけど…あれ!?嘘!?これはあなたから魔力をもらってるんだわ!?す 凄い!!あなたとんでもない魔力を持っているわ!?」
そう言うとウリシュクは俺の身体をペタペタと触りまくった
「や やめろ!セクハラだぞ!?く くすぐったいってば!!」
「セク…何?あなた時々変な言葉を喋るよね?あなたどこの出身?」
そう言えばウリシュクとアークデーモンの会話も初めはさっぱりだったのに今ではスムーズに会話出来ている…これはもしや翻訳機が作動したのか?アキラの世界では現実世界のスマホの様な翻訳機が普通に各個人に装備されている。
ナノ技術サイズの、それは人によって様々な場所に装備されている。
服に仕込んであったり靴だったり身体そのものに埋め込んだりとかだ。
アキラの世界では科学がえらく発展している。
現代より100年くらいは上の科学技術が、あると言って良いだろう。
なにせ個人で星を旅してるくらいだしな。
ちなみにアキラの翻訳機は確か髪の毛に仕込んであったかな?
うん確かそんな設定だった。
いくら科学が進んでるとは言え初めて聞き取る言語は、ある程度のデータが必要だったんだろう。
なので初めはウリシュクとアークデーモンの言葉が分からなかったんだな。
データを読み込んで翻訳機に取り込んで今、同時通訳をしているんだろうな多分。
「あなた種族は人間種よね?出身はどこなの?その服装も、この辺ではあまり見ない服装だし、その変な魔道具からして…もしかしてあなた魔導公国出身!?」
「魔導公国?」
「あ!とりあえず、このおいしそうな食べ物食べながら話さない?せっかくの料理が冷めちゃうし」
「そうだな、のびた麺じゃ台無しになるしな、はし…いやフォークか?これ使えよ」
そう言うと俺はフォークをウリシュクに渡した。
「ありがと」
ウリシュクは、そう言うとフォークでカップメンを、美味しそうに食べだした。
「う 嘘!?こんなの初めてだよ!?なんて料理!?160年生きてきて初めての味だよ!?」
「ええ!?お前そんな年なの!?大大おばーちゃんじゃねぇか!?」
「失礼ね!!妖精としては、まだまだ幼体なんだからね!人で言うと14〜15才くらいなんだから!!」
あ なんかファンタジーで良く聞くあれか!エルフは見た目は少女だけど寿命が長くて何百年も生きるっつうアレね!!
「なる程、理解した!!」
「あら?やけに素直ね私の年を聞くと誰だって理解するのに時間かかるのに…ま まぁ理解してくれたら別に良いんだけどね」
そう言うと、ズルズルっとカップメンのつゆまで飲み干すと
「じゃあもう一杯これを、いただこうかしら」
そう言ってウリシュクは、俺に手を伸ばす。
「は 早いな!もう食べたのか!?もっとゆっくり食べろよな!」
「だ だってこんなに、おいしいの初めてで…い 意地汚いのは分かってるわ!でも、お腹減ってるのよ!アークデーモンと戦って魔力消費しちゃってて人の姿にもなってるし!」
人の姿になったのは、あまり理由にならんのでは?と思いつつも俺の出した食べ物を、おいしいと言ってくれるのは、なんか嬉しい。
「それなら今度は、このシーフード味に、してやるぜ!おいしくてほっぺが落ちても知らねぇからな!」
「ええ!?何それ!?呪いでもかけるき!?」
「あ いやうん、ちょっとした比喩なんだ、まぁ良いか…」
「?」
うむ、まだ俺の本意が伝わりにくいな、翻訳機の限界なのか、はたまた、俺の言葉のチョイスが悪いだけか…ブツブツと文句を言いながらも俺はウリシュクにシーフードと豚骨味のカップメンを、渡した。
ウリシュクは本当に、おいしそうにカップメンを食べてくれた。
あまりに、おいしそうに食べてくれるので、こっちまで幸せになって来る。
しかし冷静に考えたら安い幸せだな。
金額にしてカップメンなんか百数十円くらいの物だ。
フフ安い奴め!
「なによ?ニヤニヤして?」
そんな俺の思考を読む様にウリシュクはジト目で俺を見る…か 勘が良いな、こ奴…
「ま まぁよカップメンなんて俺の国じゃ安い食べ物なんだよ、それをさあんまりにも、うまそうに食うからさ、ちょと悪いなって思っちゃってさ、こんなのしかなくてよ」
「え!?そ そうなの?これ1個いくらなの!?」
「うーんと150円…くらい?税込で」
「は?150エンって何ゴールド?」
「へ?ゴールド?」
「だってこんなに、おいしくて、お湯入れるだけで作れるなんて、画期的な発明品じゃない!?10…いえ50ゴールドくらいしても、おかしくないわよ!?」
「…すまん、その…この世界の貨幣が分からんのだが?50ゴールドって…いくら?」
「はぁ!?ゴールドを知らないって、あなたどこの田舎か遠くの国から来たの!?子供でもゴールドくらい知ってるわよ!?」
ヤバイ翻訳機でも通貨までは対応してないみたいだ。二人で食事をしながら、この世界の貨幣の価値について色々と教えてもらった。
どうやらこの世界の硬貨は銅の硬貨、銀の硬貨、金の硬貨が主流らしい。
お札は無く一番上のミスリル硬貨が最高値で国同士の取引なんかで使用される硬貨らしい。
話によると銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨100枚で、金貨1枚程の価値が、ある様だ。
話の感じだと銅貨1枚が1~2百円くらいの価値っぽい。
子供が持ってる位らしいので、それ位と計算すると銀貨1枚で1万円位。
金貨1枚で100万円くらいと、見積った。正確では無いけど、まぁそんなもんだろう。
と、するとウリシュクの言っていたカップメン1個金貨50枚って5千万かい!?
そんな高いカップメンが、あってたまるか!ダイヤでも入ってんのか!!
なのでカップメンは銅貨2枚位の価値だとウリシュクに教えたが
「あんなおいしい食べ物が、そんな値段の訳ないわ!私に出したからって気を使わなくて良いから!!」
と、言って信じてはもらえなかった。
カップメンに、そんだけの価値があるなら、この世界の料理には期待出来ないんじゃ…とがっかりした俺を見てウリシュクは不思議そうな表情を浮かべていた。
カップメンと一緒に出したビスケットも
「凄い高級菓子!?あ…あなたもしかして貴族か…ま、まさか王族じゃ!?」
などと誤解をしつつもビスケットも幸せそうに20枚程ぺろりと完食していた。
食後に出したコーヒーにも感動して砂糖とミルクをたっぷり入れて3杯もおかわりしていた。
…しかし冷静に考えたら妖精の姿の方が、こんなに飲食しなくてすんだんじゃないのか?まぁ幸せそうに飲み食いする奴を見るのは、うれしいもんだし細かい事は、まぁ良いかと思いつつ、うまくごまかして俺は出生を語った。
本当の事を言っても信じてもらなさそうだったので俺は
①遠くの国から来たので常識にうとい
②この大陸に来て間もないので貨幣の価値も元の国と違って分からない
③この大陸の知識にうとい(その為)
と、うまく現代から来た事は、ごまかして納得してもらった。
「そっか人に言えない…その身なりや、さっきの高級な食べ物に魔導具まで持ってるなんて…どっかの国の元貴族か、やっぱり王族!?…うんうん理由を詳しく言えないよね!分かったよ!私で良ければ力になるよ!よろしくねシグレ!!」
と良く分からない勘違いをしてくれたおかげで、この場は乗り切れた。
「ああ、よろしくなウリシュク!!」
ひょんな事から出会った俺とウリシュクは、こうして仲間になったのだった。
まさかこのウリシュクと長い付き合いになるとは今は夢にも思っていなかった俺であった…
夜は更け深夜0時位になった。
俺は仕事がら、ここからが原稿タイムだ。
深夜は静かだし落ち着いて仕事が出来る。
このまま朝まで原稿をして朝に就寝、昼に起床と言うサラリーマンからしたら、うらやましい(?)リズムで生活をしていた。
しかし身体が、おこちゃまなアキラのせいか昼にアークデーモンと戦ったせいか、めずらしく普通に眠くなって来た。
「それじゃそろそろ寝るか?人の姿のままなら寝袋を貸すけど妖精に戻る?」
と話しかけてる最中にウリシュクは妖精の姿に戻っていた
「人の姿だと消耗が激しいって言ったでしょ?寝る時くらいリラックスして休むに決まってるじゃない」
そう言ってテントの中に置いてあったクッションにボフっと身体を沈めてそのまま、可愛らしい吐息を出して眠りについてしまった。
初めは、このテントじゃ、この危険な森で、おちおち休めないよ!とか言って休む事に反対していたウリシュクだが偶然襲って来た猪の大きな奴(4~5mはあった)が、エアバイクの貼ったバリアーに、弾かれて退散した姿を見て
「う 嘘!?ビックボアの攻撃が、まったく通じないなんて…こ この結界なんて強力なの!?魔導公国の魔導具級の頑丈さよ!?」
と言ってバリアーを信頼してくれたみたいで安心して休んでくれた。まぁ妖精に戻ってくれたのは俺にとっては、ちょと都合が良かった。
人の姿のまま女子と2人でひとつのテントで一夜過ごすのは子供同士とは言え、ちょと緊張する。
妖精なら見た目可愛い猫が寝てるくらいにしか感じないので安心(?)だ。
しかし本当に今日は疲れた。
まさか俺があの異世界転移を、してしまうなんて…
洒落になら無い挙句自分の作品の主人公になってしまうなんて…
なんの冗談なんだよ、まったく…俺は、そんな事を考えながらウトウトと眠気にとらわれてゆく。
目が醒めたら現実の世界に戻っている事を願いながらも、ふと、このまま現実に戻ってしまったら何か心残りがある様な不思議な気持ちを心に感じながら、俺は眠りに落ちていった。
■早朝■
なにやら良い香りと、なぜか柔らかい感触。
そして可愛らしい吐息を感じ俺は目を覚ました。
「うーん…カプメンもう一杯…」
それは俺の身体に抱きつきながら寝言をつぶやいた
「そういや…もう朝か…?」
テントの隙間から朝日が入って来る。
腕時計を見ると午前8:30もう立派な朝だ。
俺は抱きついている柔らかい物を無理に剝がそうとして
「と…とんこつ!?もう一杯!!」
とか言って、その手をはずそうとすると、さらに強く抱きついて来る。
「朝から、そんな胃にもたれそうなもん食えるかっ!!」
と俺はそれにツッコミを入れる…
「ん?」
段々と目が覚めて来た俺は、ようやく状況が飲み込めて来る
「…え!?」
良く見るとそれは、やばい体勢で俺に抱きついている女の子ウリシュクだった。
ほとんど下着姿で俺の寝袋に入ってるウリシュクは猫の様に身体をすりつけて来る。
「ど どう言う事やん!!」
慌てて俺はウリシュクを遠ざけ寝袋から、這いずり出た
「な…なんでウリシュクが俺の寝袋に!?だ 大体昨日はクッションで寝てたやんけ!?」
俺が慌ててプチパニックを、おこしてると
「うーん うるさいな…何?朝食の時間?」
ウリシュクが目を覚ました。
「お お前なんで俺と一緒の寝袋で寝てるんだよ!?」
「はぁ?何言ってんの、私は…ちゃんと…隣のクッションに…」
段々と目が覚めて来たウリシュクは自分の格好と、やはり下着姿のアキラを見比べて無言になる。頭にクエスチョンマークを出した様な表情をしたかと思うと、ようやく現状を理解したらしく
「き…」
「き?」
「きぁ…」
「きあ?」
「きゃああああっ!!!」
健やかで、爽やかな朝。
そして気持ちの良い緑の中、けたたましい悲鳴は静寂の森に鳴り響いたのだった…
俺達は付き合い初めの中学生のカップルの様に気まずい感じに朝食を食べていた。
「だから気づいたらウリシュクが俺の寝袋に居たんだって!!それに俺は何もしてないからな!誓って!!」
「……」
「だからいいかげん機嫌直せよな!!まったくもう!!」
「……」
ウリシュクは、あれから何を言っても無言のままで怒ってる様な恥ずかしそうな様な表情を向けるだけだった。
「だから誤解だって…」
「分かってる…」
ようやくウリシュクがしゃべり出した
「思い出したよ…昨日シグレが寝てる時ちょっと起きてさ、あまりにも凄い魔力を感じたから、ついシグレの胸元に入って魔力を吸収させてもらってたんだけど…気持ち良くなってそのまま寝ちゃったみたい…そしたらいつの間にか変身してて…あ あんな姿のまま男の子と、い…一夜を共にしちゃうなんて…」
「ご 誤解される様な言い方すなっ!!何もしてねーし何も起きてねぇっての!!」
「う うん、あなたとは短い付き合いだけど、そんな人じゃ無いって分かってるよ…許せないのは私…あんなに軽々しく男の子の懐に入っちゃうなんて…いくら魔力に惹かれたからって淑女として恥ずかしくて、ずっと反省してたの…なんて言い出したらいいか本当に恥ずかしくて口に出せなかったのよ…やっと落ち着いて来たから、喋れる様になったよ…ご…ごめんなさい、あんな恥ずかしい事して…」
「わ 分かってくれればいいんだよ、じゃあお互い今日の事は忘れて飯にしようぜ!飯に!!」
「う うん、そうだね、お腹減ったよ、いつの間にか人の姿になっちゃってたからエネルギー使っちゃったみたいで凄くお腹減ってるんだ、またカプメン作ってくれる?」
少し頬を赤らめながらウリシュクが、控えめに俺に話しかけてくれた。
「い いやな朝からカップメンなんて胃がもたれるだろ?だから朝は軽めのトーストと目玉焼きのハムエッグに、しようぜ?」
「ハムエッグ?」
そう言うと俺は昨日の内に船から転移しておいた卵とハムと食パンを使って朝食を作った
「え?これって卵料理じゃない!?こ このパンだって柔らかい!?高級すぎない!?朝から!?」
「え?これでも高級なのか?俺の世界…いや国じゃ500円位…銅貨5枚くらいだぞ?こんなの」
「嘘でしょ…どんだけ豊かなの!?あなたの故郷って!?」
ウリシュクは驚きつつも、また満面の笑顔で俺の作った朝食を食べ、俺達は今後の事を話し合うのだった。
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