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SOUL BREAKER (ソウルブレイカー)  作者: 百屋敷レイ


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第1話 転移

マズイこのままでは連載のコンペに間に合わない!

俺はかなり焦っていた。

俺の職業は漫画家だ。

デビューして10年目くらいの中堅漫画家だ。

連載もそこそこ人気があった。

しかし今では鳴かず飛ばず。

描く読み切りもあまり人気がなく今回の連載のコンペ(連載会議)に向けて半年かけて準備をして来たのだ。

ネームも会議に出す3話分も後少しで完成する。今回は自信がある。自分で言うのもなんだが面白い物が描けたと自負している。

それに今回こそ連載をGETしないとそろそろ生活費がマズイ。

なのでミスは出来ないのだ。

今日も出版社に送るネームの直しやらで三日目の徹夜に入った所だった。



緑の草の香り、心地良い小川のせせらぎ、爽やかな南風を感じ俺は目覚めた。


「うわぁなんちゅう大自然なんだっての…」


自分の住んでる所は都会のアパート。


ここ数年こんな自然にましてやこんな美しい森林に来れた事などなかった。


「ははこんな大自然に触れたのは学生時代の林間学校以来か?」


どうやら俺は徹夜に入っていつの間にか寝てしまったらしい。どう見てもこれは夢だろ。


「まいったな明日は連載の企画会議の締め切り日だってのに…」


ここ一ヶ月追い込んで練りに練って来たSFファンタジー作品の企画会議に提出する用の連載作品の3話分のネームが後少しで完成出来そうだってのに…そうなのだ大事な日なのだ明日は。夢なんか見て寝過ごすわけにはいかないのだ。

ここ数年ヒット作も無く読み切りも順位が悪い。

なので起死回生をかけたSFファンタジー作品の新作「SOUL BREAKER」

(ソウルブレイカー)

を何としても連載させ、また人気にならなければ生活費もままならなくなって来ている状況なのだ。


「ん?」


俺はふと自分の手元を見た。ちょっと俺の手縮んだ?…そう言えばいつもより視野も低い…


「はは…まいったなネームで悩みすぎてどうやらこいつはアキラ…になっちまってる様だな…」


俺は苦笑する。

アキラとはその連載用に制作していた作品の主人公の名前だ。年齢は14才、中肉中背、見た目は一般的な人間のごく普通の少年だ。

しかし…


「うん変な服…いや俺が考えてデザインしたんだしかっこいいだろ!!」


そうなのだ中身は普通の人間の少年なのだがその服装はいわゆるサイバーパンクSFの主人公っぽいデザインで現代の日本人の服装からは少し変な格好と言える。


「しかしまいったな夢とは言え、よりによって自分の作品の主人公の姿になっちまってるなんて…なんだか恥ずかしい…」


本来の自分は29才のアラサー、一歩手前のいわゆる普通のおっさんである。

それがこんなガキの姿でサイバーパンクな衣装を着たコスプレ状態で夢にあらわれるなんて…恥ずかしいなんて物ではない。

自分はもしかして自分の作ったキャラに憧れすぎてしまっているのではなかろうか?


「ま まぁ作品のキャラに思い入れがあるのは悪いことじゃないよな俺の師匠も言っていた自分の作品を愛せないで何が漫画家かっ!!」


とか…言ってたよね?…うん、そう聞いた気がする…いや!そうに違いない!!


「ならこの状況は漫画家的には許そう!人としては恥ずかしい気もするが得てして漫画家とは一般の人とは常軌を逸した所にいるくらいが良い作品を書ける才能なのだ!…きっとね?」


なぜか自分を肯定し罪悪感を心にしまって納得しようとしていた時…

ズドーーーン!!…と言う轟音がこの緑美しい森林には、につかわしくない音が響いた。


「な なんだ!?たく…せっかくの癒し空間が台無しだろ!!」


俺は憤慨して音の元に全速力で向かった


「うおっ!?」


俺は信じられないスピードで森を駆け抜けていた。人間の出せる走る速度ではない。体感で100kmくらい出てそうだ。


「そ そうか!!アキラは人間でも特殊な人類で、いにしえの滅んだ神人類の末裔って設定だったっけ!?身体能力も並じゃなかった!!」


俺はグングンとその爆発のあった場所に近づいていく。今、気がついたが元居た位置から爆発のあった場所までは結構な距離があった。推定で10kmくらいか?だが凄まじい速度で走る俺はあっという間に爆心地にたどり着いた。


「プテレット ピッポロ パロ!!」


なにやら聞いた事のある様な無いようなフレーズの言葉で少女の声が聞こえて来た。やべぇ俺はナメッ◯語はさっぱりなんだ…いや異世界の言語はまったく分からんぞ?…って言うか俺の夢なのに、なぜに言葉が分からんのだ!?気が利かないっ!!


◎(翻訳中) 「お前が一族の秘宝を奪ったのは分かっているのよ!!死ぬ前に秘宝を返して潔く死になさい!!」


…ん?遠近感がおかしいのか?女の子が、かなり遠くに居る…?い いや違う!!小さい!!しかも羽、生えとりますがな!!あ あれはいわゆる妖精って奴か!?お おかしいな、俺のこの作品には妖精なんて出す予定無いんだけど!?


◎(翻訳中)「クククッ羽虫がわざわざ希少なその魂を献上しに来るとは殊勝な心がけよな」

「え!?」


俺は驚いた。妖精と対峙している存在はどう見ても悪魔…俺の好きなゲームに出てくるアークデーモンと言う上位悪魔いわゆる悪魔族に酷似していたからだ。

身長は3m位、竜の鱗の様な黒光りする硬そうな皮膚に、体より大きな背中から生えている巨大な翼、頭からは大きな羊の様な角が生えている。

尻尾も生えていてワニに似ているがあんな尻尾に叩かれたら一発であの世行きになりそうなくらい太い。

あれならワニに叩かれたほうがましに思える。

そして生物ではありあないあの目。禍々しいとはこの事をいうんじゃないか?

その目は赤く光り如何にも強そうな恐ろしい見た目だ。

しかしおかしいな俺の作品には悪魔なんて出て来ないのに…なんだ?この夢?まぁでも夢なんてこんなもんだったか?

色々な記憶が混在してて、たまたま自分の好きなゲームの世界観がきっと混同したんだろうな。まぁ良いか。


「キュアッパ!」


そんな事を考えてると妖精の女の子がアークデーモンに魔法で弾き飛ばされた!


◎(翻訳中)

「クカカカ!貴様ごときの魔法でこの悪魔族でも上位存在の我に効くと思ったか!!」


勢い良くアークデーモンの魔法で弾き飛ばされた妖精は地面に強烈な勢いでぶつかり、そのままバウンドして岩にぶつかりそうになる。俺はすかさず妖精を受け止めた。


◎(翻訳…中?)

「何!?」


いきなりの俺の登場でアークデーモンは少々驚いている。


「な 何?人間の子?」


魔法のダメージで瀕死になっている妖精の子は声を絞り出して話しかけてきた。


「に 逃げなさい…私なんて ほ ほっときなさい…お願い…」


そう言うと妖精の子は気を失った。

やばい!これどう見ても重傷だろ!!

い 医者を!?医者は!!


「カオスブレイク」


そんなオロオロしてる俺に向かってアークデーモンは黒い炎を俺と妖精に向かって放った!クソ!どうすんだ!?あんな炎!?普通の人間じゃどうしょうもねぇぞ!?

い いや待てよ!?

そうだ今の俺は俺の作品の主人公シグレアキラなんだろ!!

ズドーーーンっと轟音が鳴り響き森がえぐれた。

そう正にその通りでTVで見たミサイルが直撃した様な凄まじい威力の魔法だった。

直径100mは、あろうかと言う、そんなクレーターの様な大穴が出来てしまっている。

穴が空いて森をかき分けて地肌が露出している所以外も炎が木々を焼いてしまっている。木々の生焼けな焼かれた匂いが充満している。 勝利を確信してアークデーモンは不敵な笑みを浮かべていた


「ククク暇潰しにもならぬ弱き者ども」


憎たらしく奴がそう言った。

しかし俺と妖精の子は今の爆発からはとっくに移動して実はアークデーモンの背後5m位の位置に移動していた。

俺の、いやこのキャラ、シグレアキラのスピードをなめると、こうなるって事だ。

俺は爆発が起こる一瞬に妖精を懐に入れて高速で移動していたのだ。

あまりの速さにちょっと自分でも驚いているくらいなので、奴も捉えられていないのは無理も無い所だ。

いかしアークデーモンの背後に回ったのは良いが、いかんせん奴を攻撃する手段が今は無いのだ。

身体能力も半端ないアキラではあるが流石に素手であの見るからに硬そうな鱗を持つアークデーモンに攻撃した所で効くとはちょっと思えない。

サイバーパンクなSFが舞台のキャラだがアキラは銃を持っていない。

アキラは剣士なのだ。

しかも特殊な設定で強力で希少な鉱石や素材を取り込んでS.W(ソウル.ウエポン)で精製し自らの強力な魂を付加し武器を精製すると言ったややこしい設定のキャラなのだ。

いかんせん今は手元に、そんな都合の良い鉱石や素材などは持っていないのでどうしょうもない。

ここは妖精の子のケガも心配なので一旦逃げるのも仕方のない事だ考えていると


「なんと…我のカオスブレイクから逃れられる者が居るとは…貴様只の人間種では無いな!?」


うまく爆炎で起きた煙に隠れて移動したのに、こいつ気でも探れるんか!?


「待て!俺は生命の命を無駄に消す事は心情に反するんだ!一度だけ言うぞ!このまま逃亡するなら命までは奪わねぇ!これは忠告だ!!」


「フッ言うに事欠いてこの我に逃げろ…だと?悪魔族の中でも12魔王の一人と呼ばれる、この我に?クク…クハハハッ!!なんと言う侮辱か!!」


薄ら笑いを浮かべてアークデーモンは俺の提案を拒否した。

まぁ無理も無い。見た目只の人間のガキが何をわめこうが相手になどされる訳が無い。

そんな事は百も承知だが俺の作った、このアキラと言うキャラは、こういうキャラなのだ。勝てようが負けようが必ずこう言った口上を挙げるのが少年誌の主人公らしい行動なのだ。

フラグ的には強力な力をこの後見せつけ敵を圧倒して倒すのがお約束な展開なのだが…いかんせん今は武器が無い。

戦うすべが無いのに、そんな口上を述べたって只の負け犬の遠吠えにすぎない。

ここは妖精の容態も心配だ。逃げの一手だと思っていたその時


「このクズめ適当な事を言って逃げ出すつもりであろう?その逃げ足だけは一人前の様だしな、なので先読みさせてもらった」

「なっ!?」


俺が逃げ出そうとしていた、その方向に突然現れたアークデーモンは、そう言うと


「カオスフレイム」


と一言淡々と呪文らしき言葉を発した。

強烈な痛みが全身に広がる


「ぐぁっ!!」


俺は黒い炎に全身を焼かれ徐々に肉体が消失していく


「妖精共々その魂は我が頂いてやる。高貴な我の魔法で輪廻に逝ける事を光栄に思うが良い」


手が足が例えようのない痛みで消失していく恐らく時間にして数秒の事であったのだろうが、これが死の瞬間時間がスローになると言う現象か…レアな経験したな、これは今後のストーリー作りの参考になる。

しかし夢なのに痛みがあるんだな。

これも貴重な体験だなとか、どうでも良い事を死の間際に感じていた俺だったが


「うう…」


胸元に入れていた妖精もそのダメージを受けて苦しんでいた…そうだ、俺が諦めたら、この小さい命も消されちまうんだ…許せるか?

アキラは、そんな事許せる様な主人公じゃねぇよな…俺を倒す?…俺を消す?そんな事を許せるのか?…いや…許さねぇ

ゴバン!!

アキラの体に緑色のオーラが発生しその身を包んだ。


「!?」


勝利を確信し2人の魂を回収しようとしていたアークデーモンはその身に恐ろしい気配を感じ伸ばした手を、いや、その体ごと数十mその身を引く


「こ この感覚は!?」


この身を引き裂かれる様な悪寒を感じ、全身に強烈な震えを感じる


「ば…ばかな…12魔王の一角と言われる我が恐怖を感じている!?」


アークデーモンにとって、それは忘れていた感情だった。魔神の次空で生まれた時から、その強力な力で他の悪魔族を圧倒し破竹の勢いで齢1000才と言う悪魔族にしては若輩の年齢で12魔王の称号を得て最高権力を手に入れたアークデーモンは禁忌と呼ばれる存在に戦いを挑んでしまった。

それまでの自信はその者によって粉々に砕かれ初めてアークデーモンは恐怖と言う耻辱を感じた。

命からがら逃げる事に成功したアークデーモンは反省をし、いつしかその存在を倒す為に研鑽を極め強力な悪魔の魂を集めその身を鍛え上げていた。

その修練の日々に200年費やしもう一度あの存在に戦いを挑む為ダメ押しに魔獣の王国を滅ぼし魂を喰らい力を上げ続けた。いつしかあの存在に復讐する為に。

その時はもう、そこまで迫っていたと自分で実感をしていた。今ならあの恐ろしい存在、龍族の王に戦いを挑めるはず!…と確信があった。

手応えも得ていた…なのに…こいつはなんだ?


「俺を殺そうってんなら覚悟は出来てやがんだな?」


今までの只の、すばしっこいだけの小賢しい人族の子供と思っていた、それは明らかに違う気配を放っていた。

そうそれはかつて生涯一度だけ恐怖を与えた、あの忌わしい龍王と同等の気配を感じた


「お お前は、まさか龍王なのか!?」

「は?何言ってやがる、俺様はそんなもんじゃねぇ覚えておけ」


そう言うと、それは視認出来ないスピードで目の前に現れた


「ひっ!?」


アークデーモンは心から怯えていた。

見た目は自分より2回りは小さくどう見ても外見は人族の若いオスで握りつぶせばすぐにでも、その体躯を粉々に出来そうなくらいに華奢なな身体に。

しかしその魂から発している圧倒的な魔力はどう見ても人族の物ではなかった。

恐らくこの感じは龍族が放つ龍闘気に違いなかった。

しかもアークデーモンの数十倍の魔力量を感じた。

恐怖に怯えながらもアークデーモンは震える身体にムチを打ち声を絞り出した


「な 何者なのだ!やはり龍王ではないのか!?」

「俺はデュランダル只の龍の一人だっての」


そう言うと、それは口からブレスを放ち瞬間アークデーモンの体は消失した。


「覚えておけよ?次に俺様にケンカを売りやがったらな魂ごと消してやるからな」


もはや何も無くなり、そのブレスで広範囲に森が消え去り一面クレーターの様になった、そこにデュランダルと言ったそれは話しかける


「ち アキラは、まだまだだよな俺の手を煩わせるんじゃねぇよ」


そう言うとフッと、それは元のアキラの姿に戻った。そのとたん、クタクタになった俺はその場に倒れ込んだ


「クソ!冗談じゃねぇぞ!デュランダルめ!!なんであいつに俺はなったんだよ!!あいつはチートすぎて面白みに欠けるっつうのに!!」


そんな文句を言いつつも、この危機を回避出来た事に多少の感謝をしつつ、俺は懐の妖精を、そっと取り出した。


「や やべぇ!こりゃどう見ても瀕死じゃんかよ!!」


妖精は只でさえ重症だった身体に今の戦いの余波を多少でも受けてしまい、その容態は、もはや手遅れに近そうに見える。

アキラは魂を見る事の出来るキャラなので、その対象の身体の状態も外傷を見るよりも正確に把握出来る。魂は正確に肉体の情報を教えてくれるのだ。


「今から医者の所に連れて行っても確実に間に合わねぇ…夢でも死なせたら後味が悪すぎる。しかしアキラは医者ではないしデュランダルに傷を治す力など無い。奴は根っからの破壊者だからな…さっきみたいに奴に変わっても、この妖精は治せない、いやあいつ龍だから下手したら食っちまうんじゃねぇか?」

「食うかっ!!」


何やらデュランダルの声が聞こえた気がしたがきっと気のせいだろう。

しかし…待てよ、これは夢何だしデュランダルは、かつて俺が連載していた、そこそこ人気のあった作品の主人公なのだ…奴に変われるって事は、もしかして他の自分のキャラにもなれるんじゃねぇか!?


「うう…」


妖精の顔色が悪い!これはもう一刻を争う事態だ!傷を治すって言うと…やっぱり、あいつしかいねぇけど…あのキャラは女だぞ!?女に、なれんのか!?

俺の夢っ!?

挿絵(By みてみん)


毎週日曜日に更新しようと思ってます!よろしくお願いします!

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