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月隠ノ日向  作者: shio
第三章
60/150

六十


 燐と輝く瞳、凛と響く声――それが何よりの答えだった。陽織の気持ちに対する、日向の答え。

 そこには、迷いも惑いもなかった。ただ一つ在るは、日向の奥底の誓い。日愛を助けるという純粋なる想いだけ。


 ――本当に、よくここまで。


 陽織は溢れそうになる涙を我慢し、自身の内だけで呟いた。

 もう、言葉は不要だった。何かを話せば、それは日向の心を邪魔することになる。

 ただただ自分は日向と共に。今度こそ、絶対に離れず――



「――お待たせしました」

「…………」


 障子を開き謝す日向に、廊下で待っていた灯澄と燈燕は刹那に声が出せず、その姿を見入った。


(――まるで、瓜二つ)


 そう、思わずにはいられない。今までも似ているとは思っていたが、まさかこれほどとは。

 あの時と同じ装束。我らが出会ったあの時と、日愛を救ったあの時と――

 蘇ったのかと思ってしまう。今までの全てが幻で、あの時の現実が、初めて会ったあの時が再び戻ったのではないかと思う。


(――どうか)


 妖において霊という信仰はない。だけれど、知らず灯澄と燈燕は心で願ってしまっていた。

 どうか、母が見守ってくれますように――

 日向の母と、そして、日愛の母。その二人に願い、そして、同時に誓う。


「さあ、行くぞ」

「はい」


 日向は頷き、そして、声を発した。


「救って見せます、必ず」


 蒼紅の二人の誓いを日向が言霊として顕し、四人は歩を進めだした。

 神域の場へ、幼き天狗の子が眠る神木へと。


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