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月隠ノ日向  作者: shio
第一章
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十一


 もちろん、自分にも――寂しく悲しい気持ちもあるのだけれど、日向は話してくれなかった。何を迷っているとも悩んでいるとも話してはくれない。いつも優しく微笑むばかり。

 日向から微笑まれると、それ以上追求するわけにもいかず自然に話してくれることを待っていた。だけれど、時は進んでいく。中学三年生ならば、様々な準備をしていかなければならない。進路の準備もそうながら、自分の未来を見つめての大人としての準備もしていかなければいけない時期だった。


 ほう――と内で息をつく。小中高と一貫教育となっている城守学園。その為、誰もがそのまま高等科へ進級するところなのだが、日向の学力なら他の高校も十分に狙えた。日咲はそれだけが気がかりでならない。もし、他の高校へ行くというのなら自分も、と考えていたから。


 日咲の焦燥にも似た気持ちに気付いているのか――チラと見つめる日向の横顔は、散る桜の花弁をただ見つめるばかりだった。

 十年間、双子の姉妹のようにいつも一緒に過ごし、日向のことに関しては誰よりも――日向の母親よりも知っているという自信もあるのに、今回に限ってはその自信も揺らいでいた。日向の考えていることが分からない。誰よりも見つめてきたはずなのに、もしかしたら自分は何も知ってはいないのかもしれないと心に不安が生まれ始めている。


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