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スキル名【すんごい、おっぱい】なんだけど、これってどうなの!?  作者: かわさきはっく
すんごい、おっぱいは世界を救う(?)編

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第55話 決着とすんごい接触

「今だ! 一気に決めるぞ!」

 ユウキ様の叫びを合図に、私たちは弱体化した魔王へと最後の猛攻を仕掛けた。


 武器はない。しかし、私たちの心は折れていなかった。

「うおおおっ!」

 ダインさんとユウキ様が、拳で、体当たりで、魔王に食らいつく。

 シルヴィアさんの杖から放たれるシャボン玉が、魔王の視界を、ほんの一瞬だけ遮る。


 それは、あまりに泥臭く、あまりに無様で、しかし、必死の抵抗だった。

「小賢しい……!」

 ダメージを負った魔王は焦りの色を見せていた。


「おのれ、異物めが……!」

 ついに魔王は最後の手段に出た。

「余と共に、『無』に還れ!」

 彼の体から、自爆技ともいえる、純粋な『無』のエネルギーが、嵐のように吹き荒れる。


「ぐあっ!」

 ユウキ様も、ダインさんも、シルヴィアさんも、その衝撃波に吹き飛ばされてしまった。

 残されたのは、かろうじて立っている私だけ。


 魔王の体は黒い煙を上げ、所々が崩れかけていた。彼もまた、無傷ではいられない、最後の賭け。

 彼は、その憎しみの全ての矛先を私に向けた。

「異物よ……貴様さえ、いなければ……!」


 ふらつく足で、魔王が私に、とどめの一撃を放つべく、突進してくる。

 その絶望的な光景に、私の足が、もつれた。


「きゃっ!」

 私は自分の破れたドレスの裾を踏んでしまい、前のめりに、つまずいてしまう。

 魔王もまた、最後の力を振り絞ったせいで、その動きは精密さを欠いていた。


 お互いに避けられない。

 そして。

 運命の瞬間。


 魔王が私を消し去るために伸ばした、その右手が。

 私が、つまずいて、前に突き出してしまった、胸に。


 むにゅっ。


 と、いう、あまりに、気の抜けた、柔らかい感触と共に。

 魔王の掌が、私の、あらわになった右胸を、完全に、鷲掴みにしてしまった。


「「「…………あっ」」」

 吹き飛ばされていた仲間たちの声が聞こえた。


 魔王の動きが完全に止まる。

 その、宇宙を宿した瞳が、信じられないものを見るように、自分の手と、それが触れている、私の胸を見下ろしている。


 そして、全てを悟ったようだった。


「……ああ……。これが……『存在』……。温かい……」


 それが、魔王の最後の言葉だった。


 次の瞬間。

 私の胸と、魔王の手が触れている、その一点から、世界そのものが白く染まるほどの、まばゆい清らかな光が溢れ出した。

 それは、破壊の光ではない。

 全てをゆるし、全てを無に還すのではなく、始まりへと導く、創生の光。


「ぐ……あああああああ……っ!」

 魔王の、苦痛ではない、どこか心地よささえ感じられるような、絶叫。

 彼の体は、その神々しい光に包まれ、黒い甲殻が、人の罪のように剥がれ落ちていく。

 そして、その存在そのものが、きらきらと輝く無数の光の粒子となって、霧散していった。


 やがて、光が収まった時。

 そこには、もう、魔王の姿は、なかった。

 ただ、静寂だけが残された。


「……おい……」

 ユウキ様が立ち上がりながら、震える声で言った。

「今……まさか……」

 彼は自分の手を、そして、私が必死に隠している胸を交互に見た。


「……触ると……爆発、すんのかよ……」


 その、あまりに、あんまりな結論に、誰もが言葉を失っていた、その時。

 魔王が消えた空間に、残されていた光の粒子が、再び、集まり始めた。

 それは、一つの、温かい光の球となり、私たちの目の前に、ゆっくりと降りてくる。


 光が収まる。

 そして、その場に現れたのは――

 一人の、無垢な赤ん坊だった。


 私のすんごいおっぱいは、ついに、魔王さえも、倒し(?)、そして、生まれ変わらせてしまったのだった。

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