表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキル名【すんごい、おっぱい】なんだけど、これってどうなの!?  作者: かわさきはっく
すんごい、おっぱいは世界を救う(?)編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/65

第50話 絆とすんごい突破

「私のせいで……ごめんなさい、ごめんなさい……!」

 涙ながらに謝り続ける私を、仲間たちは誰一人として責めなかった。


「泣いている暇はありません!」

 シルヴィアさんの鋭い声が響く。彼女の杖の先からは、まだ、ぷかぷかとシャボン玉が生まれ続けていた。

「勇者、ダイン、何か使えるものは!」


「ダメだ、こいつはただの鉄の塊だ!」

 ユウキ様が神聖な力を失った剣を悔しそうに床に突き立てる。


「……花で、どう戦えってんだよ……」

 ダインさんが自分の手の中にある、あまりにも場違いな美しい花束を、ただ見つめている。


 じり、じりと、魔力の壁が私たちに迫ってくる。

 このままでは押し潰される。


 その絶望的な状況で。

 最初に動いたのはシルヴィアさんだった。


「……この壁は純粋な魔力そのもの。ですがルルナの混沌とした魔力に反応して、不安定に膨張している……。つまり極めて高密度でありながら、その構造は脆い可能性がある!」

 彼女は活路を見出したかのように叫んだ。

「一点集中攻撃です! 壁の中央、一際強く輝いている『核』を叩けば、連鎖的に崩壊させられるかもしれません!」


 しかし、どうやって?

 私たちには、もう、強力な攻撃手段は残されていない。


 その時だった。

「武器がなきゃ――」

 ダインさんが力強く言った。

「殴りゃいいだけだ!」


 彼は手にしていた花束をそっと私の腕の中に置くと、巨大な拳を固く握りしめた。

 ドワーフの戦士の本当の力は武器に宿るのではない。その不屈の魂に宿るのだ。


「……ああ、そうだな!」

 その姿にユウキ様も、何かを振り切ったように笑った。

 彼は重いだけの剣を捨て、ダインさんと並び立つ。

 勇者の力は聖剣に与えられるものではない。自らの勇気で掴み取るものだ。

 彼の拳に淡く純粋な聖なる光が灯り始めた。


「シルヴィア! 核はどこだ!」

「あそこです! 壁の中央、一際強く輝いている点が!」


 シルヴィアさんの杖から最後の魔力が放たれる。

 それは攻撃魔法ではない。シャボン玉に変わってしまった術式が生み出した、ささやかな加速の風。


 その風を受け、二人の戦士が同時に駆けた。


「「うおおおおおっ!」」


 ダインさんの岩をも砕く拳。

 ユウキ様の聖なる光をまとった拳。

 二人の全ての力を込めた一撃が、魔力の壁の『核』に寸分の狂いもなく叩き込まれた。


 ピシッ、と。

 壁に一本の亀裂が走る。

 次の瞬間、その亀裂は凄まじい勢いで壁全体へと広がり、ガラスが砕け散るかのように甲高い音を立てて、魔力の壁は光の粒子となって消滅した。


「はぁ……はぁ……」

 私たちは開かれた道の先で、息を切らしながら立っていた。

 武器を失いボロボロになりながらも、自分たちの本当の力で試練を乗り越えたのだ。


 ダインさんは自分の斧が姿を変えた花束をちらりと見た。

 そして、照れ隠しのように私の頭をわしわしと撫でた。

「へっ、花でも、勝ちは勝ちだな。こいつは今日の勝利の記念品だ。嬢ちゃん、お前がもらってやれ」


 その不器用な優しさに、私は涙がこぼれそうになるのを必死にこらえた。

 そして、彼から手渡された花束をぎゅっと胸に抱きしめる。


 私たちの武器は、まだ元には戻らない。

 でも私たちの心は今、これ以上ないほど固く一つに結ばれていた。


 最後の『神の枷』が眠る砦の最深部。中と続く暗い入り口が私たちを待っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ