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スキル名【すんごい、おっぱい】なんだけど、これってどうなの!?  作者: かわさきはっく
波乱の魔王軍、介入編

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第21話 攻城戦とすんごい盾

 天候を操るという、規格外の奇跡。

 そのおかげで、グライフェン砦の兵士たちの士気は最高潮に達していた。


「おお! 勇者殿! そして、聖女ルルナ様!よくぞご来援くださった!」

 砦の司令官が、私たちを涙ながらに出迎える。

「聖女様のご到着と同時に、忌々しい暗雲が晴れた! まさに神のご加護! これなら勝てる!」


 司令官の話によれば、敵は砦の正面に陣取り、強力な魔導兵器による攻城戦を仕掛けてきているらしい。特に、巨大な岩を雨のように降らせる「魔導投石機カタパルト」が厄介で、城壁はじわじわと削られているという。


「よし! 俺たちが砦の外に出て、あの投石機を叩く!」

 ユウキ様が、即座に作戦を立てる。

「ダインが前衛、俺とシルヴィアが後衛から援護する! ルルナは、砦の中から俺たちを応援していてくれ!」


「いえ!」


 私は、ユウキ様の言葉を、初めてはっきりと遮った。

「私も、行きます。私も、みんなと一緒にいます」


 それは、スキルを使うという宣言ではない。

 ただ、もう目を背けない。仲間たちが戦う場所から、逃げ出さない。それだけの、私にとっては精一杯の決意だった。


 私の目に宿る覚悟を、仲間たちは察してくれたようだった。

「……わかった。だが、絶対に俺たちの後ろから離れるなよ」

 ユウキ様のその言葉は、私を仲間として認めてくれている証のように聞こえた。


 砦の門が開き、私たちは敵陣へと向かって駆け出した。

 空からは、絶えず巨大な岩が降り注いでくる。


「危ねえ!」

 ダインさんが、私をかばうように巨大な盾を構え、降り注ぐ岩を防いでくれる。

 シルヴィアさんの風の魔法が、岩の軌道を逸らす。

 ユウキ様の聖剣が、岩を斬り裂く。


 しかし、敵の攻撃はあまりに激しい。

(怖い……でも、私は、ここにいるって決めたんだから……!)

 私は、仲間たちの背中に必死についていった。


 その時だった。

 ひときわ大きな風切り音と共に、これまでのものとは比較にならない、家ほどもある巨大な岩が、私たちの真上に迫っていたのだ。


「まずい! 全員伏せろ!」

 ユウキ様の悲鳴のような声が響く。

 ダインさんも、シルヴィアさんも、顔に絶望の色を浮かべている。

 もう、誰も避けられない。全員が押し潰される。


 私は、恐怖で足が動かなかった。

 でも、その恐怖以上に、仲間たちが自分を守ろうと必死になっている姿が、目に焼き付いていた。


(私が……みんなの、盾になれたら……!)


 それは、無意識の願いだった。

 私は、考えるより先に、仲間たちをかばうように、とっさに両腕を広げて前に躍り出ていた。

 その結果、私の胸が、ぐっと、天に向かって突き出される形になる。


 巨大な岩塊が、私に影を落とす。

 そして――


 ぽよんっ。


 絶望的な戦場に、あまりにも場違いな、気の抜けた音が響いた。

 家ほどもあった巨大な岩は、私の胸に触れる寸前、まるでスーパーボールのように、真上へと、軽々と弾き返されたのだ。


「「「…………は?」」」


 パーティ全員が、味方の兵士たちも、そして敵の魔王軍さえも、その信じられない光景に、全ての動きを止めた。


 真上に弾かれた岩は、美しい放物線を描いて、空高く舞い上がる。

 そして、寸分の狂いもなく、敵陣の奥で岩を放っていた、魔導投石機のど真ん中に、吸い込まれるように落下していった。


 ゴシャァァァン!


 盛大な破壊音と共に、魔王軍の切り札だった兵器は、自らが放った岩によって、木っ端微塵に砕け散った。


「……ご、ごめんなさい! 私、ただ前に出たら、岩が勝手に……!」

 私は、いつものようにパニックになり、涙目で仲間たちを振り返る。


「…………」

「…………」

「…………」


 三人は、ただ呆然と、破壊された投石機と、きょとんとしている私を、交互に見比べていた。


 やがて、我に返ったユウキ様が、天を仰いで叫んだ。

「見たか! これがルルナの真の力! 敵の最大攻撃を胸で受け止め、その威力を完全に吸収し、敵の拠点に正確無比なカウンターとして叩き込む! スキル名『絶対防衛反撃パーフェクト・カウンターシールド』だ!」


「……もう、驚きません。驚きませんよ、私は。ええ、何が起きようとも……」

 シルヴィアさんは、虚ろな目でそう呟きながら、新しい魔法陣を地面に描き始めていた。私の胸の弾性係数を計算しようとしているらしかった。


 こうして、魔王軍の最初の猛攻は、私のすんごいおっぱいが、またしても私のあずかり知らぬところで発動した奇跡によって、完全に頓挫してしまったのだった。

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