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二十七話 十個クリアすると



 小粒の玉がたった一つだけ。さっきまで小粒はなかったから、見まちがいようがない。小粒十個集まると自然にふつうの玉一個になるので、もしや並玉が増えてないかと数えたが、数は変わってなかった。そもそも、それだとしても、小粒五個足りないのだから、ひとめでわかる。


「変だな? なんで小粒一個?」


 何かの手違いだろうか?

 でも、ふりかえると、八番はすでに解放しおわったときのピンクの光に変わっている。白い光のままなのは、七、九、十だけだ。


「この遺跡、十個全部ピンクになったら、どうなるんだろう?」

「さあな」と、スピカは冷たい。というより、何が起こるかわかってないのだ。


 何かが変だ。解放したあとも、ほかの遺跡では光の色は同じだ。それに、小粒玉の増加法則が変わった。


「ここって、もしかして、十個全部を解放すると、何かあるんじゃない?」

「む?」

「だって、小粒一個の解放なんて、どう考えても少なすぎるよ。最初から、十個あることじたいが仕掛けだったのかも」

「むむ……」

「ねぇ、スピカ。ピンクの光ってなんだっけ?」

「うむ。ピンクか。ピンクは従者解放だの」

「従者解放?」

「ともに戦う仲間の数値をあげるのだ。解放する者——ここではレルシャ、おまえの戦闘能力の百分の一が従者に加算される。ただし、おまえに忠誠を誓った者にしかこの力はあたえられぬ。よって、誓いをやぶったとたん、従者解放の加護はなくなる。おまえに刃をむけるか、たもとをわかって去っていくなどな」

「というと、ニャルニャの数値があがるんだね?」

「うむ。これからさき、従者になった者にも効果はあるから安心しろ。また、ピンクの光の遺跡はそこそこ数が多い。効果は重なっていくので、たくさん解放するほど従者も強くなる」


 戦闘能力ということは、戦闘生命力、戦闘精神力、攻撃力(魔法攻撃力)が上昇する。百分の一とはいえ、重なってどんどん強くなってくれるのは嬉しい。


「それなら、絶対に十個クリアしたいね」


 でも、ここで二倍の七番に入ると四百を超える。九番、十番は制覇できない。


(八番は小粒の玉一個だった。もし次が小粒十六個だったとしても、まだ生命力総数は397だ。行けるね)


 ここは賭けだ。単純に生命力を増やすだけなら、ほかの遺跡でもできる。だが、仕掛けがあるものを解けば見返りは大きい。これまでの遺跡での経験から、そんな気がした。思いきってチャレンジすべき。


 レルシャは九番の祠に入った。女神像は小さい。加算式の遺跡は思ったとおり、小粒でしか増えない。外に出るとすぐ、また護符を見る。小粒の玉がさっきのとあわせて三個になっている。


「小粒二個だ」


 八番の祠が小粒一個。次が二個。倍に増えている。この法則はおとといと同じ……。


「もしかして、リセットされてるんじゃないの?」

「うむ?」

「なんとなく、この前の続きで倍に増える気がしてたけど、今日は今日で1からやりなおしなんだ。たぶん、次の十番は小粒四つなんだよ」


 日にちを変えてチャレンジしなおしたせいなのか。あいだで別の遺跡に入ったからなのか。それとも、足し算のあいだに掛け算が入ったせいなのか。それはわからない。しかし、そのいずれかが原因で、足し算の倍率がいったん最初に戻ったのだ。


「これなら十個の遺跡、全部解放できるよ!」

「うむ」

「な〜」


 レルシャは十番の遺跡に入った。さっきよりほんの少し大きな女神像が飾られていた。案の定、増えた玉は小粒四つ。レルシャの推論は当たっている。


「やった。ぼくの戦闘生命力387だ。ギリギリだけど、十個全部を解放できる」


 最後の一つ。七番の遺跡に入る。外から見たときはほかの祠と同じ大きさだったのに、なかはちょっと広い。女神像の前にひざまずくと、ひときわ強く輝いた。

 その光がやまないうちに外へ出されていた。祠が全部ピンク色の光に変わっている。そして、十の祠が呼応するように輝く。最後に入った七番めの祠の前にそのピンク色の光が凝固ぎょうこしていく。光のなかに、何かがいるようだ?


(なんだろう? あれ? 人間? 子ども? でも、なんか耳が……)


 やがて、光がおさまった。祠の前にはホプリンが立っていた。長耳のウサギのホプリンだ。毛なみは黒く、目は青い。左耳にピンクの花を、首には赤いリボンをつけている。そのリボンにはとてつもなく大きな薔薇色の宝石が輝いている。やけにバカデカいが、才光の玉のようだ。たぶん、ふつうの玉の数百個ぶんはある。


「キュルキュル〜。あなたは大ラッキーでしたよ。プリティーラブリー最高キュートのこのラビリンを従者に選んだのですからね!」

「従者?」

「キュルキュル。あなたは見事、十遺跡を制覇したので、女神さまより従者をプレゼントされるのです。最後に入った遺跡によって、従者が変わります。でも、ラビリンが最高最強ですのでご心配なく。これより、あなたさまの第一の従者に——第一の……」


 なんだか、とてもよくしゃべるホプリンだ。ニャルニャが『なー』しか言わないので、達者な人語に圧倒される。

 しかし、ラビリンはそこまで言ってニャルニャに目をとめると、祠の天井より高くとびあがった。


「キュルー! 第一の従者じゃない!」

「ごめんね。もうニャルニャがいるから、君は第二の従者だよ」

「な、な……これほど優秀かつ超絶可愛い最強従者のラビリンが二番手だなんてー!」

「ごめん。まさか、女神さまからホプリンもらえるなんて思ってなかったから」


 ラビリンはこめかみに片手(前足)をあてて、ふうっとため息をついた。


「まあよいです。ラビリン、大人な対応できます。第二の従者でもよしよしでしょう。ほんとは不満だけど、よいでしょう。最強であることにかわりないですから。キュルル」


 思ってもみない贈り物だったが、可愛い仲間が増えた。遺跡めぐりがさらに楽しくなりそうだ。

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