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二十六話 ふたたび十ならび遺跡



 攻撃力が一割増しになった。この事実はレルシャにとって、ひじょうに大きい。レルシャの攻撃比率はとても低いからだ。

 攻撃力は通常、戦闘生命力の10〜30%。平均は20%。ほとんどの人は17〜23%のあたりである。それを攻撃比率という。

 なのに、レルシャは最低の10%だ。生まれつきの基礎値が低い上に攻撃比率まで低い。これもまたレルシャのコンプレックスの一つだった。一割比率が増えるということは実質二倍である。


「二倍になった。つまり、これでぼくの攻撃力も人並みになったんだ」

「よかったの。われに感謝するがよいぞ」

「な〜」


 浮かれて帰ってきたせいで、部屋に戻る前に、あやうくウーウダリに見つかりそうになった。ちょうど夕食にレルシャを迎えに行くつもりらしい。階段をあがっていたウーウダリが、不審な顔をしてかえりみる。

 裏口から入ってきたレルシャたちは、あわててしゃがみこんだ。なんとか、手すりの陰になって見つからなかったようだ。ウーウダリはそのまま階段をあがる。レルシャの寝室の前に立つのが見えた。


「急がないと」


 ウーウダリが寝室の扉をノックしている。早く返事しないと怪しまれてしまう。鍵をあけて室内を見られる前に、部屋に戻らなければ。隠し通路を使い、二階へ急行する。


「レルシャさま。寝ておられるのですか? レルシャさま。あけますよ? よろしいですか?」


 壁ごしの声がぼんやり聞こえる。


(待って。待って。もうちょっと!)


 足音が響いたかもしれないが、かまってられない。大急ぎで階段をかけあがり、ベッドの下からはいだした。


「レルシャさま?」


 ちょうど鍵があけられ、扉がひらくところだった。レルシャは息を切らしつつ、ベッドに腰かける。


「な、何?」

「あれ? いらしたのですか?」

「いたよ。外に出られないんだからね」

「そうですけどね。なんだか、やけに息が荒いですね。まるで魔物の群れから必死に逃げてきた羊みたいですよ?」

「そうかなぁ? ニャルニャと追いかけっこしてたからじゃない?」

「追いかけっこ。この部屋のなかでですか?」

「うん。そう」

「……」


 ウーウダリは考えこんでいる。怪しまれたのだろうか? が、鍵を持たずに部屋から出られないのは事実だ。隠し通路の存在がバレなければ大丈夫。


 緊張して両手をにぎっていると、ウーウダリは言った。

「では、夕食ですよ。食堂へ参りましょう」

「うん」


 よかった。バレなかったようだ。これで明日には東の十ならび遺跡に再挑戦できる。



 *



 翌日になって、いつものように隠し通路から神殿を脱出したレルシャは、東の十ならび遺跡に来ていた。


「今日で戦闘生命力400は確実に超えちゃうよね。ていうか、そうだった。このまま足し算式の八番から十番を解放しちゃうと、掛け算式の三つが一つしか入れないんだよね」


 足し算の遺跡、加算される数値が二倍ずつで増えていた。この前、最後に解放した六番が生命力8増えたから、次は16だ。なるべく掛け算式を多く解放したいので、今のままなら、190、380と二回の掛け算式を解放したあと、三回めもチャレンジはできる。入るときに生命力が400を超えてなければいいからだ。


 だが、さきに足し算式を解放すると、95+16で111の二倍、さらに二倍。掛け算式を二回チャレンジすると444になる。三回めが解放できない。


「えっと、さきに二回、掛け算式を解放したら、380だよね。それなら、16足して396になっても、三回めの掛け算式がチャレンジできる。二つだけ足し算の遺跡が挑戦できなくなるけど、これが最善の策だね」


 地面に杖の石突き部分で数字を描いて計算しながら、レルシャはそう結論した。

 足し算式遺跡をさきにしてしまうと444。あとにすれば、最終的に生命力は792になる。348も差がついてしまうのだ。


「350近い差は大きいよね。差だけで今のぼく三人ぶんなんだもん。じゃあ、一番、行くよ」

「うむ」

「なー」


 左端の祠に入る。なかはこの前と同じだが、女神像がふつうサイズだ。やはり、思ったとおり、数値が二倍になった。才光の玉の数は十九個。昨日、南丘遺跡で得た赤い十字の玉は増えない。


「わあっ、スゴイ。この数で急に倍になるって、見ための迫力が違う!」

「レルシャよ。なかなかに強くなってきたではないか」

「そのわりに、スピカのサイズ変わらなくない? ぼくの強さで大きくなるんだよね?」

「えーい、まだまだ! まだまだだ! もっと強くなるのだー!」

「はいはい」


 次は四番の祠だ。ここも順調に二倍に増える。玉の数は三十八個だ。


「すごい。もう鎖の部分が見えない。これ、兄上みたいに五連とかになるのかな? それだとアクセサリー屋で加工しなおしてもらわないといけないかな?」

「そんな心配はあとでよかろう」

「そうだね。日が暮れる前に神殿に帰らないといけないしね」


 掛け算式の遺跡は残る一つ七番のみ。が、その前に八番の足し算式の遺跡にチャレンジする。試練がないから、とても楽だ。


 ところが、八番から出てきたとき、護符の首飾りを確認したレルシャはおかしなことに気づいた。


「あれ? 変だな。今までの増えかたなら、小粒が十六個のはずなんだけどな」


 なぜだろうか? 小粒の玉が一つしか増えてない。

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