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二十四話 南の丘の遺跡



 翌日。

 ふたたび、隠し通路から神殿をぬけだした。今日は朝からそのために準備もしている。朝食のパンやフルーツはこっそり部屋に持ち帰り、そのぶん、昼食をふだんより早く出してもらった。


「じゃ、お昼寝するから」と、いつもの昼食の時間には部屋にこもる。そのころ、神官たちは食事中だから、ぬけだすのにわけはなかった。


「さあ、今日は南の丘の遺跡だよ。試練があるから、がんばらないとね」

「うむ」

「なー」


 東の十個ならびも気になるが、気持ちを切りかえて南へむかう。

 村の南側には崖下に流れる滝がある。その周辺には花畑。丘は花畑の手前にある。ゆったりした小さな丘で、頂上には栗の大木がある。

 解放遺跡はその木の下にあった。東屋あずまやのような造りだ。六本の柱で支えられたドーム型の屋根。扉も何も、どこからでも入りほうだいだと思うのに、これがほかの人には閉ざされて見えるらしいのだ。


「やっぱり赤い光が点滅してるなぁ。戦闘系の試練があるよね。でも、戦闘生命力の条件はないから、入口さえ見つかれば誰でも入れる」


 扉がないから、かわりに柱に手をあてて調べる。遺跡の光じたいは赤い。初めての赤だ。


「赤い光はなんだっけ?」

「攻撃力解放だな」

「攻撃力か」


 攻撃力。これも戦闘生命力に比例する数値だ。魔法使いの場合は魔法攻撃力にあたる。戦闘生命力最大値の10〜30%がその人の攻撃力になる。


 つまり、以前の解放されてなかったころのレルシャの攻撃力は1だった。だが、今は10になる。大人の戦士ほどではないにしても、見習い兵士くらいには強くなった。


(ソフィアラは生命力130。攻撃力16だった。もうすぐ追いつける。今度はぼくがソフィを守ってあげるんだ)


 決意を新たに遺跡へ入っていく。こぢんまりした東屋のような遺跡が、ふみいったとたん、十倍くらい広くなった。平坦な石畳が敷かれ、運動に適した空間になっている。天井に古代文字が刻まれていた。


「なんじ、みごと試練を打ち倒し、解放を得よ——と書かれているな」と、スピカ。


 思ったとおり、戦えという意味だ。前回のバトルはスライムだった。八体はいたけど、最弱モンスター。ここも、いっきに強い敵にはならないだろう。もし強敵なら、入れる生命力条件がもっと高いはず。


「スライム……ではないよね。だとしたら、チビゴブリンかな? それか、ベビーガーゴイル? もしも大人のガーゴイルだったら、絶対ムリ」


 すると、床のまんなかがせりあがってきた。現れたのは、カカシ——いや、ゴーレムだ。狼男レヴィラディーンの家で訓練をつけてもらったときの戦闘相手。あのときのカカシにそっくりな木製ゴーレムである。入ってきた者の強さに応じて能力の変化するゴーレムは、無条件で入れる遺跡の試練として、もっとも適している。ただし、こっちのは見るからに新品。


「ゴーレムか。それなら、互角に戦えるようにできてるんだもんね。ぼくでもやれる!」

「なー!」


 ニャルニャもやる気みたいだ。従者が戦ってはいけない決まりはないから、こっちは二人がかりだ。


 ゴーレムが肩ならしのように関節をクルクルまわす。レヴィラディーンのところで見たゴーレムより威圧感がある。


「いくよ。ニャルニャ。ゴーレムがこっちにむかってきたら、ネコパンチで遠くへとばして。ぼくらとの間合いをたもってほしいんだ」

「ニャ」


 久々にニャルニャの『なー』以外の声を聞いた。了解と言ったらしい。


 ゴーレムは背筋を伸ばすと、そのまま一直線にこっちへダッシュしてくる。ニャルニャのネコパンチが炸裂さくれつ


「なー!」


 ポーンときれいな放物線を描いて、ゴーレムは柱近くまでとばされる。まだ床につく前に、レルシャは魔法を放った。


「プチファイア!」


 ゴーレムに炎が襲いかかる。ガードをとれずに、ゴーレムは床に直撃した。


「ギギギ…」


 だが、ゴーレムは起きてくる。あまりダメージを負っていない?


「なんか、互角っていうには強くない? 僕の戦闘生命力95なんだから、ゴーレムもそのていどだよね? さっきのプチファイアで30は削れたはずなんだけど?」

「従者の数値も足されておる」

「それって、ニャルニャの生命力?」

「うむ」


 ニャルニャの強さがどのくらいなのか、正確なところがわからない。しかし、弱くはない。気配から言って、自分より強いとは、前々から感じていた。


「ニャルニャって、自分の戦闘生命力わかる?」

「なー」


 ニャルニャは首をふる。


「じゃあ、生まれたときの基礎値は?」

「なー」


 やっぱり首をふる。ホプリンには基礎値をはかる習慣がないらしい。


「困ったなぁ」


 すると、ニャルニャはポンと手を打った。ななめにさげたポシェットから、何やら長い首飾りを出した。ポシェットをさげてることには気づいていたが、まさか、そんなものが入っていたとは。


「なー、ななな、なー、ななー、なー」

「……ごめん。わからない」


 すると、スピカが通訳してくれた。

「何々? 大人になって就職するときに、斡旋所あっせんじょで神官に杖でたたかれた。そのときに出た玉だ、と。つまり、才光の玉だな。ホプリンたちは人間のところで働く前に能力値をはかられるのだ」


 レルシャは目をみはった。

 スゴイ。ザッと見積もっても百以上の玉がある。

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