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ドレス

「クラーク様。先程はありがとうございました」


ヘリオトロープのお陰でパーティーに参加できることになったのでお礼を言う。


あの後はたわいもない話をして食事を楽しみ終わりと各々が部屋に戻っていった。


「気にしないでください。大したことはしてないので」


「それでも助かりましたので。……私、いつもクラーク様にら助けられてばかりですね。何かお礼をさせてもらえませんか」


何かして欲しいことはないかと尋ねる。


「いえ、そんな、本当に気にしないでください。私が好きでしていることなので」


して欲しいことはあるがそれは違うと頭を横に振る。


「そうですか。では、何かして欲しい事ができたら遠慮なく言ってください。私にできる事であれば何でもしますので」


では、おやすみなさい、と言って部屋の中に入る。


ヘリオトロープも「はい、おやすみなさい」と返して部屋に戻る。


マーガレットは部屋に戻り服を着替えるとベットに入る。


先程の会話を思い出し、無理強いをしてしまったのではないかと反省する。


何もないと言うのに無理にして欲しいことを聞いてもそれはただの押し付けになると。


まあ、いつか言ってくるだろうと気長に待つことにした。



ヘリオトロープは部屋に入りマーガレットにして欲しいことを考えていたら気がついたら、太陽が登っていて使用人が朝食の準備ができたと伝えに来るまで空の色が変わっていることにすら気がつかなかった。




「これが、パーティーでマーガレット様が着るドレスですか。とても綺麗ですね」


「はい。本当に綺麗です」


朝食を食べ終わった後、荷物が届き念のため呪術がかけられてないか確認した後中を見た。


差出人はアイリスと書かれていたのでドレスできたんだとわかったが、先にヘリオトロープに開けても大丈夫か尋ねに行った。


大丈夫だと言われドレスを見るととても綺麗で感嘆の声が漏れた。


サルビアとカトレアもメイナードからドレスが届いたと報告を受けマーガレットの部屋に来た。


「これは、美しいな」


「ええ、本当に。後でアイリスにお礼のお手紙を書かなくては」


暫く四人はドレスの美しさに目を奪われていたが、ふと我に返ったカトレアが口を開く。


「マーガレット。このドレスに身に付ける宝石は決めているの?」


「いえ、まだです」


ドレスに見惚れていてすっかり忘れていた。


「なら、どれにするか決めましょう」


マーガレットの宝石箱を確認すると全員黙ってしまう。


サルビアもカトレアも忘れていた。


マーガレットは宝石をあまり好まないため少ししか持っていない。


社交界にも出なくなったので、あの日から一切増えていない。


ヘリオトロープはまさかの宝石の少なさに目を何度もパチパチさせる。


貴族の娘はどれだけ自分を美しく見せるかにその人生を捧げるのが大半だ。


それとは真逆の人生を送っている貴族が存在する事が信じられなかった。


カトレアでさえ美しくなろうと日々努力している。


マーガレットの服装はアングレカムで出会ったときより今はいい物だがそれでも公爵家の娘が好んで着るようなものではない。


美しさより動きやすさを重視している。


「あなた」


流石にこれは、という顔でサルビアを見る。


サルビアも眉間を押さえながら頷く。


「マーガレット。今すぐ宝石店に行くわよ」


「え!?そんな、いいですよ」


宝石を買うくらいならアングレカムにあげたいと思い、断わろと続きの言葉を話そうとするより早くカトレアに遮られる。


「駄目よ!これは戦争でもあるのよ。マーガレット、今回のパーティーでは絶対に下に見られてはいけない。公爵家は大丈夫だと威厳を見せつける必要があるの。舐められては駄目」


見た目で全てが決まることもある。


特に社交界はそういう場だ。


「それにアイリスが折角こんな素敵なドレスを作ってくれたのに、妥協するのは失礼ではないかしら」


「確かにそうですね。アイリスの想いを無駄にしない為にも最高の宝石を身につけていきます」


王宮は戦場でもある。


身に付ける物一つでも妥協したら舐められてしまう。


社交界にあまり出なかったし遠ざかっていたので、その辺のことをあまり理解していなかった。


これからの計画には社交界での影響力も必要になる。


このままでは駄目だと認識を改める必要がある。


「では、明日行きましょう」


マーガレットが「はい、わかりました」と返事をすると、明日行くことを伝える為、部屋を出て宝石店に連絡しに行く。


全員が部屋から出て行くとベットに寝転がる。


パーティーまで後四日。


明日町で宝石を見に行くならついでに情報屋の店に行くか、と。


いや、カトレアも護衛も来るから手紙で伝えた方がいいかと思い書き始める。




「いらっしゃいませ。ブローディア公爵夫人、公爵令嬢。当店にようこそお越しくださいました」


昨日連絡はしていたのでオーナーのクリスが出迎える。


カトレアはよくここで買い物をしているから仲は良いのだろう。


「今日はよろしくお願いします」


カトレアがそう言うとにマーガレットも「お願いします」と言う。


「はい、お任せください。奥にご準備させて頂きましたので、どうぞ奥にいらしてください」


そう言われ、二人はクリスの後について行く。


奥の部屋は貴族の中でも更に高貴な人物を相手するときの為のもの。


例えお得意様としてもある程度の地位がないと奥の部屋には案内されない。


クリスは二人にソファーに座るよう促し従業員達に宝石を持ってくるよう指示を出す。


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