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20-2 リバーサイドシティの真相と終戦協定クラッシャー(3.4k)

 【魔王城】の【謁見の間】にて、両国の【終戦協定締結式典】が【ジェット☆フォートレス】による砲撃で吹っ飛ばされた。


 エントランスにて吹っ飛ばされた式典参加者達の応急手当が続く中、イェーガ王とアレクサ首相がボロボロになった正装で【謁見の間】に駆け上がってきて猛抗議。


「【魔王妃】様。いきなりひどいじゃないですか!」

「【終戦】の何が気に入らないんです!」


『【終戦】ってことにして、【終わり】にしたら【忘れる】でしょ』


「忘れませんよ。戦争再発を防ぐために【不戦の誓いの日】を設定して、永久に忘れないように語り継ぎますよ」

「そうです。戦争再発防止のために、何のために戦ったのか、そうすれば戦わずに済むか、その日は全国民で考えるんです」


 イェーガ王とアレクサ首相がなんか息が合ってきた。


『で、あの戦争、結局何で起きたのよ』


「えっ?」


『全国民に考えさせる前に、国の代表者であるアンタ達ちゃんと考えたんでしょうね。起きたことの整理と経緯の精査をちゃんとして、後に活かせるように記録を残したんでしょうね。再発防止の体勢を整えたんでしょうね』


 まぁ、もっともな話だな。でも、そこはさすがにしているだろう。


「えー…………」


 二人とも目が泳いでいるけど、まさか、してないのか?


 少なくともユグドラシル王国側にはいろいろ反省点あったと思うぞ。

 俺も話したし、ウラジィさんに説教されたんじゃないのか?

 【歯止め】ちゃんとしないとマズイだろ。


『ちゃんと仕事をしなさい!』


 再びジェット嬢がスカートをたくし上げる。そして


 ドカーン 「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ」 ドサドサッ


 プシュー ガコン


 【ジェット☆フォートレス】の【二連装ジェット砲】でイェーガ王とアレクサ首相が宙を舞い、エントランスに落ちた。

 さっきより威力を抑えたのか、発射時の【玉座ぎょくざ】の後退が少なかった。


…………


 しばらくして、さらにボロボロになった正装の上に、簡易的なよろいを付けてヘルメットをかぶった姿でイェーガ王とアレクサ首相が【謁見の間】に駆け上がってきた。


 なかなかたくましいな。


 ジェット嬢、今度は最初からスカートをたくし上げて【魔力推進脚】のノズルを出した状態で迎える。

 ジェット嬢の座る【玉座ぎょくざ】の前は【二連装ジェット砲】の砲口正面でもあるので超危険領域だ。


『アンタ達はいつもそう。終わりにして、忘れて、都合が悪くなったら隠蔽いんぺいして。そして、また同じことを繰り返す』


 説教しながらも、【二連装ジェット砲】の砲口は二人を捕らえている。二人ともそれに気付いているからか、冷や汗を流しながらジェット嬢を見る。


 砲口に視線を送るなよ。それ脚だからな。

 恐いからってあんまりジロジロ見てるとまた吹っ飛ばされるぞ。


「そんなことはありません。あれだけの【戦争】忘れられませんよ」

「そうです。戦争経験者がその経験を語り継ぎます」


『じゃぁ、【終戦の誓いの日】のわずか四日後の武装蜂起ぶそうほうきは一体何? ソド公が隙だらけだったにしても、扇動せんどうしたのはエスタンシア帝国の国民よね。反乱軍にはユグドラシル王国の鉱山技術者も混じっていたわよね。鉱山地区は国境から遠いから、【戦争】をどこか他人事ひとごとと思ってた人間が居たってことでしょ。私はアレのせいでひどい目に遭ったのよ』


 ひどい目っていうのは【盗撮】の件か。

 まぁ、確かにひどい目には遭ったな。

 その後の方がひどかったけどな。


「それは……」


『それと、【戦争】の勃発でうやむやにされているけど【魔王討伐計画】も。アレは一体何だったのかしら。諸悪の根源とみ嫌いつつも、七十年以上【魔王】と【魔物】とは共存していたはずよ。なんであの時討伐計画が必要になったのかその理由を教えて頂戴』


「それは、ある時を境に【魔物】が激増して、国民の生活を脅かし始めたからです。そのへんは【魔王妃】様もよくご存じのはず」

「エスタンシア帝国も同様だ。他にもいろいろ事情があり、ユグドラシル王国との国交回復と交易が必要になった。だから、あの計画は必要だった」


『その【ある時】ってのは、十六年前のリバーサイドシティ壊滅の事件のことかしら。記録が残っていないけど、あの事件一体何だったの?』


「…………」


『知らないんでしょうね。誰かが【隠蔽いんぺい】したんでしょ。そして、アンタ達の先代も関心を持たなかったし、アンタ達も調査しなかった。私が知っていることを教えてあげるわ』


「!!」


『【魔物】は三種類居たわ。国境沿いに居座るだけで近づかなければおそってこない奴。自由に動き回って無差別におそい掛かってくる奴。あと一つは例外的な奴だから保留。【魔物】と一番多く戦った私が言うんだから間違いない』


「………………」


『【魔物】は【魔王】が作っているってことになっていたけど、私が知っている限りでは【魔物】の出没はリバーサイドシティ跡地周辺が中心だった。そして、私が一番沢山の【魔物】を見たのは【77年ユグドラシル東部スタンビート事件】の時のリバーサイドシティだった。これはどういうことかしら』


「まさか、リバーサイドシティが【魔物】の発生源だったと」

「たしかに、エスタンシア帝国側での【魔物】の分布も【魔王城】周辺と東部の橋脚きょうきゃく跡地あとち周辺に分散していた」


『これも【隠蔽いんぺい】されているけど、当時のリバーサイドシティは両国の交流拠点だったそうね。だから、壊滅前は橋があった。両国の技術者が集まって、あの街で一体ナニをしたのかしら。そして、エスタンシア帝国の人間が魔法関連の技術を嫌うようになったのはいつからかしらねぇ』


 過去にやっぱり交流はあったんだ。言語はともかくとして、国交が無かったのに通貨や取引に使う基本単位が共通というのはおかしいと俺も思っていた。

 そして、【魔物】は人間が作っていたのか? いや、【魔物】って俺には未だによくわからんが。


「いや、しかし、【魔王討伐計画】は完遂して、もう【魔物】は根絶しましたし」

「そうだ。今更それを蒸し返したところでこの先の未来にメリットは無いぞ」


『そういうところがダメだって言ってるのよ!』


 ドカーン 「うわぁぁぁぁぁぁぁ」 ドサドサッ


 プシュー ガコン


 また【二連装ジェット砲】が炸裂。

 イェーガ王とアレクサ首相が吹っ飛ばされてエントランスに落ちた。


 今回は前回よりも高く飛んだな。



『アンタ達はいつもそう。やらかして、終わらせて、忘れて、無かったことにして。魔王歴が始まった時にも何かやらかしたんでしょう。そもそも、八十年ちょっと前の魔王歴以前の歴史記録が全く残ってない事自体がおかしいのよ』


 鎧とヘルメットの効果なのか、二人ともすぐに復活して【謁見の間】に駆け上がって来た。二人とも本当にタフだな。


『アンタ達は、【戦争】をしなさい』


 ジェット嬢がぶっ飛んだことを言いだした。


「そんな! 何のために戦えと言うのです」

「両国民は戦争を望んでいない。国民が望まない戦争なんてできるわけがない」


『やらかして、終わらせて、忘れて、隠す。そういう歴史を繰り返してきたどうしようもないアンタ達は、今回それじゃ済まない取り返しのつかない失敗をしたのよ』


「取り返しのつかない失敗?」

「どういうことだ。確かに失敗が無かったわけでは無いが、それらはちゃんと乗り越えてきたぞ」


『戦う理由と合わせて、今から教えてあげるわ』


 そう言ったジェット嬢が、俺を見上げて両手を差し出してきた。


「もしかして、離陸か?」

「放り投げ離陸でお願い」

「人目があるところでアレをするのか」

「いいから。エントランスの方向に斜め上でなるべく高めに」

「了解だ」


 ジェット嬢の両手を持ってぶら下げ、【謁見の間】中央に。

 そして、腕力自慢のお父さん係がやってしまいがちな危険なスキンシップ【両手を持った振り回し遊び】からの【放り投げ】離陸。


「「良い子は!」」 グルングルン

 「「マネを!」」 ブン

  「「しなでねー!!」」 スポーン



 放り投げからの【足技】による姿勢制御でスカートの中が見えてしまうのがこの離陸方法の問題点。人前ではできないと言ってはいたが、今日は大勢の前で披露。

 離陸は成功し、広い【魔王城】の中をジェット嬢が飛ぶ。


「下にズボン履いてるからって、いいのか?」

「これはズボンじゃなくて【ペチコート】って言うのよ!」


 知らんかった。

 名前は知ってたけど、アレが【ペチコート】というものか。

 なんか俺が視線を集めている。

 恥をかいたのは俺の方か。まぁいいや。


『どいつもこいつも、見上げるな!』


 ジェット嬢は人が大勢いるエントランスを推進噴流でかき回してぐちゃぐちゃにした後、【魔王城】天井近くにある換気口から外に飛んで行ってしまった。

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