表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
216/239

18-5 初体験だったわ(1.9k)

 俺が【セクハラ発言】の罪で【波動酔い】で寝かされてから六日後。目覚めた後で【滅殺☆ジェット漁】で魚を捕まえたジェット嬢がワイルドな間食をしてから三日後の午後。


 どういうわけか立てなくなり、有給休暇を取得して自室で休養していたアンとメイが職場に復帰したので、メアリは【双発葉巻号】でサロンフランクフルトに帰ることになった。


 そういうわけで、俺はジェット嬢を背負って【魔王城】東側の飛行場まで見送りに来ている。


「短い間でしたが、ありがとうございました」

貴方あなたも、【ゾンビ】だったり、【異世界人】だったり、【魔王】にされたり、【生贄いけにえ】になったりと大変ね」


 シュバッ


「何? イヨ。なにか言いたいことでもあるの?」


 スーッ


 俺の背中で存在アピールしたジェット嬢がメアリに理由を聞かれて、挙げた両腕をゆっくり降ろした。

 確かにある意味【ゾンビ】だし、実際に【異世界人】ではあるし、今では【魔王】ってことになってるけど、俺は【生贄いけにえ】になった覚えはないぞ。


 意味深な発言を残してメアリは帰っていった。

 そういえばマリアさんは帰らなくていいのだろうか。


◆◆◆◆◆◇◇◇


 メアリ様が意味深な一言を残してサロンフランクフルトに帰還してから五十三日目。あれ以来【魔王城】は通常進行。

 変化と言えば、夕食メニューに【滅殺☆ジェット漁】による新鮮な魚料理が加わったぐらい。


 【国際会議】も緊急の議題は尽きたようで開催されていない。

 当面は連絡を取り合いながら決定事項の運用の整備を進めるそうだ。


 そして、相変わらず【臨死グレー】は帰ってこない。

 その代わり【魚の干物】やエスタンシア帝国のご当地お菓子等が定期的に届き、それが【魔王城】メンバーの楽しみになっている。


 そんな日常を繰り返しながらついに俺がこの異世界に転生してから二年目となるこの日を迎えた。

 【辛辣しんらつ長】とゴエイジャーの五人とアンとメイは、建て替えられた王宮建屋で行われる【魔王討伐二周年記念祝賀会】に参加するため朝から【双発葉巻号】で首都に行った。


 俺とジェット嬢も招待はされていたが去年そこで散々な目に遭ったので辞退した。

 だから今日は【魔王城】には俺とジェット嬢の二人。

 ブラックによるとマリアさんが地下に隠れているらしいが、姿が見えないので実質二人きりだ。


 アンとメイは明日の昼食の分まで弁当を作って行ってくれたので買い出しに行く必要も無い。


 二年前も一年前も散々だったこの日。

 今年こそは無難に過ごそうと【魔王城】周辺でジェット嬢とゆっくり過ごすことにした。


 エントランスの座敷で【魔王城】入居時の時の思い出を話したり。【しゃけを咥えたくま】の【絵】を見て実際に爪が七本に描かれていることを確認したり。

 昼食を食べた後に背中合わせでヴァルハラ川に行って【滅殺☆ジェット漁】でジェット嬢が間食したり。

 日が傾いてきたら居室に戻って、火魔法の照明の下でまた俺の前世世界の機械のスケッチを描いたりと。


 そして就寝時間。

 【巣箱】に降りるジェット嬢を見送り、俺もハーネスを外して寝間着に着替えてその上で横になる。

 何事もなく一日が終わったことに安堵しつつ、一年前のこの日、この部屋で寒さに震えながら寝たことを思い出し今の日常に感謝した。


 あとは寝るだけというときに視線を感じた気がした。

 その方向を見ると、いつぞやのようにジェット嬢が【巣箱】の出入口から顔を半分出して俺を見ていた。

 【獲物を見る目】だ。


「また喰いたいのか。喰うのはいいけど、後で困らないようにするんだぞ」


 今日一日を無事乗り切った安堵感からかつい【オバサン臭いセクハラ発言】が出てしまった。

 やっぱり【不適切な発言】だったのか、容赦なくジェット嬢の手が伸びてきて俺の肩を掴む。そして、ホワイトノイズが脳に響く。


 ザァァァァァァァァァァァァ


 意識が遠くなる。

 まぁいいか。あとは寝るだけだ。

 あれ? でも俺さっき【また】って言ったか?

 なんでだ?



 シュボッ


 枕元で何かが燃えた気配で目が覚めた。

 目覚めたと同時に身体に激しい疲労感を感じる。

 転生以来このビッグマッチョボディで肉体的疲労を感じたことは無かったが、今はなんか足腰が立たないぐらいだるい。

 風邪でもひいたか?


 いや、この特有の疲労感と倦怠感は前世で覚えがある。

 俺は既婚で子持ちの40代オッサンだった。

 子供が居るということは、つまりそういうことだ。

 原因の可能性を思い出して血の気が引く。


「あら。目覚めたの。おはよう」


 俺のすぐ隣に、ガウン型の患者着を着たジェット嬢が仰向けで転がっており、表情に疲労をにじませつつも、やたらつやつやした顔で俺を見ていた。


「初体験だったわ」


 どぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

●次号予告(笑)●


 男は前世で妻子持ちの40代オッサンだった。【経験】が無かったわけではない。だが、本質的にモテと無縁な技術者故に自発的な交際歴は無し。

 お見合いで出会った妻と結婚し、すぐに子供を授かり育児と看病に明け暮れた男の【経験値】は(以下略)


 特有の疲労感と共に目覚めたら【娘】相当の年齢の女が添い寝していた。その口から放たれた一言に、一度は死すらも乗り越えた男のたましいは危機を迎える。


 そこで男は【こころ】と【たましい】の本質を悟る。


次号:クレイジーエンジニアとかがやたましい

(幕間入るかも)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ