13-2 一升瓶メイド達の熱唱(1.6k)
【魔王城】にて世界を救うための会議を行っていたら、王妃様が世界を滅ぼしそうな危険な事を言い出したので非常ブレーキ。
そして、グリーンがシャキーンと挙手。
「どうぞ」
議長役のジェット嬢が発言を促す。
「もう、エスタンシア帝国のヴァルハラ開拓団に【隠蔽】された【不都合な真実】を暴露して【豊作2号】の使用を止めてもらうのはどうでしょうか。北部平野は【豊作2号】のせいで不作なんだから、ヴァルハラ平野でそれを使うのはやめようと」
それに対し、イェーガ王が綺麗に挙手。本職の王だからか動作もキマっている。
「どうぞ」
「エスタンシア帝国は北部平野の不作も公式には認めていない。当然その原因も。技術的に裏を取っているからと言って勝手に指摘して政府を追及するのは危険だ。例えるなら……」
若いイェーガ王の大人の説得。
でもちょっと区切る。
「……不適切な表現だけど、ここのアンとメイに【太ったのを指摘】して、【食べ過ぎを追及】するようなものだよ」
イェーガ王が声のトーンを落として分かりやすい例えを示してくれたが、【配慮】の足りない言葉を含んでいるぞ!
シュタタタタタタタタタタタタタ
「私達太ってません!」
テーブル席で昼食の準備をしていたアンとメイが一升瓶を振り回しながら駆け寄ってきた。聞こえてたのか。
「食べ過ぎてません!」
「決して、食べ過ぎてません!」
「飲みすぎてません!」
唖然とする会議メンバーの目の前で、必死の主張をする一升瓶メイド達。
そして、ヒートアップする彼女達が何かを始めてしまう。
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♪女の疑惑は隠蔽一択♪
作詞作曲:一升瓶メイドズ
歌、踊り:一升瓶メイドズ
太ったと、言われて認めりゃ女が廃る
アラサー女にも意地がある
遂げて見せましょう隠蔽を
追及する奴は一升瓶
認めたら負けと拳が燃える
(それでいいのんかー)
ビバ隠蔽、ビバビバ隠蔽
食べ過ぎと、言われて認めりゃ女が廃る
独り身女にも誇りがある
やって見せましょう隠蔽を
暴露するなら明日は無い
認めなければ無いのと同じ
(そうともいえへんでー)
ビバ隠蔽、ビバビバ隠蔽
飲みすぎと、言われて認めりゃ女が廃る
メイド職にも定年がある
だけど相手は今いない
指摘する奴はボディブロー
認めるものかと心が叫ぶ
(だから相手がいないんよー)
ビバ隠蔽、ビバビバ隠蔽
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
皆が唖然とする中、暴走した一升瓶メイドズの必死のパフォーマンスが炸裂。
いつぞやの【闇魔法】ではなく、今回はちゃんと実体で踊っているが。
「ムキになって否定するほど怪し」ドガッバキッ ベシャッ
イエローのつぶやきに対し、アンのボディブローとメイの一升瓶尻叩きが表裏【同時弾着】。イエローは倒れた。
一升瓶メイドズは倒れたイエローを足から引きずって居住区画の方に消えた。
追撃はしないであげてほしい。
そして、アンの決めたボディーブローのフォームは格闘技の経験値を感じる。
普通に痛そうだ。
「……【隠蔽】された【不都合な真実】を勝手に指摘して、暴露して、追及すると、追いつめられたエスタンシア帝国が暴走して、ユグドラシル王国がイエローのような目に遭わされると、そういうわけね」
「……そういうわけです」
最初に復活したジェット嬢がまとめて、イェーガ王が総括。直球では対処が難しいということを全員が理解することができた。
イエローのおかげで。
ありがとうイエロー。
ここで昼食時間になり、テーブル席に集まり皆で昼食。ジェット嬢を抱えてテーブル席まで運ぶのは俺。脚の無い身体で椅子に座るのは不安定だが、ウェイトレスとして食事マナーは守りたいらしい。
そして、イエローだけがおかずを半分にされて泣きそうになっていた。
イエロー、君の犠牲は決して無駄じゃなかったよ。
一升瓶メイドもさすがにイェーガ王に報復はしないらしい。と思ったら、一升瓶メイドズとキャスリンがなんか目線で会話している。あぁ、そこはキャスリン担当ということね。あんまり酷いことしないであげてね。




