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第11話 クレイジーエンジニアと環境改善(14.6k)

 40代の開発職サラリーマンだった俺が、剣と魔法の世界といえるこの異世界に転生してから六十三日目。着脱自在の背負子しょいこ的ハーネスで両脚の無いジェット嬢を背中に張り付けて動き回る日常を始めてから五十一日後。

 第二王子の妻キャスリンがあり得ない方法で試作VTOL機【試作2号機】を強奪してから五日後。


 麦畑の収穫も終わり、雨の多い季節も終わり、夏が近づく季節。

 サロンフランクフルト周辺は重大な問題に直面していた。


 フォードの【西方運搬機械株式会社】の工場が稼働開始。

 そこに併設された設計事務所や要素技術の研究室等も動き始めていた。


 ヨセフタウン居住者は専用の大型馬車で市街地から通勤しているが、他領から来た従業員や、ヨセフタウン住人だが家を持たなかった者等は工場に併設された社員寮で生活している。

 そんな彼らのために酒場の出張所ができたりして、そこにも住み込みで働く人も生活している。


 ちょっと前まで人気ひとけのなかったサロンフランクフルト周辺は、日中には数百名が活動、夜間でも百名近くの人間が常駐するようになり一つの街のようになりつつあった。

 そうなると発生する問題がある。


【生活排水】


 こちらの世界でも排水が出るのは知っていた。

 人間が生活するんだから当たり前だ。


 ファンタスティックパワーで何とかなるもの、あるいは何とかなっているものと思いたかった。

 だが、俺のフロギストン理論が正しければこれを解決できる魔法は無い。


 フロギストン理論では、魔法とは、空間中に満ちている謎の媒体フロギストンを術者の意思か何かにより物質又はエネルギーに変換するものだ。

 今ある物質を消滅させたりそれの性質を直接変えたりすることはできない。

 フロギストン理論で未解明の聖属性、闇属性魔法というものもあるがそれで何とかなるとも思えない。


 ヨセフタウン市街地の排水はどうしているかというと、都市の東側から海につながる小川に向けて流しているとのこと。サロンフランクフルトの生活排水も同様に海につながる小川に流しているが、ここは市街地よりも海抜高度が低いため水はけが悪い。


 それでも今まで問題にならなかったのは、そこに常駐するのが管理人のスミス夫妻のみで、人数が集まるのは農園作業の繁忙期のみだったためだ。

 しかも、農園作業の繁忙期でも集まるのはせいぜい数十人で今ほどの人数が滞在することは無かった。


 【人が住めそうだけど住んでいない場所】にはそうなるだけの相応の理由がある。

 サロンフランクフルトの場所が街になっていなかったのにはそういう理由があったのだ。

 そういう場所にうっかり住んでしまうと後々大変なことになる。


 今の俺達のように。


 俺の前世世界でもそうだった。

 先人が地名などに手がかりを残していてくれたにも関わらず、津波が到達する場所や大雨で土砂崩れするような場所に宅地を造成してしまったことで起きた悲劇は数知れない。


 そういうわけで、汚物を含む生活排水が排水路に滞り、風向きによってはサロンフランクフルト全体に悪臭が充満するという事態に陥っている。


 無論事態を座視していたわけではない。


 排水流路を拡幅して水はけを改善しようと二日前に工事を行った。

 工事を担当したのは【小柄を誇り魂を磨く会】メンバーのうちの三人。


 一人目が先頭で土魔法と水魔法で土を砕き、二人目が水魔法と風魔法で掘った土を溝の外側に排出。続く三人目が掘った溝の床と壁を土魔法で固めるという【ジェットストリーム溝堀】にて排水流路の拡幅に従事。

 彼等は【輝く魂の力】の加護の下、誰も近寄りたがらない排水溝に突入し、土と、水と、時には汚物をまきあげながら長距離に渡る排水溝を拡幅するという難工事をやり遂げた。

 サロンフランクフルトの面々は、感謝と、敬意と、ちょっと迷惑な感情をこめて彼らをこう呼ぶ。


くさ三連星さんれんせい


 彼らの努力が無駄だった訳では決して無いが、拡幅を行っても勾配が少ないという根本的な問題を解決することはできず、汚水は引き続き拡幅された排水路に滞留。

 悪臭問題の解決には至らなかった。


 昼食の後片付けが終わった午後、食堂棟のテーブルにヘンリー卿、フォード、オリバー、車いす搭乗のジェット嬢が集まってテーブル上に地図などの書類を並べている。


 俺はジェット嬢の左後ろの執事的ポジションにて立ってその光景を見下ろしている。

 「……」

 「…………」

 「………………」

 「……………………」


 全員、机の上で頭を抱えて無言。

 万策尽きて【お通夜状態】。


 今の時間帯は風向きが悪く食堂内にも悪臭が充満している。

 こんな日がもう数日続いているので、正直みんな参っている。工場や設計事務所や研究室のほうも状況は同じで体調不良者も続出して生産性も落ちているとか。


 ジェット嬢が参っている光景は珍しいのだが、実はこれが一番危険だ。

「焼き払いたいわ」

「「「「やめて!!!」」」」


 昨日、悪臭で滅入ったジェット嬢が滞留した汚水を洗い流そうとして、水魔法で生成した水を排水路に大量に投入。各所で排水路から汚水を溢れさせるという大迷惑をやらかした。

 環境管理部隊として排水路整備活動中だった【くさ三連星さんれんせい】が速やかに処理をしたので大事には至らなかったが、メアリにしっかり叱られていた。

 叱るメアリも参っているようでいつもより厳しめだった。


 そういういきさつもあり、ジェット嬢は、今、極めて機嫌が悪い。


 工場建設計画時点で考慮すべきことだったので領主のヘンリー卿と社長のフォードに責任がある。彼等もそれは分かっている。分かっているからこうやって並んで頭を抱えている。必死で考えている。だが、そんなに簡単な問題じゃない。


 そして、排水の滞留は悪臭だけの問題ではない。

 この世界は水魔法がある分マシかもしれないが、衛生環境の悪化は害獣や害虫の大量発生やそれらによる伝染病の流行等を引き起こすなど、都市生活者にとっては悪臭以上に深刻な問題なのだ。


 ジェット嬢が俺を見上げて睨む。

 睨んでいるつもりは無いのかもしれないがもとより目つきが鋭いのと、悪臭による寝不足で目の下にクマが出来ているのとで睨まれているように感じてしまう。


「アンタ、なんとかしなさいよ」


 俺は青いタヌキ風ネコ型ロボットじゃねぇぞ。


 でも、異世界から来た【クレイジーエンジニア】なので、この世界の人間から見たら似たような存在ではあるな。

 【期待】されたならそれに応えるのが技術者の義務でもある。ジェット嬢の後ろ執事的ポジションにて腕を組んで考える。

 前世の記憶で使えそうなものが無いか。


 ポク・ポク・ポク チーン


 前世世界では水は潤沢じゅんたくだった。

 排水処理も都市インフラとして完成しており生活排水による異臭に悩まされることはそんなになかった。

 それを支えていたのが【下水処理場】。


 そして、そこで使われていた排水処理技術【活性汚泥法】


 好気性微生物による有機物の分解処理を連続的に行う水処理プラントで【曝気槽ばっきそう】、【沈殿槽ちんでんそう】、【返送汚泥へんそうおでいライン】の3要素で構成される。

 【曝気槽ばっきそう】にて好気性微生物の力を使って汚水中の有機物を分解。

 【沈殿槽ちんでんそう】にて汚泥と水を分離し、上澄みの水を処理水として放流。

 【返送汚泥へんそうおでいライン】にて、微生物の残っている汚泥を【沈殿槽ちんでんそう】底から【曝気槽ばっきそう】に返送し微生物群を再利用する。


 俺は前世でこの設備を作ったことは無い。

 現物を間近で見たことも無い。

 教科書的な知識しかないがここではそれでも十分と思った。


 この国では有害物質の廃棄に厳しい規制があるので、排水に危険な有害物が混じることはぼぼない。合成洗剤などが実用化されていないため排水の成分のBOD/COD比は高く生物処理に適した水質のはずだ。

 処理量についても、俺の前世世界よりも一人当たりの水使用量は少ない。水魔法があるからといっても皆水は大事に使っている。

 そもそも水に関しては俺の前世世界が贅沢すぎたんだ。


 そして、サロンフランクフルト敷地の東側に各処理槽として使えるサイズの池がある。

 一番小さい滅殺池でも容積的にはオーバースペックだが、ここで作れる部品でどこまで曝気ばっきの効率を上げられるかが未知数だから多少オーバースペックな選定の方が無難だろう。


 【期待】に応えるという技術者の義務を果たすべく、テーブル上で【お通夜状態】のメンバーに俺が装置概要を説明する。


「一番重要なのは【曝気槽ばっきそう】だ。でも、有害物の分解は微生物がしてくれる。装置としては池に溜めた汚水の中に空気を送り込み続ければいいだけだ。池は【滅殺破壊大惨事】でできた滅殺池がサイズ的に丁度いい。空気を送るのはジェット嬢の風魔法が使えるはずだ」


 今なお悪臭に苦しんでいるジェット嬢が不安そうに口を開く。

「この私が、悪臭を出す汚水を大量に溜めた池に、風魔法で空気を送ると……。それは、どれだけ送ればいいのかしら。一日一回ぐらいなら……」


 この時点で、しまった。マズかった。と思ったけど、俺は覚悟して説明を続ける。

「風魔法はこの前ルクランシェを沈めた時と同じようなやり方でいい。その代わり運転中は絶対に空気の供給を止めたらダメだ。空気の供給が途絶えたら微生物が死滅して場合によっては余計酷い悪臭が出ることがある」


 ジェット嬢が虚ろな目線で机を見つめて震えながら不気味に笑い出す。

「ふ、ふふふふ……」


 怖い。普通に怖い。

 そんな時、窓から風が入り高濃度の悪臭が食堂に流れ込んだ。


 ガタッ ベシャッ


 ジェット嬢、撃沈。

 机に伏せて動かなくなってしまった。


 いくら魔法発動の射程距離が長いからって、悪臭漂う池に二十四時間休まず風魔法で空気を送り続けるとかこんなのジェット嬢に頼める仕事じゃないよね。


「空気を送る装置はこちらで何とかしよう。滅殺池の水面全体に気泡が出るぐらいでいいんだな。大至急準備する」

 普段積極的に発言することのないオリバーが珍しく積極的に出てきた。そんなオリバーにフォード心配そうに確認する。

「オリバー、まさか、あの風力選別機を解体する気か? 渾身の出来って喜んでたじゃないか」

「背に腹は代えられないだろう。今年収穫分の処理はほとんど終わってる。来年までに作り直せばいい。アレの送風機なら十分すぎる性能が出るはずだ」


 出た。装置の共食い祭り。

 緊急で部品が必要になったから別の動いている装置から部品を取り出して転用する。俺が前世で開発職サラリーマンをしていた時にも経験がある。

 何らかの理由で部品の納期が間に合わない場合や、予算が足りなくて新しいものを買えなかった場合にこの手法を多用した。

 でも、これを繰り返していると最終的には動く装置が全部無くなってしまうという諸刃の剣。多用はおすすめできない。


「微生物か。私はよくわからないが、前回の議会でアンダーソン卿に会った時にそんなような言葉を言ってた気がする。この技術についても近いものを考えているかもしれない」

 そして、ヘンリー卿からも有用な情報。

 こっちの世界でも細々と研究していた人物が居たか。それは助かる。

「そのアンダーソン卿に連絡は取れるか? 装置概要を説明したら協力してくれるかもしれん」

「手紙を書いてみよう。でもアンダーソン領はここから遠いから届くまで八日ぐらいはかかるが」


 そうだった。こっちの世界には電話とか無いんだった。

 片道八日ということは返信は早くても十六日後ぐらいか。

 それまでジェット嬢が焼き払うのを我慢できるかどうか。


「キャスリンを使いましょう! ぐるぐる巻きの件があるから彼女は断れないわ!!」

 ジェット嬢が復活して叫ぶ。

 そうかその手があったか。


 キャスリンは明日か明後日ぐらいには【試作2号機】の点検整備のためにここに来るはずだ。

 VTOL機の【試作2号機】なら滑走路が無くてもある程度の広さの平地があれば離着陸が可能だ。キャスリンの腕なら建屋の屋根にだって着陸できる。

 そして、キャスリンは第二王子の妻でもあるので各地領主と顔見知りだ。アポなしで突撃しても領主がそこに居れば面会はできる。


 方針は決まった。


 ヘンリー卿はアンダーソン卿宛ての手紙を書く。

 オリバーは空気供給装置の部品確保。

 フォードは、排水を滅殺池に送るための水路の工事の準備。


 俺とジェット嬢は、あんまりやることないので食堂の掃除でもするか。


 ジェット嬢によると、キャスリンは【夢中になると周りが見えない】性格ゆえに突然無茶苦茶なことをする悪癖があるが、しばらくして冷静になると落ち込んでしばらく大人しくなるらしい。

 程度の差はあるけど本質的には俺のダメ行動癖に近いもののようだ。ただひたすらにヤバイ女と思っていたがちょっと親近感わいてきた。



 ヘンリー卿、フォード社長、オリバー、ジェット嬢で【お通夜状態】になった翌日午前中。キャスリンは【試作2号機】の点検整備のために飛来した。

 ぐるぐる巻きの件もあるし生活排水処理はユグドラシル王国全体で問題になっているとのことなので、その解決策の開発のためなら協力は惜しまないと言ってくれた。

 相変わらず服装センスはヤバイけど根はマトモな性格らしい。


 フォード社長の指揮の下、トラクター工場の稼働を停止してその作業員を投入した排水処理設備の建設作業が始まった。

 滅殺池近くに機械室となる小屋を設置。

 オリバーはいつの間にか農業資材として魔力電池と電動機を応用した自吸式揚水装置や簡易的なベルトコンベヤを開発していたようで、滅殺池からの水抜きを行っていた。


 この滅殺池が【曝気槽ばっきそう】になるので水抜きが終わったら散気管さんきかんの固定工事をするとのこと。

 滅殺池や東池は【滅殺破壊魔法】により作り出されたものなので、池の底は固まった溶岩だ。おそらくコンクリートより硬い。散気管さんきかんの固定がしやすくて助かる。


 【曝気槽ばっきそう】の次には【沈殿槽ちんでんそう】が欲しいがそれは後回し。

 【曝気槽ばっきそう】の運転開始が優先だ。


 悪臭が漂う中、男達は夏場の屋外で汗水流して働いた。

 

 俺とジェット嬢は、いつもの背中合わせスタイルで初夏の炎天下で働く男達に水を配った。ジェット嬢が水魔法で作った水に塩を少々混ぜて簡易的な熱中症対策水だ。

 ジェット嬢曰く、これもウェイトレスの仕事らしい。

 そして昼休み。屋外で働いた男達はいつもより空腹になったようで食堂は大盛況だった。相変わらず悪臭は立ち込めているが、何とかなるという希望が見えたので皆の表情は明るい。


 俺は思った。

 失敗したら、ごめんと。


 午後になり工事はさらに進む。【くさ三連星さんれんせい】は【ジェットストリーム溝堀】により滅殺池から今の排水流路近くまで流路を掘り進めた。

 滅殺池の【曝気槽ばっきそう】改造が終了次第汚水を流し込む算段だ。


 そして、手紙を持ってアンダーソン領まで飛んでいたキャスリンの【試作2号機】が帰ってきた。

 アンダーソン卿からの返信によると興味があるのでこちらに来たいとのこと。

 しかし、馬車での移動では四日かかる。【試作2号機】なら一時間半程度であるが【試作2号機】は操縦者しか乗れないし荷物も乗らない。


 ヘンリー卿、キャスリン、ウィルバー、ウェーバ、俺、ジェット嬢が食堂に集まって知恵を絞った。その結果、アンダーソン領のどこかに【試作1号機】が着陸可能な滑走路を即席で作る方法を発案。

 ヘンリー卿がその旨を伝える手紙を、ウィルバーとウェーバが滑走路の整地方法をまとめた資料を作成。それを持ってキャスリンは【試作2号機】で再びアンダーソン領へ飛び立った。

 この時間から往復すると到着時に夜間着陸になる可能性があるので、キャスリンは今日はアンダーソン領に宿泊するように伝えた。


 馬車で片道四日かかる距離を一日で三回も移動する。この世界の常識では考えらえなかったことを飛行機が可能にしてしまった。飛行機という物の有用性を誰もが認識した日でもあった。



 滅殺池の【曝気槽ばっきそう】工事を開始した翌日午前中。

 水を抜き切った滅殺池の底でオリバー達が散気管さんきかんの固定工事をしていた。

 散気管さんきかんはヨセフタウンの鍛冶屋が突貫で作ったもので材質は耐食合金鋼らしい。まさかステンレスかな。

 送風機の方は据え付けが終わってフォード達が送風機単体での試運転をしている。動力は十分そうだ。魔力電池のおかげで配線工事がいらないのは楽でいい。


 そんな中、キャスリンが【試作2号機】でアンダーソン領から帰還。

 アンダーソン領にて滑走路建設工事が急ピッチで進んでいるとのこと。

 今日の午後には着陸可能なように仕上がるそうなので【試作1号機】の準備をしてほしいと。


 昼休みを挟んで午後。


 【曝気槽ばっきそう】工事が終了し散気管さんきかんからの空気供給も問題ないことが確認された。排水流路は完成しており堰を取り外せば【曝気槽ばっきそう】への汚水注入が可能な状態になったと。


 昼食後の後片付けが一段落したのでジェット嬢を背負って滅殺池に様子を見に行った。


 現場の光景を見て俺は戦慄を感じた。


 送風機室の前に置かれた壇上にフォードが居た。

 その前には【西方運搬機械株式会社】の社員含むサロンフランクフルト居住者全員が、運動会の小学生のように綺麗に整列していた。キャスリンも隅の方で参加している。


 【悪臭問題解決記念祝賀会】らしい。

 

 待て。ちょっと待て。


 壇上でフォードが喜びの言葉と、悪臭問題解決後の生活品質向上と、今後の生産効率向上について熱く語る。


 会場? から歓声が上がる。


 壇上はヘンリー卿に交代し、サロンフランクフルト周辺の排水問題解決と、その技術を使用した新しい都市計画について決意を述べる。


 会場から歓声が上がる。


 やばい。とてもやばい。


 よく見ると、滅殺池への排水流入を止めている堰のあたりに【テープカット】の準備がされている。こっちの世界にもそういうのあったんだ。


 壇上のヘンリー卿と目が合い、呼ばれる。

 技術提供の功労者として壇上から挨拶をお願いしたいと。

 その時、俺は、自らの失敗に気づいた。

 重要なことを説明していなかったのだ。


 【活性汚泥法】をはじめとする微生物を利用した処理は、処理装置内でその処理対象に適合した微生物を十分に繁殖させるためのプロセス【馴養じゅんよう】が必要だ。

 これは処理対象の水質や気温水温などの影響を受けるが、数日から数週間。長ければ数カ月という長時間を必要とする。

 当然、それが終わるまでの間、処理性能は出ない。悪臭は止まらない。


 装置の運転を開始したらすぐに悪臭が止まるわけではないのだ。


 それに、この世界には俺の前世世界のように専用の【種菌】が流通しているわけではない。自然界の微生物から処理能力の優れた種が処理層内で選別され繁殖するのを待つ必要がある。

 馴養期間は俺の前世世界の常識よりも長くなる可能性が高い。


 俺は、覚悟を決めて、工事の作業スペースに置かれた長机を一卓持って壇上に上がる。

 壇上で自分の前に長机を置いて、深々と頭を下げる。


「申し訳ありませんでした」


 前世世界の【謝罪会見】の様式を再現して事情を説明して謝る。

 途端に会場からブーイングが上がる。


 俺は耐える。今回 悪いのは 俺だ。


 技術者は【期待】される。


 【期待】されることこそ技術者の喜びでもありやりがいともいえる。だが、その結果が【期待値】を下回ると【裏切り】とみなされる。

 技術として、成果として、どれだけすごい偉業を成し遂げたとしても、顧客の判断は【期待値】に対する相対評価。それだけなのだ。


 だから、技術者は【説明】にも気を配らなければいけない。


 【期待】されることにやりがいを感じつつも、応えることができない【過剰な期待】を顧客に抱かせないように、相手の理解度に気を配りながら丁寧に【説明】をしないといけないのだ。


 今回、俺はそれをおこたった。

 工場を止めて、社員総出で暑い中の突貫工事に挑んだ彼等の【期待】を裏切った。


 壇上で罵声を浴びる責任は全て俺にある。

 会場からのブーイングが止まらない中、背中に張り付くジェット嬢が動いた。


 シュバッ


 頭を下げる俺の背中で、両腕を斜め上に勢いよく上げた。

「「「「「ギャァァァァァァァァァ」」」」」

 途端に会場が阿鼻叫喚。


 集まっていた数百名が一斉に逃げ出して会場は静まり返った。残っていたのは、ヘンリー卿、フォード社長、キャスリン、ウィルバー、プランテ、ウェーバ等、比較的ジェット嬢に慣れているメンバーだけだった。


「一体何をしたんだ?」

 俺はジェット嬢に確認する。

「……腕を上げただけよ。魔法は使ってないわ」


 ジェット嬢の魔法は基本的にノーモーションで発動する。

 魔法を使うために腕を動かす必要は無い。


 一体、何のために突然腕を上げたのか。

 わざわざ聞くのは野暮な気がした。


 とりあえず、【曝気槽ばっきそう】の運転を開始することにした。【テープカット】の準備を片づけて堰を取り外し汚水を【曝気槽ばっきそう】に送る。


 夕方になったので、キャスリンの【試作2号機】とウェーバ操縦の【試作1号機】がアンダーソン領に向かって飛び立った。

 帰りは明日。【試作1号機】でアンダーソン卿を連れてくる予定だ。


 その夜。

 汚水を【曝気槽ばっきそう】に流し込んで送風機で風を送ったことにより、過去最大の異臭がサロンフランクフルト周辺に充満した。



 俺の【謝罪会見】後に【曝気槽ばっきそう】で汚水の攪拌を始めた翌日午前中。昨晩からよけいに強くなった異臭に鼻が慣れてきた朝。

 朝食の片付けが終わった頃に、ウェーバが操縦する【試作1号機】がアンダーソン卿と他二名と少量の荷物を積んで帰ってきた。


 アンダーソン卿は連れてきた二名と共に早速現場に向かう。

 アンダーソン領にはこちらに来たがっている技術者と必要貨物がたくさんあるということで、ウェーバは再び【試作1号機】で離陸した。


 少し遅れてキャスリンの搭乗する【試作2号機】が到着。

 到着に時間差があったのは、VTOL機構を搭載している分【試作2号機】の方が最高速度が遅いせいだ。

 その後、キャスリンは首都に飛び立った。

 この国では化学物質を含む排水を排出するには種類ごとに許可が必要とのこと。アンダーソン卿が今回の【活性汚泥法】の実験のために使用を予定している薬剤について臨時で許可を取るために申請書類を持って王宮に飛ぶそうだ。

 この国の環境規制については前世世界よりも厳しいように感じる。

 過去に何かあったんだろうか。


 俺もいつも通り現場に向かおうとしたら車いす搭乗のジェット嬢に止められた。


「行かないで……」

 昨晩の異臭で眠れなかったのか、目の下のクマが広がって疲れた表情のジェット嬢がすがるような目線で俺を止める。

 でも、俺はアンダーソン卿が【曝気槽ばっきそう】で何をするのか気になっているので行きたい。

「ジェット嬢はここで留守番していればいいだろ。現場よりかは臭いが少ないはずだ」

「アンタがあの場所行くと、服に臭いが付くのよ! くさいのよ! 匂いが付いた背中に乗る私の身にもなってよ!」

 ジェット嬢が怒った。


 なんか気の毒になってきたので、発想を切り替えて現場の方は若い衆に任せることにした。

「じゃぁ街行くか」

「行く」

 嬉しそうに即答するジェット嬢。

 街は臭いが無いはずだからな。


 異臭の影響で【西方運搬機械株式会社】の工場は臨時休業。

 社員寮居住者もその多くが悪臭を避けて外泊しており食堂の稼働率は低い。

 昼に俺達が食堂に居なくても今なら何とかなる。


 メアリに昼の仕事を休むと伝えて、俺はジェット嬢を背負ってヨセフタウン市街地に遊びに行った。


 徒歩で。


 ヨセフタウン市街地は悪臭の影響は無かった。

 久しぶりに臭いの無い空気を吸う。


 ヨセフタウンで【金色こんじきの滅殺破壊魔神】を知らない人は居ない。

 だから、今回は荷物擬装なしでジェット嬢を背負って歩き回る。


 昼食は、やや高級な外食店に入った。

 ジェット嬢を椅子に降ろし対面で食事する。

 久しぶりの悪臭の無い食事にジェット嬢は満足そうだった。


 普通に街歩き。

 喫茶店のようなところでコーヒー飲んでケーキ食べたり。

 俺は甘いものが好きだ。ビッグマッチョだけどスイーツ好きだ。

 ジェット嬢は街を歩く女子たちが気になるようだった。


 俺も気になるところがある。

 夏場だけど、皆ロングスカートだね。

 生足出しているむすめは居ないね。

 そういう習慣なんだね。

 だから【セクハラ】は重罪なんだね。


 そういえばズボンをはいているむすめも居ないね。これも習慣かな。


 一日遊んで夕方近くなり帰ろうとすると、ジェット嬢は背中でつぶやく。

「今夜は帰りたくないわ」


 気持ちは分かるが、男と街歩きした夕方につぶやく言葉としては不適切だ。俺は40代のオッサン。前世では既婚で常識人なオッサン。常識的に帰る一択だ。


「メアリ達が心配する。大人しく帰るぞ」


 徒歩で帰宅。


 サロンフランクフルトが近づくにつれて強くなる臭いにげんなりしながらも帰る。


 食堂棟に帰る前に格納庫に寄る。

 【試作1号機】の点検をしているウィルバーが居た。


 今日はウェーバが【試作1号機】で大活躍だったとか。

 【小柄を誇り魂を磨く会】の会長でもあるウェーバは小柄である。キャスリンよりも小さい。


 【試作1号機】は乗客や荷物を搭載できるが積載量は少ない。

 だが、小柄で体重が軽い彼が操縦することで普通の人が操縦するよりも十数kg余計に荷物が搭載できる。アンダーソン領からの荷物は主に薬剤なのでこの余剰の積載量が非常に役立ったそうだ。

 明日もまた三往復する予定で、こちらに運ぶ荷物を向こうで準備しているとか。


 ウェーバがどこ行ったか聞いたら明日に備えてもう寝たとか。

 そりゃそうか。一日六時間近く飛行機操縦したら疲れるよね。


 俺とジェット嬢も食堂棟に帰ってちょっと遅くなった夕食を頂いたあと、漂う悪臭の中で各自の夜の時間を過ごした。

 ジェット嬢はメアリともう一人の女性と医務室に行ったようだ。

 ガールズトークかな。



 【曝気槽ばっきそう】で汚水の攪拌を始めた二日後。俺とジェット嬢が街歩きをしてウェーバが【試作1号機】で大活躍した翌日朝。

 朝食の片付けが終わった後で俺は一人で格納庫に向かった。

 ジェット嬢はなんか疲れていたようで車いす搭乗で食堂で縫物をするそうな。


 格納庫に行くとウィルバーとウェーバが【試作2号機】の点検整備をしていた。


「ウェーバよ。昨日は大活躍だったそうじゃないか」

「小柄でよかったって思えたの初めてだった。俺、飛行機乗りとして魂を磨くよ!」

 ウェーバは嬉しそうに応える。


 これが自分の道を見つけた若者の姿。魂が輝いているよ。

 若者を導くのが役割の40代のオッサンとしてはすごくうれしい光景だ。


 ふと見渡すと、格納庫内にはウェーバ専用機となりつつある【試作1号機】が見当たらない。


「ところで、お前の【試作1号機】はどうした? 格納庫内にも見当らないし、滑走路にも無かったように思うが」

「キャスリン様が【試作2号機】の整備を急いで欲しいと言ってたから、今日の第一便は操縦交代してもらったんだ。キャスリン様は【試作1号機】も自由自在に操縦できるんだ」


 嫌な予感がした俺は、それが的中しないことを願いながらウェーバに確認する。

「操縦者交代の件は、先方に伝えてあるのか? 積載量が変わるだろ」


「「あっ!」」

 ウェーバと、傍にいたウィルバーが青ざめる。


…………


 【試作2号機】の整備を終わらせた後、滑走路で【試作1号機】の帰還を待つ。

 三人揃って心の中は恐慌状態だ。


 小型飛行機の重量制限というのは厳しい。

 貨物と乗員の合計重量は安全に離陸可能な規定重量以内に抑えなければならない。

 つまり、ウェーバ操縦で予定していた量の貨物が、キャスリン操縦だと全部は載らない。


 今日の第一便は、乗客三名とアンダーソン卿が培養していた種菌と微生物用薬剤の予定。


 到着予定時刻が近づきアンダーソン卿が部下二人と台車を持って滑走路にやってきた。

 予定時刻を過ぎること約1時間。南の空から【試作1号機】が現れた。

 滑走路に綺麗に着陸し、待っている俺達の傍まで来ると操縦席からキャスリンが降りてきた。


 その恰好は、黒のワンピースと、赤いマントだけだ。いつも着用していた、魔女帽子、バンダナ、サングラス、マスク、青エプロン、黄色のウェストポーチは着けていない。


 少しでも軽くしようとして外したのか?


 そういえば、素顔を見るのは初めてか。かわいい系の美人さんか。

 降りてくるなり【ステキな笑顔】でウェーバに歩み寄り口を開く。

「ウェーバ。貴方あなたがとても優秀な操縦士であることがよくわかりましたわ」

「あ、ありがとうございます。キャスリン様」

 ウェーバが青ざめながら応える。


 キャスリンは【愁いを帯びたステキな笑顔】でウェーバにで問いかける。

「【試作2号機】の整備は終わってまいすか?」

「もちろんです。格納庫にて仕上がっています」

 キャスリンは【ちょっと涙目なステキな笑顔】でウェーバに応える。

「ありがとうございます。……少し一人にしてくださいませ……」


 そう言い残してキャスリンは格納庫に向かい、【試作2号機】の操縦席に床下から搭乗した。

 そしてそのまま夕方まで出てこなかった。


 【試作1号機】の本日第一便の貨物は種菌と薬剤と実験器具だった。乗客は居なかった。

 操縦者があの状態だったので全員搭乗を拒否したに違いない。だから計画を変更して種菌と薬剤と機材の輸送を優先したんだろう。

 アンダーソン卿によると、今は人員よりも種菌と薬剤と機材が欲しかったのでこの予定変更は都合がよかったそうだ。

 ボルタ領から化学を学んでいる人間が二十名ほど応援要員として到着したので人員は足りていると。


 ちょっと待て。

 悪臭問題の要因は人が集まりすぎたことだってこと忘れてませんか?


 その日、ウェーバは【試作1号機】の第二便と第三便を無事運航した。往路ではヘンリー卿がアンダーソン卿用に用意した好気性微生物培養用の魔力駆動小型送風機を送り届け、復路では人員六名と機材と薬剤を運び込んだ。

 アンダーソン卿は異臭漂う【曝気槽ばっきそう】の前面に陣取り、鍋奉行ならぬ【泥奉行】となり部下達に水質分析や薬剤投入及び攪拌を指示していた。


 その夜、キャスリンは食堂のテーブルで見覚えのあるオーラを出しながら焼酎の一升瓶を抱いて【泥酔】していた。その脇にはジェット嬢が寄り添っていた。


 あのオーラは俺の前世世界で見た覚えがある。

【夫に脚太くなったと言われたけど、これはアンタが希望した共働きで仕事と家事の両立という日常激務でついた筋肉で太くなった脚ですがと、この筋肉脚で失言夫に全力蹴りかましてやろうかという気持ちを抑えて、内助の功を体現すべく明日の夫の弁当のカロリーを半分に減らしてやろうと決意をした時】

 のオーラだ。


 酒って、キャスリン成人してたんだ。

 それはそうと旦那さんに八つ当たりするのはやめてあげてね。

 俺はキープディスタンスの心で、自らの寝床、機械室に退避した。


◇◇◇◇◇


 【曝気槽ばっきそう】で汚水の攪拌を始めた七日後。傷心のキャスリンが【泥酔】してから五日後。サロンフランクフルト周辺に立ち込めていた異臭が消えた。

 【曝気槽ばっきそう】内の微生物が汚水の分解ができるレベルまで【馴養じゅんよう】されたのだ。


 微生物が放つ特有の臭いは若干残っているが以前の悪臭ほどではない。ジェット嬢もこの臭いは気にならないらしく悪臭が消えたことを喜んでいた。

 俺も多くの人の力を借りて最終的に【期待】に応えることができて満足だ。


 これでサロンフランクフルト周辺も日常を取り戻していくだろう。


 技術者は【期待】に応えることができたとしても【感謝】されることなどまずない。その結果がすぐに当たり前の日常になるからだ。

 だが、それでも、技術の力で【期待】に応え続ける。それが、技術者の仕事だ。


 臭いが消えたのでジェット嬢を背負って東池に来た。

 首都から大型馬車で三十名ほどの視察団が到着したそうで【曝気槽ばっきそう】と機械室周辺は人だかりができていた。

 新技術が気になるのは分かるとけど、そもそもの問題の原因は人の集めすぎなんだからちょっと自重してほしい。


 【密】ですよ。


 残る課題を考えながらふと【曝気槽ばっきそう】の向こう側に視線を送る。


 【曝気槽ばっきそう】のほとりで、ロープ付バケツを持ったオリバーと両手に柄杓ひしゃくを持ったアンダーソン卿が泥まみれになりながら対峙している。


「何やってるんだ。アレは」


 近くにいた黒目黒髪のズボン姿の女性技術者が教えてくれた。

「肥料原料になりそうな【汚泥】を狙う【泥泥棒】と化したオリバーさんと、【曝気槽ばっきそう】の安定運転のために汚泥量を維持したい【泥奉行】のアンダーソン卿の【汚泥】を巡る【泥仕合】が【泥沼化】しているところです」


 二人を眺めながら楽しそうに彼女は言う。

御二方おふたがたは【定数】が拮抗しているので、ああやって掛け合わせるとかなりたっといです」


 【たっとい】というキーワードを聞いてもしやと思い周囲を見渡すと、やっぱりメアリが居た。

たっといわ。ドロドロにたっといわ……」

 ヨダレと鼻血で顔面をドロドロに崩壊させながらうっとりと眺めている。


 背中に張り付くジェット嬢が震えているのがわかる。

 聞かなかった、見なかったことにした。


 稼働を開始したのは【曝気槽ばっきそう】だけだ。

 【活性汚泥法】を成立させるには【沈殿槽ちんでんそう】と【返送汚泥へんそうおでいライン】の構築が必要だ。あと、何より重要なのは汚水処理により発生した【余剰汚泥よじょうおでい】の処理の確立。


 でも、この様子なら彼等に任せておけば大丈夫だろう。


 異臭も収まった。

 【西方運搬機械株式会社】の工場もすぐに再開される。

 その前にジェット嬢と一緒にもう一回ぐらい町遊びに行ってみるか。


 そんなことを考えながら、俺はジェット嬢を背中に張り付けたまま食堂棟に向かった。

●次号予告(笑)●


 全長9.9m、全幅4.4m、分厚い鋼鉄の装甲に覆われた車体に両脇の無限軌道が推進力を与える。

 銃弾を跳ね返し、阻塞そへきを踏み潰し、塹壕ざんごうを乗り越えて突進するそれの威容は対峙した者全てを恐怖に陥れる。

 異世界からの来訪者の落書きに描かれたそれに釘付けになった男達がいた。


 それは、魔王討伐完了により平和を取り戻したこの世界には明らかに不必要なものであった。しかし、対峙した相手を圧倒する力の造形はいつの時代も、何処の世界でも男達のロマンを刺激する。


 それの不整地走行能力に商材としての可能性を見出した社長は男達のロマンに資金を投入。


 自らのロマンのため、自らを悪夢から解放するため。男達の技術者魂に火がついた。

 異世界から持ち込まれた技術と自分達で作り上げた応用を駆使し、最強のそれを創り出すというロマンに憑りつかれた男達は設計室にて不眠不休でデスクに齧りつく。

 ロマンに狂った男達が製図台前で次々倒れる設計室でクレイジーエンジニアは叫ぶ。


「ドクター常駐の設計室なんて嫌だ!」


次回:クレイジーエンジニアと魔力戦車

(幕間 入るかも)

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