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8-2 仲間達と魔王城でスローライフ(2.3k)

 【魔王城】に職員八名が到着した十二日後。

 到着初日のアンとメイの一升瓶による【魔王城】探検により、城内下階もいろいろ部屋や設備があることが分かった。


 そこを職員宿舎としつつ、外壁掃除や水回りの設備工事、居住区画への照明設置、調理場の整備、排水路への浄化槽設置、等々、住環境の整備は彼等の力により一気に進んだ。


 そして、大型飛行機用の滑走路も作った。

 ジェット嬢が【魔王城】入口広場から金属パイプで木の根元を【狙撃】し伐採。

 ある程度木を倒したら、イエローがトラクターで木を運び出して最寄りの村の製材所に引き渡し。


 それを繰り返すことで場所を空け、整地は土魔法が得意なイエローを中心にゴエイジャーが人海戦術で行った。


 最終的な工期は九日間。

 ジェット嬢の大火力魔法で伐採と整地を一気にする方法もあったが、林の中で火魔法を使うと火災になる危険性があったので避けた。


 昼休みの時間になり、職員全員が各自の作業を切り上げてエントランスのテーブルに集まる。

 居住区画内にも食堂として使える部屋はあるが、天井が低くてビッグマッチョの俺が窮屈な感じになるので、みんな合わせてエントランスに大きなテーブルを置いて食堂にしてくれた。

 調理係はアンとメイだ。


 こんな配慮が心にしみる。


 集まって食事を摂った後、職員達はそれぞれの持ち場に戻る。

 それぞれ仕事はあるが、手の空いたメンバーには【魔王城】西側の台地の草刈りを頼んでいる。


 ちなみに【魔王城】における俺とジェット嬢の主な仕事は【買い出し】だ。

 食料品は生協さんから計画的に買っているが、配送頻度は十日に一回ぐらい。

 冷蔵庫の無いこの世界では生鮮食品の保存が難しいため食事のメニューが偏る。

 そして、最寄りの村も歩くと一日かかるぐらい遠い。


 そこで、俺達が【カッコ悪い飛び方】で最寄りの村まで飛んで必要量の生鮮食品を都度買ってくるのだ。

 食品以外も運べるものは買ってくる。午前中に各自が欲しいものをメモ書きにまとめてもらって、午後一で俺とジェット嬢が最寄りの村まで飛ぶというのが日課だ。


 さらに遠くの街まで行かないと買えない物もあるが、そういう物が欲しいときはなるべくまとめて買えるように、買い出し予定を別途調整。

 【カッコ悪い飛び方】で運べない物は、イエローがトラクターで半日かけて買い出しというルールだ。


 この世界の【魔王】は【買い出し】をする。


 昼食後。その日課をこなすべく、買い物メモを持ってジェット嬢を背負い【魔王城】入口広場に出たら、背中のジェット嬢が一言。


「滑走路に何かあるわ」

「あれは!」


 【魔王城】入口広場から滑走路を見下ろすと、そこにはこの世界では見たことのない飛行機が着陸していた。【深竜】や【連竜】ほどではないが大型機だ。


 全幅25m、全長20m、葉巻型の太い胴体を持つ双発機。

 配色は【試作2号機】に近いトリコロールカラー。


 形状は俺の前世世界の航空機だが、俺はあの機のスケッチは描いてない。

 またウェーバの【電波】か。

 ここに着陸しているということは念願の大型機の開発に成功したんだな。


「とりあえず、滑走路に行ってみるか」

「待って。ブルーを連れて行きましょう。【乗機】が欲しいって言ってたわ」

「そうだな。そこの台地の草刈りをしてるはずだから、連れていくか」


…………


 ブルーを連れてその大型機の近くまで来たら、その大型機の下で体育座りで小さくなっている黒い人影を発見。

 その人影は、俺達に気づくと立ち上がろうとして


ゴン 「ニャギャッ!」


 頭上の機体に頭をぶつけて変な悲鳴を上げ、頭を抱えてしゃがみこんでしまった。


 頭には先の尖がった魔女帽子

 額にバンダナ

 目にはハート型の色の濃いサングラス

 鼻と口はマスクで隠し

 全身は黒ロングスカートのワンピース。

 前には青いエプロン

 腰には黄色のウェストポーチ

 背中に赤いマント


 デタラメコーディネイトの女。

 キャスリンだ。


 一緒に来たブルーはキャスリンよりも機体のほうが気になるようで、葉巻型の胴体を近くで見ている。

 搭乗口を探しているようだ。


「ブルーよ。搭乗口だったら、たぶん胴体左側面の主翼と尾翼の間のあたりだ」


 俺の知っているこの機だったら、そこに丸い扉があるはず。


「了解です。探してみます」


 機体の下で頭を抱えてうずくまるキャスリン。

 いいツッコミが思い浮かばないので、ジェット嬢にパスすべく、背中を向けた。


「キャスリン。今度は一体何をしたの? あと、この飛行機は何?」


 ジェット嬢。今回はパスを受け取ってくれたようだ。


「【西方航空機株式会社】でエスタンシア帝国から買った軽金属材料を使用して開発した大型機の試験機が出来たということで、見に行きましたの」

「ああ、あの【密輸】で手に入れた材料ね。それで、コレがその試験機なの?」

「ハイ。そしてこの機を見たら、なんか宙返りができそうだったので、つい我慢できず……」


 この大型機を見て宙返りができそうと思うのか?無理だろ。


「また強奪してしまったと。そういうわけね」

「ハイ。宙返りはできたんですが、そのまま帰るとまた立てなくされるかと思いまして、どうしようかと飛び回っていたら、ここにちょうどいい滑走路があったので降りてしまいましたの」

「宙返りできたのかよ! この大型機で!」


「余裕でできましたわ。電動機出力も機体強度も【試作2号機】とは段違いですの。速度も巡行で三倍以上ですわ」

「せっかくだから中を見たいわ。私達は入れるかしら」

「後部の貨物室は【魔王】様も入れるそうです。今案内しますわ」


 ゴン 「ニャギャッ!」


 キャスリンは立ち上がろうとしてまた機体に頭をぶつけた。

 動揺しているのだろうか。


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