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8-1 臨死戦隊★ゴエイジャー爆誕(3.0k)

 40代の開発職サラリーマンだった俺が、剣と魔法の世界といえるこの異世界に転生してから一年と四十五日目。ジェット嬢が首都王宮に【お礼参り】をしてから十一日後、キャスリンが事務連絡を持ってきてから三日後の午後。


 貸切の大型馬車にて【魔王城】に待望の職員が到着した。

 男性六名、女性二名。早速仕事を割り振るため、エントランスに置いたテーブルで面談を行うことにした。


 【配属面談】だ。


 広いエントランスの一角にテーブルを置いて面談場所を設営。テーブルに俺と車いす搭乗のジェット嬢が横並び。その対面に面談相手。

 待っている他のメンバーはエントランスにある座敷とその周辺でくつろいでいる。


●配属面談 その一:アンとメイ


 職員の中の女性二名は、【バー・ワリャーグ】に居た鉄工ウェイトレスのアンとメイだった。


「よろしくお願いしまーす」


 心地よい常識的な挨拶に対して、ジェット嬢が一言。


「仕事はいつも通りだからよろしく。とりあえず、城の全体確認して、住みやすいようにして頂戴。大階段の左のドアの先が居住区画になってるわ」

「らじゃー!」


 シュタタタタタタタタタ


 二人はそれぞれ一升瓶を持ってドアの方に走って行った。


「ジェット嬢よ。えらく簡単な面談だな。あれで大丈夫か?」

「大丈夫よ。彼女たちは本職のメイドだから、生活環境整備は得意よ」


「鉄工ウェイトレスと思ってたけど本職はメイドだったのか。そして、二人が持っていた一升瓶は何なんだ」

「あの一升瓶はランプ代わりよ。彼女達は火魔法の応用でアレを光らせることができるの」


「それは便利だな。居住区画内の照明はなんとかしたいと思ってたところだ」

「そのへんも彼女たちに任せれば大丈夫よ」


「でも何故に一升瓶?」

「あの二人、お酒好きなのよ」



●配属面談 その二:元・宰相さいしょう


 職員の男性六名の内一人は、あのしんどい秘密会議で国王陛下と一緒に居た宰相さいしょう様だ。


 なんで【魔王城】の職員になってるんだ。一体ここで何の仕事をするんだ。そんな俺の疑問を気にしているのかどうなのか、ジェット嬢が楽しそうに一言。


「まず、ここでの役職名を決めたいわね」


「その前に、確認しておきたいことがある」

「何?」


「先日城に来た時の話は本当か」

「一部違ってたところがあったわ」


「何処だ」

「【赤い凶星きょうせい】の渾名あだなを付けられたのは王宮来た直後だったから、今思えばそこだけちょっと違ってたわ」


「そういえば、王宮に来た当初は今着ているのと同じような薄赤色のメイド服を着ていたな。それで【赤い凶星きょうせい】か」


 いや、【赤】は分かるんだけど、【凶星きょうせい】の部分が分からん。

 王宮で一体何をしたんだジェット嬢よ。


「女の子に本当に失礼な渾名あだなを付けてくれるわよね。騎士達を殴り飛ばしただけなのに」


 ジェット嬢。

 本当に何をしていたんだ。


「あと、先日王宮に来た時のヘンテコ口調で語尾に連呼していた【デース】は【死神(Death)】と掛けてたのか?」

「そうよ。面白かったでしょ」


「いや全然面白くなかった。むしろ残念だったぞ」

「じゃぁ、元宰相のここでの役職は【辛辣しんらつ長】で決まりね」


「待て! 何なんだその役職名! それは何をする役職なんだ!」


「仕事はおおむね宰相と同じよ。多分。辛辣しんらつだから【辛辣しんらつ長】。いいじゃない」

「ジェット嬢よ、ちなみに元はどんな役職名にするつもりだったんだ」

「【書記長】にしようと思ってた」


「それはウラジィさんの発案だな。それよりは【辛辣しんらつ長】のほうが無難な気がするな」

「それで、【辛辣しんらつ長】となる私の仕事は一体何なんだ」


「【魔王城】の財務管理とかそのへんよろしく。【魔王城】職員の【就業規定】とか原案作っておいたから、詳細詰めてメンバーに説明しておいて」


 そう言って、ジェット嬢は【辛辣しんらつ長】に紙束を渡した。


 この紙束は俺とジェット嬢で作った【就業規定】の原案だ。

 俺はこの世界の文字が読み書きできないので、ジェット嬢に編集を頼んだ。

 俺の前世世界の【労働基準法】を参考に【ホワイト企業】を目指していろいろアレンジした力作だ。


「了解した。宰相改め、【辛辣しんらつ長】として務めさせていただく」


 役職名はともかくとして、仕事内容は気に入ってもらえたようだ。

 会社に例えると【総務部長】と【人事部長】と【経理部長】を兼務する形かな。

 総勢十名の【魔王城】なら、そのぐらい兼務できるかな。

 地味な仕事だけどよろしく。



●配属面談 その三:護衛役五人組


 宰相さいしょう改め【辛辣しんらつ長】以外の男五人がテーブル前に横一列に並んで立つ。この五人は元【軍人】でこの【魔王城】の護衛役らしい。

 なんか見覚えのある顔ぶれも混じっている。


 赤髪、青ズボン、黄色ジャケット、黒目黒髪腹黒、緑腕章


 横一列に並んだこのメンバーのカラーリング。

 思いついたことがつい口に出る。


「【スーパー戦隊モノ】だな」

「なにそれ面白そうね。詳しく教えて」


 ジェット嬢が興味を持ったので、俺の前世世界にあった【スーパー戦隊モノ】の概要を全員に説明した。

 カラフルな五人組が悪と戦う、前世世界のテレビで大人気だったあのシリーズだ。


 その説明を聞いた五人組もその概念が気に入ったようで、五人集まってジェット嬢が渡した【仕事リスト】を見ながら相談。


 そして


 【臨死戦隊★ゴエイジャー】爆誕


 ジャジャジャジャーン


「頼れるリーダー みんな大好き雑用係 臨死レッド!」

 「飛行機乗れます 空飛ぶ兵站 臨死ブルー!」

  「設備に機械 輸送と図書室 素敵な裏方 臨死イエロー!」

   「黒髪黒目なにより腹黒 黒い役割 臨死ブラック!」

    「希少価値あり回復魔法 治療担当 臨死グリーン!」


「臨死戦隊!」 シュババッ


「ゴエイジャー!」 シャキーン


 ドーン 「うわぁぁぁぁ!」


 【魔王城】エントランスで五人揃ってポーズを決めた背後でいきなり爆発。

 驚くヒーロー達。


「ゴメン。なんとなくやってみたくなった」


 爆発の犯人はジェット嬢。

 火魔法と風魔法の応用のようだ。


「まぁ、ポーズの後に爆発効果は定番だけど、事前に言っておかないと驚くだろ」

「じゃぁ、次は爆発ありでもう一回!」


「おう!」


 ジェット嬢も楽しそうだし、ヒーロー達もなんかノリノリで楽しそうだ。


 ジャジャジャジャーン


「最初の仕事はお城の掃除 お役に立ちます 臨死レッド!」

 「航空兵 できれば大きい【乗機】がほしい  臨死ブルー!」

  「暮らすなら 最初に確認 水回り 臨死イエロー!」

   「探したい 城の裏側 国境線 臨死ブラック!」

    「怪我人なければ出番なし その時は草刈り 臨死グリーン!」


「臨死戦隊!」 シュババッ

「ゴエイジャー!」 シャキーン


 ドーーン


「決まったー!」


「もう一回! もう一回!」


 このノリが気に入ったらしいジェット嬢が次を催促。


「よっしゃぁー!」


 盛り上がってきてやる気を出すヒーロー達。


 ジャジャジャジャーン


「失言一言 黒焦げ一瞬 【聖女】に注意 臨死レッド!」

 「もう一度 撫でたいあの尻 【聖女】様  臨死ブルー!」

   「【魔物】の群れより【聖女】が怖い 臨死イエロー!」

    「【急所】の賭け 主催したのは実は私 臨死ブラック!」

     「【聖女】が来てから怪我人激増 そんな過去あり 臨死グリーン!」


「臨死戦隊!」 シュババッ


「ゴエイジャー!」 シャキーン


 ドガァァァァァン 「ギャァァァァァァァァ!」


「爆発効果でヒーロー達吹っ飛ばすのやめてあげてー!」


 【配属面談】で吹っ飛ばされたヒーロー五人組は幸い軽傷で済んだ。


 各自の仕事については、ジェット嬢が追加でメモ書きを配って指示を出し、【魔王】【魔王妃】と職員八名で【魔王城】は営業を開始した。


 でもこの【魔王城】って本当に何なんだろうね。

 営業って何するんだろうね。

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