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7-3 キャスリン来訪と王城の再建計画(2.2k)

 俺達が【魔王城】で二人暮らしを始めてから八日後。街で偶然再会した運転手さんに頼んで車いすとテーブルセットを運び込んでから五日後。

 二人暮らしも楽しみながらも、二人きりだとやっぱり何かと大変で、寂しいなと思っていたそんな昼頃。


 広いエントランスを掃除していると、開きっぱなしの入口ドアから珍しく来客。

 俺と車いす搭乗のジェット嬢が出迎えると、キャスリンだった。

 いつものデタラメコーディネイトでフラッと現れた。


「ごめんくださーい」

「いらっしゃいませー」


 別に店というわけではないが、いつもの癖で飲食店風に応える俺とジェット嬢。

 【魔王城】の入口広場に【試作2号機】を着陸させたようだ。


 キャスリンが城の内装を眺めて感想を述べる。


「まぁ、初めて来ましたが、ステキなお城ですわね」

「まだ修理とか必要な場所多いけど、できるところから直していったら城らしくなってきたわ」


 ここ数日二人でいろいろ掃除とか補修とかしていたので、それを褒めてもらえてジェット嬢は嬉しそうだ。


「それに比べて、王と旦那が無茶苦茶してくれたおかげで首都の城は瓦礫がれきの山ですわ」


 キャスリンが遠い目で首都の王城区画の現状を語った。

 それ、ジェット嬢の仕業しわざだよな。


「まぁ、大変ねぇ」


 ジェット嬢よ。

 他人事みたいに言ってるけど、お前の仕業しわざだよな。


「有事の際の避難所として特別頑丈に建てた王宮防衛隊本部も瓦礫がれきの山ですし、新型の排水処理設備も跡形もなく粉々ですわ。残ったのは病院と図書館ぐらいで、あとは全部バラバラの粉々……」


 なんか、申し訳ない気分になってきた。


「あー、ゴメン。居住棟も粉砕しちゃったから、キャスリンの部屋もなくなっちゃったわね」

「最近はボルタ領の領主邸に居候していたのでそれは大丈夫ですの。でも、資金難で城の再建の目途が立たなくなっておりまして。あんな無茶苦茶したうえで申し訳ないのですが、お願いしたいことがありますの」


 資金難って。

 ヨセフタウンに向かう前に国王陛下と雑談していた時には、国の経済成長のおかげで国庫は潤沢じゅんたくと聞いたけど、一体何があったんだ。


「何? 借金とか?」


 ジェット嬢よ、なんか楽しそうだな。


「それですわ。王宮の主計課から書類預かってきたので、検討お願いしますわ。あと、【西方航空機株式会社】からの手紙もありますの」


 キャスリンはウェストポーチから封筒をいくつか取り出して、ジェット嬢に渡した。


「大型航空機の試作機が出来つつあるので、こちらにも大きめの滑走路がほしいですわね。あと、【魔王城】の職員になるメンバーがこちらに向かっていますの。三日ぐらいで到着する予定ですわ」

「そうなの。城の整備に人手が足りないからそれはありがたいわね。滑走路は私も欲しいと思っていたから、人数集まったら準備するわ」


 広いエントランスで事務的なやり取りをした後、キャスリンは【試作2号機】で飛んで行った。

 今の【魔王城】ではコーヒーを出すのもすぐにはできん。

 なんか職員が到着するらしいから、人員が到着したらいろいろ整備したい。

 どんな人が来るのか楽しみだ。


 でも、ジェット嬢いつの間に職員を集めたんだろう。



 キャスリンが遊びに来た翌日の午前中。俺達は滑走路を造る場所を決めるために、いつもの背中合わせスタイルで城の外を散策していた。


 城の西側。草木が茂っているので分かりにくかったが、よく見ると、そこそこ広い台地になっていた。【魔王城】は台地の東端に作られていたのだ。


「ジェット嬢よ。この台地の草木を刈り取って舗装すれば滑走路ができそうだが」

「うーん。この場所は別のことに使いたい気がするわ」


「そうか。じゃぁ東側の斜面下の林を伐採するか」

「ちょっと遠くなるけど将来の拡張も考えるとその方がいいわね。【試作2号機】は【魔王城】前の入口広場に着陸できるからキャスリンが来るには不便は無いと思うし」


 草をかき分けながら歩いて城の北側に来た。

 城の正面は南を向いているので城の裏側になる。


 そこに井戸がある。

 俺はウラジィさんと来た時からちょっとこの井戸が気になっていた。


「この井戸。なんかよくわからないけど、気になるわね」

「ジェット嬢もそう思うか。台地の端に井戸があるのも不自然だし、覗いてみると相当深い」


「ため池がすぐ近くにあるのに、井戸があるのも変よね」

「ジェット嬢よ。覗いてみるか? オマエなら底が見えるかもしれん」

「なんか怖いからまた今度にするわ」


 確かに、背中合わせで背負われた状態で井戸の底に向けられたら落ちそうで怖いな。

 ジェット嬢も怖いものあったんだな。


 次は、【カッコ悪い飛び方】で東側の斜面を山道沿いに降りて、滑走路建設候補地近くに着陸。


「まぁ、林だな」

「林ね」


 出会った直後に彷徨ったあの林だ。

 あの時はジェット嬢の案内で二日ほど迷子になったが、今は何度も上空から見たから位置関係が分かっている。


「ここを伐採して滑走路を作るのは大変だな」

「伐採だけなら簡単だけどね」


 サロンフランクフルト裏山のため池上空で出したアレを使うのか。

 確かにアレを使えば伐採は簡単かもしれんが。


「伐採した木の撤去とか整地工事とかを考えると、人数確保してから手順考えて着手したほうがよさそうだな」

「それもそうね」


 外を歩いたり飛んだりしながら、【魔王城】周辺の環境整備について考える。

 職員の到着が待ち遠しい。


 でも、【魔王城】って一体何なんだろうね。

 まぁ、俺達の新居ではあるんだが。

●次号予告(笑)●


 城での二人暮らしは楽しいけれどちょっと寂しい。あと、城の維持にはやっぱり人手が欲しい。

 そんなことを考えて日々暮らしていたら【魔王城】に待望の職員が到着。


 メンバーは男六名、女二名。


 その中の城の護衛役として配属された男五人は、それぞれの色を活かしてチームを組む。


「臨死戦隊★ゴエイジャー」


次号:クレイジーエンジニアと配属式

(幕間入るかも)

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