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第10話 クレイジーエンジニアと空飛ぶ妃殿下(14.6k)

 40代の開発職サラリーマンだった俺が剣と魔法の世界といえるこの異世界に転生してから四十一日目。

 着脱自在の背負子しょいこ的ハーネスで、脚の無い女を背負う大男というデタラメな生活スタイルが定着してから二十九日後。

 プランテが永久機関ともいえる魔力電池の原型機の運転に成功してから三日後の午後。


 俺達は食堂棟北側の広場にてウィルバー作の【カッコよく飛ぶためのアイテム】と対峙していた。


 食堂棟北側の広場の大半は昨日までフォードの工場の建屋建設のための作業スペースとして使用されていたが、建屋の建設が一段落して内装と設備工事に移ったことにより一旦片づけられた。

それにより広いスペースが確保できている。

 飛行試験には広い場所が必要になるので、今回は東池周辺よりも広い食堂棟北側の広場に集まってみた。


 ウィルバーが持ち込んだのはつばさだった。

 俺の前世世界のグライダーの主翼だけ取り出してきたようなもの。アスペクト比大きめで翼幅よくふく15mぐらいの両端が若干下側に垂れ下がった主翼。

 その中央部分には、俺の腰ベルトと連結するための構造と両手で翼を保持するためのハンドルがついている。


翼型よくがたの検証用も兼ねて作ってきました。低速でも離陸できるような設計にしているので、イヨさんの推力を加えれば先生の全力疾走で離陸可能なはずです」

 得意げにウィルバーが説明する。

 ウィルバーは俺を先生と呼ぶ。

 魔法学校が初対面だったからな。

 落第してたけど。


「なるほど、よく考えたな。でも動翼が無いぞ。舵はどうやってとるんだ。あと尾翼も無い。前後方向の姿勢制御はどうすればいいんだ」


推力偏向すいりょくへんこうですよ。イヨさんの魔力推進脚は二本あり、かつ広い可動範囲があるのでそれだけで姿勢制御と操縦が可能です。先生の脚の動きによる重心移動も加えれば遊覧飛行を楽しむぐらいの機動力は得られますよ」


 念のため背後に居るジェット嬢に確認する。

「ジェット嬢、いけそうか?」

「離陸さえできれば何とかなると思うわ」


 ジェット嬢にはあらかじめ飛行機の原理や基本構造について教えておいた。

 揚力や抗力の概念については、ロケットボートの操縦を通じて体感的にある程度理解しているようだった。


「もし、飛行中に翼が破損したり何らかの理由で制御不能になった場合は、翼を捨ててイヨさんを下にする【カッコ悪い飛び方】で緊急着陸してください」

「「それは避けたい」」

 俺とジェット嬢のつぶやきが同期した。


 緊急脱出手段があるというのは心強いが、ジェット嬢を下にして大男が小娘におんぶされる構図での飛び方を想像するとげんなりする。


「では、僕が十分離れてから風上に向かって全力疾走で離陸してください」

 そう言ってウィルバーは離れていった。

 手に望遠鏡を持っているが俺達の飛行を地上から観察するつもりなのか。


 飛行試験開始。


 腰ベルトに連結した翼の角度を進行方向に向けて前傾姿勢でマッチョダッシュ。途中からジェット嬢の推力も加わり【ジェットアシストマッチョダッシュ】という新技が発現する。

 これは普通に時速45km/hぐらい出てそうなので、翼無しの地上高速移動手段として使えるかもしれない。


 そんなことを考えていると翼が風を掴んだ感触。

 垂れ下がっていた翼端が持ち上がり俺の脚が地面から浮き上がる。離陸成功だ。


 離陸成功後はジェット嬢任せだ。魔力推進脚の推力を上げゆっくりと上昇していく。


「若干開いた状態で脚を水平に。急加速、急上昇に備えて」

 背後のジェット嬢から指示が出る。


 急加速? 急上昇? 何をするつもりだ。

 そう思いつつも、推進噴流が当たらないように若干脚を開いた状態で水平姿勢にする。


 ゴォォォォォ


「うおっ!」


 背中から強い推力を感じる。

 急加速して太陽に向かって急上昇を始めた。

 つばさが上方向にっている。


「ジェット嬢! 何をするつもりだ! イカロスにでもなるつもりか! この翼ではあんまり速度は上げられないぞ!」

 つばさというのは、求める速度に合わせて設計される。

 走って離陸することを前提に低速用に設計したこの翼では高速飛行はできない。


 何をするつもりか。

 それに対するジェット嬢の回答は、それはそれは残念なものだった。

「緊急回避機動よ。後ろから望遠鏡でスカートの中を覗こうとしたアホが居たの」


 何やってるんだウィルバー。

 お前、スカートめくりして落雷で落第させられたことに懲りてないのか。

「分かった。後でよく言っておく」

「とりあえず沼に埋めておいたわ」


 すでにサロンフランクフルト全域が見えるほど上昇していた。

 下を見てウィルバーの姿を探す。


 沼に腰まで埋まって身動き取れなくなっている可哀そうなウィルバーが居た。

 水魔法で土の中に水を作り出してウィルバーの足下をとっさに沼に変えたのか。


 その後、しばしの遊覧飛行を楽しんでから着陸。

 魔力推進脚による推力偏向すいりょくへんこうの機動力は予想以上で着陸も難なくできた。


 着陸場所で翼を外して沼に埋められてしまったウィルバーのところに向かう。

 直径1mぐらいのウィルバーを埋めるためだけに水魔法により即席で作られた沼。

 その中心部で腰まで埋められたウィルバーが泣いていた。


「僕が、何をしたって言うんですかぁ……」


 あの時と同じようになげくウィルバーだが、あの時と同じで自業自得だ。

「ウィルバーよ。望遠鏡を不適切な使い方したそうじゃないか」

「……太陽を見てしまいました……」

「バレてるんだぞ」

「ごめんなさい」


 俺は40代のオッサン。

 道を踏み外そうとしている若者が居たらそれを正してやるのが仕事。


 でも、そんな俺にも若い頃はあった。理解できないわけじゃない。いくら道徳的に間違っているからと言っても、若気の至りともいえる年頃の青年のささいな出来心を頭ごなしに全否定するのも可哀そうと思ってしまうこともある。


 そう、ついそう思ってしまうこともあるのだ。


「ウィルバーよ。どうしてもやりたいならバレないようにしろ。あと、命が惜しければ相手は選べ」


 俺が口を滑らせた瞬間だった。


 ゴォォォォォ バチッ バチッ ビシッ


 俺とウィルバーの間を中心にした半径5mほどの円上に高さ3m程度の【地獄ヘル業火壁ファイヤウオール】が出現。その下に生えていた草は一瞬で炭化し、その炭すら赤く輝きつつある。


 燃焼反応によるものではない。

 フロギストンの熱エネルギー変換により作った灼熱しゃくねつのプラズマ火炎のカーテン。

 見かけだけは焚火たきびほのおに似せようとしているが、そんな生易なまやさしいものではない。

 推定温度およそ3000℃。

 かがやく業火ごうかの中では度々稲妻が光っていた。


 周囲全周を囲む灼熱しゃくねつかがやきが輻射熱ふくしゃねつで俺達をあぶる。


「うわっ! うわぁぁぁぁぁ!」


 沼に半身埋められて身動きが取れないウィルバーが悲鳴を上げる。


 明らかに俺の背中に乗っているジェット嬢の仕業であるが、ジェット嬢は無言。

 姿は見えないが、背中に感じる荷重よりなんとなく腕を組んでいるように感じる。


 この【地獄ヘル業火壁ファイヤウオール】はジェット嬢の仕業であるが、これが出てきた原因はこの俺の不適切な発言だ。


 つい、自分の若かりし日を思い出しウィルバーの出来心をかばうような発言をしてしまったが、あの発言は男同士の密談でのみ許されるもの。

 女性が居る場所、しかも被害者女性を背中に張り付けた状況で許される発言ではなかった。


 俺は、俺達をあぶ強烈きょうれつ輻射熱ふくしゃねつに汗と冷や汗をかきながらウィルバーに大事なことを説明した。


 女性は男が思っている以上に視線に敏感で、どういう原理かは分からないが下心や出来心を含む視線を向けると距離や方向無関係にほぼバレるということ。


 そういうことをされた女性は心に深い傷を負い、その心の傷が悪化したら時には男を【滅殺めっさつ】する超危険な【魔神まじん】に進化してしまう危険性があること。


 若気の至りによる出来心は仕方ないにしても、それに耐えてこそ紳士となり【輝く魂の力】に近づけるということ。


「ありがとうございます先生。僕、命がけで紳士になります」

 ウィルバーも理解してくれた。


「そうだ、ウィルバー。生き残るため紳士であれ。そうでなければ生き残れん」

 【セクハラ】にマジで【死刑】が適用されかねないこの世界で生き残るためには、紳士であることが必須だ。


 今まであんまり気にしてなかったけど、この世界で女性が生足を出して歩いているのを見たことが無い。スカートも基本的にロングスカートで全身露出は最小限だ。そういう習慣というか文化なのか。

 そういう文化的背景があるからこそ【セクハラ】に対して厳しい部分があるのかもしれん。


 若者に対する指導は及第点に達したようで、【地獄ヘル業火壁ファイヤウオール】は無事消滅し俺とウィルバーは生還の喜びを目線で分かち合った。


 俺は40代のオッサン。若者を導くことが仕事。

 だが、俺だって人間。若い頃があった人間。たまには間違うこともある。


 しかし、俺は40代のオッサン。

 信じてついてきてくれる若者が居る以上そんな言い訳は許されない。


 それを、ジェット嬢は【地獄ヘル業火壁ファイヤウオール】で教えてくれた。

 間違いを指摘してくれる仲間というのはとても大事である。そういう意味で俺の背中に張り付いているジェット嬢は今や欠かせない相方なのかもしれない。


 でも、間違いの指摘は、できれば、命の危険を感じない方法でお願いしたい。

 切実にそう思った。


◆◇◇◇◇◇


 ウィルバー作の翼を使った俺とジェット嬢の初飛行から十五日後の午後。昼食の後片付けが終わったぐらいの時間帯。八日前に完成した格納庫の中で俺とウィルバーはこの世界で初となる飛行機と対峙していた。


 格納庫内に並ぶのは灰色の【試作1号機】と、白の【試作2号機】の二機。


 俺の渡したスケッチを元にしたウィルバーの設計。

 製作は、ヨセフタウンの大工と馬車職人と【西方運搬機械株式会社】の試作チーム。


 ベースになっている機体形状は、俺の前世世界で最も多く生産されたと有名な単発プロペラ推進の高翼式の軽飛行機のそれであるが、中身は別物だ。

 

 俺の前世世界での飛行機は、燃料消費量を節約するために機体を徹底的に軽くする必要があった。それでも離陸重量の何割かが燃料となるぐらいに大量の燃料を必要とした。

 それに対して、事実上の永久機関である【魔力電池】を実用化したこの世界の飛行機は燃料を必要としない。


 無論飛ぶためには軽くする必要はあるが、前世世界の航空機設計に比べると制約ははるかに緩い。

 その結果、機体構造は木造で強度が必要な部分は鉄を多用するという前世世界の航空機ではありえないような設計になっている。


 動力は電動機だ。開発者はヘンリー卿。

 ヨセフタウンで過去に武器用として試作された鉄合金の失敗作の中に、鉄心に使用することで電動機の効率を高めることができる鉄合金があったそうだ。

 それを固定子と回転子の鉄心に使用することで、軽量、高効率、低発熱な大型電動機の開発に成功したとか。

 直流電動機なので定期交換部品があるのが泣き所ではあるが、前世世界の内燃機関に比べれば整備は簡単だ。


 同じ機能、同じ外観でも、動力源とその性質が変わることで全く別物になってしまう。

 設計という物の多様性に俺は驚愕していた。


 それでも【試作1号機】は軽飛行機としてまともな仕様だ。

 前後二列の座席で、操縦者二人、乗客二人、あと少々の荷物。乗降は機体両側面の扉より行う。

 降着装置は車輪付きの固定脚。空気入りタイヤが開発されていないのでソリッドタイヤだ。その分緩衝装置を工夫してあるが、俺の前世世界の飛行機と同じく整備された滑走路でしか離着陸できない。


 それに対してかなりキワモノになってしまったのが【試作2号機】だ。

 ウィルバーの発案と俺の入れ知恵によりとんでもない仕様になってしまった。


 滑走路の無い場所でも離着陸できるように客室を潰して垂直離着陸用の垂直ダクテッドファンを機体に内蔵した。

 俺の前世世界で言うところのVTOL機だ。


 前方にもプロペラがあるが胴体にも垂直方向にファンを内蔵している。言うなれば独立した二系統の動力があるぶっ飛んだ設計だ。

 俺の前世世界の設計では絶対あり得ない。


 ダクテッドファンを内蔵するために客席を潰したので乗客も荷物も乗れない。そのダクテッドファン用の大型の魔力電池を操縦席両脇に配置したので、操縦席は非常に狭く当然操縦者は一名。

 胴体両脇にドアが配置できないため搭乗は機体下部の搭乗口から行う。座席の下から潜り込むような形だ。


 ダクテッドファン搭載による重量増加を相殺するため降着装置はソリ。実質、垂直離着陸しかできない。

 操縦席が狭いため小柄な人間しか乗れない。ウィルバーでもギリギリだ。俺は絶対無理だ。


「先生達が翼型の検証に協力してくれたおかげですよ。僕の夢が叶いました。これがあれば好きなだけ飛び回ることができます」


 望遠鏡を不適切な使い方をして沼に埋められたウィルバーだったが、ちゃんと適切な使い方もしていたようであの飛行試験で翼型よくがたを確定させたらしい。


 それにしても、この短期間でこれだけのものを作ってしまうのは驚きだ。

 俺はふと思ったことを口に出す。

「こんな短期間で本当に作ってしまうとはな。【試作1号機】のほうは、量産化すれば売れるんじゃないか? スポンサーのフォードはどう言ってる?」

「うーん。売れるかどうかはどっちでもいいですねぇ。僕は自分が飛びたかっただけなので、コレがここに置いてあるならあとはフォードさんの好きなようにしてもらえればと思います」


「投げやりだな。維持費だってかかるだろうに。会社の収益への貢献を考えてもいいんじゃないか。お前今は一応【西方運搬機械株式会社】の社員だろ」

「そういうことを気にしないのが【クレイジーエンジニア】なんじゃないですかぁ?」

「それもそうだな」


 俺とウィルバーは二機の飛行機の前でほくそ笑んだ。

 ウィルバーは俺以上に【クレイジーエンジニア】というものをよく理解し、そして実践している。将来有望な若者だ。


 そこでちょっと気になったことを聞く。

「【試作2号機】の方はちゃんと飛んだのか? 明らかに操縦が難しそうだが」

「実際コレは操縦難しいですねぇ。イヨさんの推力偏向すいりょくへんこう機動を参考に設計をしてはみましたが、自由度が低いし応答も遅いので、離着陸の難易度は高いです」


「そうだろうな。離陸時の姿勢制御とかすごい難しそうだ。あと、運転席の背後で高速でファンが回っているというのも、なんとなく心臓に悪い。俺は正直乗りたくないな。乗れないけど」

「ファンの強度は大丈夫ですよ。鍛冶屋の太鼓判付の鉄系超合金です。でも、確かに怖いので僕も正直コレはあんまり乗りたくないなぁとは思います」


「これの離陸に成功できたのは何人居るんだ? そもそも乗れる奴が少ないと思うが」

「【試作2号機】は今のところ僕だけですね。ウェーバも挑戦しましたが無理と言ってました」

「滑走路が整備されていないこの世界では垂直離着陸は貴重だけど、乗り手を選ぶし、乗客は乗れないし、荷物は全く乗らない。ちょっと売るには厳しいな。ロマン優先実用性度外視の試作機どまりか」

「まぁ、僕が飛べればいいのでそれでもいいんですけどね」


「それにしても【試作2号機】のダクテッドファンの電動機と魔力電池。けっこう高かったんじゃないのか。魔力電池のコストダウンが進んでいるとは聞いたけどここまでのサイズになると安くはないだろう。フォードの承認は取れてるんだろうな」


「あはははは。【試作2号機】は無断で作ってしまいましたぁ」


「いやいやいや、いくら【クレイジーエンジニア】だからって、無断はマズイだろ無断は!」


 ウィルバーは俺以上に【クレイジーエンジニア】を理解している。

 しかしモノには限度があるだろう。試作機一機まるごと無断とか、ちょっと度を越えている。


 ルールを守ることの大切さとルールを破ることの難しさを教えようと思ったら、格納庫の通用口に人影が見えた。

 そこには怒り心頭のフォード社長が居た。たくさん書類を持ってる。


「ウィルバー。話がある。ちょっと食堂棟までついて来い」


…………


 食堂棟のテーブルでフォード社長によるお説教タイム。

 俺とウィルバーが怒られる。


 使った金額自体は研究用としては許容範囲だったそうだが、未承認で町内各所にいろいろ発注した影響で経理部が混乱したことのほうが問題だったそうだ。

 

 すっかり社長らしくなったフォードが言う。

「事前に相談してくれればこのぐらいは研究費として承認するから。無断発注とか口頭発注とかやめてくれ。ちゃんと帳票残してくれ。ルール守ってくれ。決算の計算が狂ったら大変なことになるんだぞ。今回の件で経理部のクララが深夜残業になったんだ。かわいそうだろう」


 そうだよな、コンピュータの無いこの世界では帳票の計算は全部手計算。やり直しが多発したらそりゃ大変だ。

 クララってもしかしてフォードの彼女か? そりゃ心配だ。


「なるべくがんばります」

 すっとぼけた口調でウィルバーが応える。

 それを見てちょっと不安になったので俺が重要な事実を伝える。

「決算資料は【株主】が見るんだぞ。ここの【株主】が誰だか知ってるよな」

「ルールを順守し、関連部署に迷惑をかけない、清く正しく美しい【クレイジーエンジニア】として職務を遂行させていただきます!」

 ウィルバーがシャキッと背を伸ばして、宣言。

 結局、ウィルバーは【始末書】を提出した。


 実は俺も前世世界で開発職サラリーマンをしていた時に【始末書】を書いたことがある。なるべく書きたくないものだ。

 ルール違反はいろんなところに迷惑をかける。【クレイジーエンジニア】だからってむやみにルールを破っていいわけじゃない。ルールは守るより破る方が難しいんだ。


 そう。俺は40代のオッサン。【始末書】経験のあるちょっと残念なオッサン。

 ルールの大切さを若者に教えるのも仕事だ。


 ジェット嬢は車いす搭乗で離れたテーブル席で縫物をしていた。

 この後、俺は、ジェット嬢に借金を申し込んで、自費で塗料を注文してもらった。


 赤、青、黄の3色。


 真っ白の【試作2号機】に色を塗りたい。

 フォードとウィルバーの許可は取った。


 俺は借金は好きじゃない。


 でも、俺は、どうしてもあの機体に色を塗りたかった。


◇◇


 ウィルバーが無断発注の不祥事で【始末書】を書いてから二日後の午前中。俺とウィルバーは、格納庫で【試作2号機】に色を塗っていた。


「先生、このやたら派手な配色なにか意味があるんですかぁ?」

 俺の描いた配色の図を見ながらのウィルバーの質問に俺は堂々と応える。

「俺の前世世界では【ロマン優先コスト度外視で作られた乗り手を選ぶ試作機】はこの色を塗るという決まりがあるんだ」


「確かにこの【試作2号機】はその条件にバッチリ該当しますが、先生が借金してまで塗るほど重要なんでしょうか。僕は飛ぶためには色とか関係ないとは思うんですが」

「俺としては重要なんだ」


 どんな配色か。

 運転席付近を青、そのちょっと後ろ、ダクテッドファンの外側あたりを赤、窓の周辺や、給排気口周辺を黄色。トリコロールカラーというやつだ。


 窓ガラスに塗料が付かないように上から下に向けて丁寧に塗っていく。

 ウィルバーは給排気口周辺の黄色を担当してくれた。開口部は構造に詳しい人が塗ったほうが上手に塗れるからな。


…………


 昼食前ぐらいの時間には塗り終わった。

 服のあちこちにペンキを付けながらも二人で達成感を感じる。


「塗ってみると綺麗なもんですね。なんかカッコよくなった気がします」

 ウィルバーの満足そうな感想に俺が応える。

「そうだろう。そうだろう。塗装とか配色とかは機械にとっては重要なんだぞ。塗料乾かしたいから、今日は格納庫の扉は開けておきたいが問題ないか?」

「午後からは王宮からお客さん来るようですが、ここに用事は無いそうですし、コレは別に隠す必要はないので格納庫開けっ放しでも問題ないでしょう。夕方にウェーバと一緒に格納庫の掃除の予定ですが、一緒にどうですか」

「そうか、手が空いたら手伝うよ」


 こうして、午前中の作業を終えて昼休み。


 俺は、厨房立ち入り禁止の後片付け専門ウェイターとして、ジェット嬢はトレーラック付き車いすを駆使したスーパーウェイトレスとして昼の日課をこなした。


 王宮から【西方運搬機械株式会社】の工場視察のためお客様が来るということで、フォード社長含め、対応に当たる一部のメンバーは大張り切りだった。


 昼食後しばらくすると王宮からの工場視察団は到着したらしく、工場周辺で人だかりがあちらこちらに移動していた。

 俺とジェット嬢はその光景を食堂棟の窓から眺めていた。


 前世で開発職のサラリーマンをしていた時のことを思い出す。

 工場見学のために勤め先にお客様が来た時。担当営業の方がお客様を案内している近くを通るのがなんとなく気まずかったので、お客様の見学が終わるまで事務所の奥に籠ってデスクワークとかしてたなぁ。

 お客様とすれ違ったときに気持ちのいい挨拶とかできればよかったんだろうけど、体育会系の経験が乏しかったこともありそういう器用なことがなかなかできなかった。


 お客様を引率して、誇らしげに工場の説明をしていたのも俺の同期の40代のオッサンだったが、40代のオッサンも人それぞれ。

 俺はそういうのが苦手な40代のオッサンだった。


…………


 夕方ぐらいになり、そろそろ格納庫の片付けの手伝いでもしに行こうかと思ったら食堂棟に来客。

 車いす搭乗のジェット嬢と出迎えるとヘンリー卿とフォード社長が視察団を連れて食堂棟に入ってきた。

 なるほど、工場見学が一区切りついたから食堂棟で休憩しようということか。


 コーヒーでも用意しようかと人数を確認するために視察団に視線を移した時、視察団の中にヤバイ奴が居るのを発見して俺は固まった。


 視察団は男性四名、女性一名。

 その一名の女性がヤバイ。


 恰好がヤバイ。


 小柄な女性だが、頭には先の尖がった魔女帽子、額にバンダナ、目にはハート型の色の濃いサングラス、鼻と口はマスクで隠し、全身は黒ロングスカートのワンピース。

 前には青いエプロン、腰には黄色のウェストポーチ。背中に赤いマント。手には扇のようなものを持っている。


 ヤバイ。デタラメだ。


 俺の前世の世界のセンスでもデタラメだし、この世界の中でも明らかにデタラメだ。

 どうやったらこんなデタラメなコーディネィトができるのか分からないぐらいのデタラメな恰好をしているヤバイ女。


 そのヤバイ女はこの俺を見つけると、なぜかジロジロ眺めて、そして、近づいてきた。


 逃げたい。すごく逃げたい。


 だけど、人の顔を見てダッシュで逃げると後でろくなことにならないことは学習済みだ。


 逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだと、心の中で繰り返しながらそのヤバイ女の接近に耐えた。

俺はヨセフタウン外に知り合いは居ない。

 もしかしたらこのヤバイ女はジェット嬢の知り合いかもしれないと思って、ジェット嬢の車いすを見下ろすとさっきまで居たはずの場所に居ない。


 何処どこへ行った?

 周囲を見渡すと、車いすをゆっくり動かしてそーっと医務室の方に向かっているジェット嬢の後ろ姿が見えた。


 オマエが逃げるんかい!!


 こっそり逃げようとする背中を見ながら心の中でツッコミを入れていると、ヤバイ女が素早く車いすに追いつきそのハンドルを捕まえてジェット嬢に話しかける。


「イヨ様。お久しぶりです。ちょーっと、お聞きしたいことがあるのですが、お時間よろしいでしょうか」

 車いすごと完全に捕獲されたジェット嬢がしどろもどろに応える。

「ワタクシに分かる範囲でヨロシければ、ヨロこんで」


 ヤバイ女はジェット嬢の車いすを押して二人でそのまま医務室に入ってしまった。

 どうやら知り合いっぽいしガールズトークでもするのかなと、俺はそっちは気にせずに来客にコーヒーを淹れるために調理場に入った。


 ヘンリー卿と、フォード社長と、視察団の男性四名。休憩に俺も同席を許されたので同じテーブルを囲んで話を聞く。

 視察団の男性四名はお忍びで来たこの国の第二王子イェーガとその護衛騎士。そして、さっきのヤバイ女は第二王子の妻キャスリンとのことだった。


 そして、俺はここでもオッサンを名乗った。正体は神聖大四国帝国から来たクレイジーエンジニアということにしておいた。デタラメ上等。


 イェーガ王子もやたらと俺の方をジロジロ見てきたが、俺の顔に何かついてるか? ジェット嬢に会った初日に髪を焼かれたり顔を殴られたりして、顔面若干ボコボコで鼻の潰れたボウズ男にされてるけど、眼鏡装備だから人相そんなに悪くないと思うぞ。


 今日は五日前に稼働開始したトラクターの工場の見学が主だったそうだ。

 電動機と鉛蓄電池と魔力電池を搭載したトラクターをユグドラシル王国内全域に販売するために招待したとか。

 イェーガ王子は農作業用だけではなく馬車の代替として交通手段としても普及させたいと言っていたが、俺は時期尚早だと伝えた。

 道路インフラと交通ルールの整備が先だと。前世世界の交通事故の悲劇までこの世界に持ち込むわけにはいかんのだ。


 あと、空気入りタイヤの実用化が必須条件だ。

 今のソリッドタイヤで石舗装の道路を走るのは危険だ。農作業用といっても空荷の全速力なら馬車より格段に速いからな。


 そんな話をしていると、医務室からあのヤバイ女、キャスリンだけ出てきた。

 そしてキャスリンはこちらをチラッと見た後、食堂棟入口からフラッと出て行ってしまった。


 夫のイェーガ王子がそれを見ても別段反応していないので、まぁキャスリンは大丈夫なんだろうと思い俺は医務室にジェット嬢を迎えに行った。


 医務室に入ってそこにあったあんまりな光景に俺は固まった。


「むぐーー! むぐーー!」


 ジェット嬢が車いすごと大きな白い布でぐるぐる巻きにされて中でもがいていた。白い布はベッド用のシーツだ。

 すぐにそれをほどいてジェット嬢を開放し事情を聴く。


「一体どういうことだ!? 状況がカオスすぎるだろ!」

「ウィルバーが作った飛行機の話をしたら、急に眼の色が変わっていきなりシーツを巻かれたわ! 追いかけるから背中向けて!」


 理解が追いつかない。

 なぜ飛行機の話を聞いたらジェット嬢にシーツを巻かないといけないのだ。

 でも、何かヤバイ事が起きようとしているのは何となくわかる。


 ジェット嬢を背中に登らせながら確認する。

「あのヤバイ女は一体何なんだ。ヤバイのは見た目だけじゃないのか!?」

「話は後! 追いかけて頂戴!」


 追いかけるというにはあまりにタイミングが遅いが、ジェット嬢を背中に張り付けて食堂棟から駆け出した。

 行先を探すべく周りを見渡す。


 トラクター工場より北側にある格納庫周辺が騒ぎになっていた。格納庫の出入口周辺でウィルバーとウェーバが中に向かって何かを叫んでいる。

 多分あのヤバイ女と何か関係あるだろうと考えてそちら側に向かう。

 すると、格納庫の中から書類や塵を吹き飛ばしながら午前中に塗装したばかりの【試作2号機】が出てきた。


 尾翼から。


 格納庫から後ろ向きに出てきた【試作2号機】は、ダクテッドファンによる推力で機体を浮かせながらゆっくりと滑走路のほうに後ろ向きで移動する。

 滑走路の端に来ると、滑走路に合わせて回頭。

 機首のプロペラを始動させて滑走を開始し、滑走路の半分ぐらいまで走ったところで綺麗に離陸していった。


 俺とウィルバーとウェーバは格納庫前に並んでそれを呆然と見とどけた。


 ウィルバーとウェーバがここに居るということは乗っているのはあのヤバイ女だ。

 間違いない。


 俺は思った。


 あの配色がマズかったと。


 あの配色は【ロマン優先コスト度外視で作られた乗り手を選ぶ試作機】のためのものであるが、【無断で乗り込んで取説読んだだけで無双するヤバイ奴】を呼び寄せる作用もあるんだったと。


 離陸した【試作2号機】は上空で旋回している。

 三人+背中のジェット嬢で呆然ぼうぜんと見上げていたら、その静寂を切り裂くようにウェーバが突然【電波】を受信して叫ぶ。


「総員! 対空戦闘用意!! 魚雷装填急げ! 撃ち落とせ!」

 さすが【電波】だ。ツッコミどころが多すぎる。だが、俺は人生経験豊富な40代オッサン。瞬間的な選択と集中でベストアンサーなツッコミをしてやる。

「魚雷は対空兵器じゃない! その【電波】の発信源は一体何処だ!!」

 しまった。間違った!

「そうじゃないわ。撃ち落としたらダメよ! キャスリンが乗っているのよ!!」

 ナイスフォロージェット嬢!!


 ウィルバーが格納庫の奥からスーパーミラクルデンジャラス金属パイプ【魔導砲】を抱えてやってきた。

「この【魔導砲】は対空兵器に入りますかぁ?」

 今度こそ俺が正しいツッコミを!

「バナナはおやつに入りますかみたいなノリで超危険物持ってくるんじゃない!!」

「だから撃ち落としたらダメだって!! キャスリンはあれでも王族よ! ケガなんてさせたら最悪ギロチンよ!」

 ジェット嬢が再びフォロー。

 そんなことをしているうちに、離陸した【試作2号機】は南の空に消えていった。


 そしてウェーバが次の【電波】を受信して叫ぶ。

「総員! 対空警戒を厳にせよ。望遠鏡と人数を集めて、建屋屋上にて南の空を中心に対空警戒。地上要員は帰還に備えて滑走路周辺を片づけろ! 夜間着陸に備えて滑走路に誘導灯を用意!」

 今度こそ俺がパーフェクトなツッコミを!

「ウェーバ! 【電波】はもういい! 発信源は一体何処なんだ!!」

「待って。今の指示は的確だと思うわ」


 そういえば、そうだな。


 ヘンリー卿とフォード社長も騒ぎに気付いて食堂棟から出てきた。

 あとの対応はウィルバーとウェーバ達に任せて俺とジェット嬢は食堂棟に戻る。


 ジェット嬢に聞きたいことがありすぎる。

「あのヤバイ女、キャスリンは何者だ?」

「えーと、第二王子の妻で、つまり、この国のお姫様的な方よ」


「なぜそのお姫様が、ジェット嬢をぐるぐる巻きにしたうえで、【試作2号機】を強奪しないといかんのだ」

「ちょっと、あの方は、【目的のためには手段を選ばない】ところがありまして、最近どうも、高速な移動手段を渇望していたそうなので、ついあんな行動に出てしまったんじゃないかと」


「強奪する必然性が無いだろう。素直に見たいと言えば、フォードもウィルバーも喜んで案内したはずだ。わざわざジェット嬢をぐるぐる巻きにする必要性がどこにある」

「あの方は以前より、【夢中になると周りが見えない】という悪癖がありまして、欲しかったものが手の届くところにあると思ったら、我慢できなかったんじゃないかと」


「最大の疑問は、ウィルバーですら操縦に難儀した【試作2号機】を初乗りで手足のように乗りこなしたところだが、あれはどういうことだ」

「それは私にも分からないわ。キャスリンは風魔法が得意だからそれと何か関係があるかもしれないけど」


 夫であるイェーガ王子にも話を聞こうと食堂のテーブルに向かったら、イェーガ王子は机の上で頭を抱えてお酒のグラスを前になんか見覚えのあるオーラを出していた。


 あのオーラは俺の前世世界で見た覚えがある。

 【妻が駐車場で物損事故を起こしたので、妻の代わりに菓子折りを持って相手に謝りに行ったら無茶苦茶怒られて、帰って妻に文句言ったら逆切れされて心の行き場を失った夫が仕方なくお酒を飲んでいる時】

 のオーラだ。


 苦労してるんだな。普段から。

 俺が聞きたいことは、その苦労に比べればそれほど重要なことじゃない。

 いまはそっとしておいてやろう。


 でも、キャスリンが食堂棟出るときに止めなかった王子にも原因はあったと思うぞ。


 俺は理解した。

 無茶苦茶な行動をする人間の傍では、それをフォローするために多くの人が疲れているということを。


 俺は反省した。

 前世ではけっこう無茶苦茶やったことあったけど、その時もいろんな人に苦労をかけたであろうことを。


 俺は決意した。

 若者たちの無茶苦茶をフォローできるような40代オッサンであり続けたいと。


 そして、俺は願った。

 第二王子とその妻が残念すぎるので、せめて、王位を継承するであろう第一王子とその伴侶がまともでありますようにと。

 この国でこれからを生きる若者たちのためにも。



 第二王子の妻キャスリンが、あり得ない方法で【試作2号機】を強奪した翌日午前中。キャスリンはその【試作2号機】で帰ってきた。


 滑走路に綺麗に着陸し、床下の搭乗口から降りて、出迎えたウィルバー達に開口一番。


「コレ頂戴!!」


 昨日はこの【試作2号機】で首都の王宮まで帰ったとか。居住棟の自室の真上の屋根に着陸させて自室の窓から帰宅したそうだ。

 飛行機でドア・ツー・ドアする奴は初めて見た。


 【試作2号機】は試作機であり商品ではないのでウィルバーは引き渡しに難色を示したが、キャスリンが結構な額の小切手を持ってきたこともありフォードは貸出の形での提供を提案。

 消耗品交換などの定期点検が必要になるので、飛行時間記録を確実につけることと飛行時間が規定を超えるまえに必ずここで整備を受けるという条件で機体を引き渡した。


 イェーガ王子はキャスリンの帰還を待つため予定を変更し、昨晩は護衛の三名含めてサロンフランクフルトに宿泊していた。朝から顔色が悪く胃のあたりを押さえていた。

 なんか気の毒になってきた。


 ヨセフタウンから首都まで直線距離でおよそ250km。馬車では五日かかる距離だが【試作2号機】なら二時間もかからない。

 キャスリンが首都とサロンフランクフルトを高速で往復することを想定し、護衛騎士二名がここに常駐することになった。

 【試作2号機】は操縦者しか乗れないので、イェーガ王子と護衛一人はこれから五日かけて馬車で首都に帰るそうだ。


 疑問に思っていたことを思い切ってキャスリンに直接聞いてみた。

「操縦が難しい【試作2号機】をどうやったらあんな自由に動かせるんだ?」

「操縦席に取扱説明書がありましたの」


 それは答えになってない。

 俺は、あの配色が原因だと思うことにした。

●次号予告(笑)●


 人が住めそうだけど、住んでいない場所。

 町になりそうだけど、街になっていない場所。

 そういう場所には、そうなるだけの理由がある。


 サロンフランクフルト周辺は、海抜高度がヨセフタウンよりも低い。

 この世界の生活排水の処理は、排水溝による河川放流に頼っていた。


 【西方運搬機械株式会社】の工場が稼働を開始、今まで数名しか居住していなかったサロンフランクフルト周辺に百名を超える人員が常駐しだした。

 雨の多い季節が終わり夏が近づく中、サロンフランクフルト周辺が街となっていなかった驚愕の理由が居住者達を襲う。


 領主と社長を含む四名がテーブルを囲み【お通夜状態】。

 その中で、【金色こんじきの滅殺破壊魔神】がつぶやく。


「焼き払いたいわ」


 クレイジーエンジニアは町を、世界を救えるか。


次回:クレイジーエンジニアと環境改善

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