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6-3 副魔王マスター・ウラジィの説教(1.9k)

 首都で営業中のウラジィさんの店、バー・ワリャーグにて。

 初飲酒でカルーアミルク大ジョッキをイッキして潰れたジェット嬢が、ウェイトレス二人に二階に運ばれるのを見送った後。

 店に残ったウラジィさんと二人きりで転生者同士の会談。


「まぁ、ちょっと嬢ちゃん抜きで話がしたかったのもある」

「ウラジィさん。手段は選ぼうぜ」


 大ジョッキでカルーアミルクを一気。

 体質によっては急性アルコール中毒になりかねない危険な飲み方だ。


「すまんな。だがミルク多めで度数は調整した。薬とかは混ぜてない普通の酒だ。まさか自らイッキをするとは思わんかったし、あそこまで綺麗につぶれるとは思わんかった」

「そうなのか。配慮はしてくれてたんだな」


「若造を送り出した後な。わし王宮突撃して、いろいろあったが、国王直下に作ったユグドラシル国家保安委員会の職員として雇ってもらった」

「それは良かったな。こっちの世界での生活が安定する。あと、その職業すごくウラジィさんらしくていいと思う」


「ああ、しっくりくる。前世での若い頃思い出すよ。その仕事場としてこの店もらった。ウェイトレスのあの二人は王宮から派遣されている職員だ。若いけど、なかなか頼もしい」


 あの二人、王宮職員だったのか。

 まぁ、首都在住だからそういう人もいるか。


「その初仕事として、飛行機でこっち来たエスタンシア帝国の首相と交渉したんだが、先方結構怒っていてな」

「いきなり大役だな。それで相手が怒ってた原因はつかめたのか?」


「ああ、結局、若造がいらんことをしたせいだ」

「どういうことだ?」


「今までの経緯、いろいろ聞いた。【八咫烏特攻作戦】の時にその姿でいらんことしただろ」

「あっ」


「【魔王討伐計画】の最終作戦におけるこちらの不手際のせいで先方は散々な目に遭っていたそうだ。だが、担当者である第一王子が戦死していたという情報を掴んで仕方ないと思った。そこで、若造が第一王子と見分けがつかないその姿で首相官邸に突撃して首相を罵倒だ。怒るだろ。生きてるなら何故計画通り遂行しなかったと」

「ああああ……。あの男首相だったのか……」


「国王にも話を聞いた。交渉に際してエスタンシア帝国側が強硬に前任者を出せと言ってきたから、【魔王討伐一周年記念祝賀会】に若造を呼び出して、【替え玉】で王族に呼び戻そうとしたと。全部若造のせいだ」

「あああああ……」


 俺は頭をかかえた。

 今までの散々な展開は、元はと言えば、全部俺のせいだったのか。

 あの時、調子に乗ってやらかしたいらんことが原因だったのか。


「エスタンシア帝国の食糧事情は深刻だ。相互に戦う理由は無いという認識は共有できたからな。食料問題の解決に協力する条件で明確な休戦協定は成立した。だが、こちらの不手際で起きた先方の被害は大きい。それに、【怒り】や【不信感】はなかなか消えん。講和と正式な国交回復はもう少し時間がかかりそうだ」

「あああああああ…………」


 俺がいらんことさえしなければ、エスタンシア帝国は食料を欲していたから、その事情を優先して講和条約が成立していたのか。


「その不手際が何なのかまでは分からんかった。王から聞いたが、最終作戦について国内に情報が残ってない。先方からも聞き出せなかった」


 それはちょっと残念だな。

 開戦理由につながる部分だから、気になっていたことではある。


「軍事が絡む国家間の約束事が担当者戦死ぐらいで消え失せるこの国も大概おかしい。わしが相手国なら、こんな国と付き合いたくない。【不信感】持たれて当然だ。そこはきっちり説教しておいた」


 それは助かる。

 この国には、外交面での指導役は必要だからな。


「若造。いらんことするなとは言わん。後始末ぐらいはしてやる。だが、考えて行動しろ。起きた結果はひどいものでも全部伝えるからな」

「申し訳ありません」


「謝る相手はわしじゃない。あと、細かいことだが、先方は【戦車】のようなものを【最終兵器】を呼んでいた。呼び方の問題だが、こちらはああいうのを【戦車】と呼んでたので、そこは統一するように頼んでおいた。この世界に【戦車】の設計を持ち込んだのは若造か」


 【勝利終戦号】のことだな。


「ユグドラシル王国側の【戦車】については、形だけ俺が持ち込んだ。中身はこちらの技術者のオリジナルだ」

「本当に、いらんことばかりしてたんだな。先方はあの【戦車】の設計資料を欲しがっていた。だから、休戦協定に設計資料の提供も入れた。引き渡し日程は別途調整だ」


 あの戦いで散った【勝利終戦号】。

 最初に越境攻撃が行われたときに【勝利終戦号】があの場所に居なかったら、この世界は危機的状況に陥っていた。

 だから【勝利終戦号】に関してはいらんことではない。


 だが、こちらに来てからの俺の行動で、何が必要で、何が不要で、何が危険な行動だったのか。

 今の俺には判断する自信が無い。



 その後、あのウェイトレス二人によるとジェット嬢はあのまま寝てしまったとのこと。

 仕方ないのでこの日は【バー・ワリャーグ】に宿泊することにした。

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