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5-2 眠り姫は池に投げ込むものだ(1.4k)

 サロンフランクフルト医務室にて。

 【眠り姫】状態のジェット嬢を前に、何とか復活させる方法を考える俺達。


「オリバーよ。【眠り姫】に【王子様の口づけ】は有効と思うか?」

「創作物なら定番ではあるが、今ここで実践したら世界が終わるやつだな」


 同感だな。

 今のジェット嬢に必要なのは、そんなベタな展開じゃない。


 ベッドで転がるジェット嬢を持ち上げる。

 そして、魔力推進脚のノズルを何処かにぶつけないように気を付けながら、片手でぶら下げる。


 予感が確信に変わる。

 ジェット嬢をぶら下げて医務室を出ながらオリバーに確認する。


「ちょっと走るが、立ち会うか?」

「立ち合おう。追いかけるが、待たなくていい。全力で行ってくれ」

「ありがたい」


 俺は走った。

 ジェット嬢を片手でぶら下げたまま、食堂棟から裏山に向かって走った。

 後ろからオリバーがトラクターで追いかけてくる。


 改良型か。俺が知っているあのトラクターよりも速い。

 だけど、ジェット嬢をぶら下げて走る俺の方が速い。

 走りながら、ぶら下げているジェット嬢に語り掛ける。


「俺は言ったはずだ。人は自分を【呪う】ことしかできないと」


 走って裏山のふもとに到着。そこから山道を駆け上る。

 オリバーもトラクターを降りて後ろからついてくる。

 走る俺についてくるとは、意外と足が速いな。


「何かをきっかけにオマエは自分で自分に【呪い】をかけた。無意味な【呪い】だ。特に、俺と居る時にはな」


 裏山の中腹、ため池のほとりに到着。


 俺はジェット嬢を片手でぶら下げているが、ぶら下げるために持っているのは、例の背面背負い用のおんぶ紐的ハーネスだ。服の上からハーネスの背中の部分を掴んでいる。


 俺達がいつも使ってるこのハーネス。

 俺の方は背負子しょいこのようなものなので構造は簡単だ。それに対して、ジェット嬢側の構造は複雑だ。着脱方法はジェット嬢しか知らない。

 そして、皮を使っているので、水没したらダメになる。


 今ジェット嬢が装着しているのは、水没したものではない予備の品。ため池に墜落した後、医務室で処置された際にハーネスは一度外されたはずだ。

 その後、ジェット嬢が自分で予備のハーネスを患者着の下に着用したとしか考えられない。


 俺の背中に張り付く以外に用途の無いこのハーネスを、俺が近くに居ないことを知りながら自分で着用した。


 つまり、コイツは俺を待っていた。


 ため池のほとりで片手に持ったジェット嬢を軽く振り回す。

 ビッグマッチョだからこそできる技だ。


「ジェット嬢よ。【呪い】は自分で解くものだ」


 追いついてきたオリバーが少し離れて後ろに立つ。


「女性にしては大柄だろうが、俺から見れば小柄の範疇だ! その証拠を見せてやる!」


 俺はジェット嬢をため池の上空に向かって放り投げてやった。


 さすがマッチョ腕力。良く飛ぶ。

 前後方向に回転しながら飛んでいくジェット嬢に大声で呼びかける。


「さぁ! 水没が嫌なら目を覚ませ! 【呪い】から自分を解き放て! ジェット嬢!」


 ジェット嬢は放物線を描きながら、回転しながらため池上空を飛んでいく。脚が無くて全長が短いせいか、見ていておもしろいほどよく回る。

 でも、魔力推進脚の単独飛行なら、あの状態からの姿勢制御は問題ないだろう。


 さぁ、飛び上がってくれよ。


 そこで、オリバーが背後から一言。


「【眠り姫】を池に投げ込むか。荒療治のつもりかもしれんが、池に落ちたら引き上げが大変なやつだ」

「心配するな。ジェット嬢なら大丈夫だろ。見てろ」


 ドボーン

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