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1-2 ユーリって誰だよ(1.9k)

 魔王討伐一周年記念祝賀会の最中。

 会場の隅から国王に手招きされていることに気付いた。


 宣戦布告後のしんどい秘密会議でさんざん罵倒したので、その時の非礼をお詫びする意味でもちょっと挨拶してこようかなと国王の方に向かう。


 これから終戦とか講和とか国の発展とかがんばってほしいから、今回からは敬語でいってみよう。


「お久しぶりです。国王陛下」

「久しぶりだな……ユーリよ……」


 ユーリって誰だよ。


「やってくれ」


 国王が、白衣の男に指示を出す。何をするのか。


「王子、失礼」


 なんか強張った顔の白衣の男が手を伸ばし、俺の顔に触れる。その瞬間。

 顔に熱い感触と、激しい耳鳴り。なんなんだ一体。


「…………!!」


 白衣の男の手が離れて、顔面の熱い感覚が収まっても耳鳴りが収まらない。

 人の声がうまく聞こえん。

 白衣の男が驚愕の表情で、国王はなにか嬉しそうに俺の顔を見上げる。


 俺の顔に何か付いてるか? 眼鏡しかついてないぞ。

 国王が俺の眼鏡を外そうと手を伸ばして来るが、ちょっとそれはける。

 度なしだけどコレ気に入っているんだ。


「……!!…………!………………!」


 何か、高い声が聞こえるが、耳鳴りが酷くて何を言っているのか分からない。

 声がしていそうな方向を向くと、ジェット嬢が俺を見てなにか叫んでいる。

 俺に向かって? いや、国王と、白衣の男に向かって言ってるのか?


 こっちに歩いてこようとするジェット嬢が兵士二名に取り押さえられた。


 ジェット嬢が兵士に取り押さえられた?

 なんか、瞬時に殴り飛ばしそうなイメージしかないジェット嬢が兵士に取り押さえられている?

 違和感を感じた次の瞬間、思い出した。


 そうだ! ジェット嬢は義足装着だと歩くのがやっとなんだ。

 その状態では拳は使えない。

 殴打にも脚力は必要なんだ。


「……!!…………!!!……!」


 ジェット嬢がすごい剣幕で何かを叫んでいるが、耳鳴りが止まらず、何を言っているかまで分からない。


 でも、とりあえずジェット嬢を助けねば。

 そう思ってジェット嬢の方に向かう。

 なんかだんだん耳鳴りが収まってきた。

 会場内の音が聞こえだす。


 駆け寄ってジェット嬢のところに到着。

 すると、ジェット嬢は兵士の腕を振り払って俺の腕にしがみついてきた。


「見てたなら早く助けなさいよ!」


 やっと声が聞こえた。

 俺の腕にしがみついたジェット嬢は、素早く俺の背中によじ登り、例の背面背負いおんぶ紐的ハーネスの金具を固定。背中合わせのいつものスタイルになった。


 そして、俺がソレやめてと思う間もなく。


 ガラン ガラン


 俺の背中に張り付いた状態で両脚の義足を落とし、そして、スカートの下半分も落とした。

 王宮の牢獄で見たトラウマ級ヘンテコアクションを今度は俺の背中で再び。

 そのヘンテコギミック付きドレスいつの間に作ったんだよ。


「大窓から背面ダイブ! 緊急途中退場よ!」


 ジェット嬢から謎の指示。

 だけど、お互いのとっさの指示に疑問を出さないのは俺達の暗黙の了解だ。

 言われた通りに俺達が飛び出せそうな大窓に向かうと、国王が叫ぶ。


「待ってくれユーリ!」


 だからユーリって誰だよ。


 大窓に向かう俺達を国王や第二王子や兵士達が追ってくる。

 何この状況?


 バン バン バン バン バン ガン ガン ゴン


 どこからともなく金属コップ噴進弾が会場内に飛来。

 国王と追ってきた兵士の頭にヒット。第二王子の頭にもヒット。


 発射音のした方向を見ると、立食パーティ会場隅のバーのテーブルから、キャスリンが会場内目掛けて風魔法応用による金属コップ噴進弾を乱射していた。


 本当に何この状況?


 キャスリンは俺達を見ると、金属コップを一ダースぐらい重ねたコップタワーを抱えて、それを俺達が向かっている大窓の方に向け一斉射。


 大窓の窓ガラスを窓枠ごと吹っ飛ばした。腕を上げたなキャスリン。

 なんだかわからんが、そこから出ろということか。


 キャスリンの傍にいるメイド服を着た女性が次の金属コップタワーを渡して【次弾装填】。

 それを受け取り引き続き会場内への乱射を続けるキャスリン。

 主に第二王子に命中している。


 撃たれる側の兵士や参加者も、倒したテーブルの陰に隠れて瓶や食器を投げ返して応戦。

 食器や金属コップが飛び交い、あちこちで被弾した兵士や参加者が倒れる阿鼻叫喚あびきょうかんの乱闘パーティ会場。


 キャスリンが窓ガラスを吹っ飛ばした大窓に到着した俺は、カオスな会場に向き直り、半ばヤケクソで常識的な挨拶を一言。


「お先に失礼しまーす!」


 そして、三階の大窓から外に向かって恐怖の背面ダイブ。

 少し落ちたかなと思ったところで、ジェット嬢の魔力推進脚の推力で上昇。脚をたたんで【カッコ悪い飛び方】で会場を後にした。

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