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龍神さまのいるところ  作者: 岡智みみか
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第2話

 そもそも俺は、山本と一緒で、偶然ハクを目撃してしまっただけの、無関係な人間だ。


ちょうどよかったじゃないか、役者がそろったとは、このことだ。


彼女はきっと、本物の荒木さんと出会って、それから……。


「いや、待った」


 立ち上がる。


ハクたちにとって、人間の一生が一瞬のものなんだったとしたら、舞香に乗り移ったハクにとっても、彼女の命は一瞬のものだ。


言ってたじゃないか、白銀の龍も、人の一生は目が回るほど忙しいって。


だとしたらその一瞬を、ハクは舞香として荒木さんと過ごすという選択肢もあるんじゃないのか? 


天上では結ばれなくても、地上では……。


「いや、待て」


 腰を下ろす。


ハクと荒木さんは兄妹だ。


兄と妹だ。


そりゃ神さまの世界はどうだか知らないけど、兄妹で結ばれるってのも、違うんじゃないのか? 


人間になったときのハクの幼い姿が、人間に換算された年齢だとするならば、それはそれで恋愛対象ってのも違う気がする。


「いや、違う」


 立ち上がった。


物の怪に取り憑かれた人間の末路がどうのこのとか、ハクは言っていたじゃないか。


そういうのって、大体あんまよくない話しだよな? 


昔話とかによくある、キガフレルとかいうヤツじゃない? 


そもそも、ハクに体を乗っ取られてしまっているっていう状態は、彼女は彼女としての人生を送れないということになってしまう……。


それは、いいのか?


「いや、だけど……」


 だけど、共にありたいと言っていたのは彼女自身だし、ハクもそれを舞香が望んだって言ってた。


実際の契約というか、約束がどうなってるのかは分からない。


だけどハクだって、そんな悪い奴とも思えない。


だったら、俺がそんな心配するようなことは、ないのかも……。


「そもそも、俺には関係なかったはな……」


「いいから行ってこい」


「どこに! 俺はあの二人の仲に、口出しする権利なんか持ってないから!」


「池の近くでモメてたぞ。荒木さんと」


「は?」


 山本を見下ろす。

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