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龍神さまのいるところ  作者: 岡智みみか
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第4話

「そうだ。だが一向に進展がない」


 舞香の横顔は、真っ直ぐに前を見つめた。


「舞香に任せていてはダメだ。私にはもう時間がない。彼女には悪いが、しばらくこの体を借りることにした」


「そんなことをして、大丈夫なの?」


 ハクはニヤリと微笑む。


「さぁな。時間がかかれば、どうなるかは知らん。物の怪に取り憑かれた人間の末路など、正直私には興味はない。所詮、木々よりも短い命だ。舞香は己の一生を、自分の側にいてほしいと私に懇願した。ならば共にあろうと、約束したのだ。宝玉が見つからなければ、ここに来た意味はない」


「は? ちょっと待て。どういうことだ」


「お前が協力する気がないのなら、それでもいい。私の邪魔をするな。これからは舞香ではなく、自らで探しだす」


 校舎の陰から、荒木さんが現れた。


その姿に、彼女の視線は釘付けになる。


「これは仕方のないことだ。もう撮影はいいのか? いいのなら私は行くぞ」


「待って」


 立ち上がろうとした彼女の腕を、咄嗟に掴んでしまった。


「まだ何にも撮影していないじゃないか。おごらせるだけおごらせておいて、そのまま行くのか?」


「ならば早くすませろ」


 荒木さんは俺たちの目の前に立つ。


「いちゃついているところを申し訳ないのだが……」


「いちゃついてません」


 彼女はじっと彼を見つめたままだ。


「出来るだけ早く、舞香を解放してほしい。編集の終わった動画チェックは、こっちで終わらせた。細かいところを直して、審査会本部へ送らなくてはならない。その他にも色々とある。コイツはマネージャーとして、うちに必要だ」


「分かってますよ」


「宝玉を探しているのだ」


 舞香になったハクが言う。


荒木さんは彼女をじっと見下ろす。


「それがどうした。……。俺は、協力したはずだ。もうこれ以上は知らん」


 彼の視線は、舞香から俺に移る。


「さっさと撮影を済ませて、舞香を返せ。……。別に、お前から奪おうってワケじゃないんだから、いいだろ」


 だから、それは……。


顔が真っ赤になっているのは分かるけど、自分ではどうにもならない。


まったくこの生体機能はどうにかしてくれ。


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