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龍神さまのいるところ  作者: 岡智みみか
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第2話

「そんなこと言われて、困ってたのは圭吾の方だったのに」


「なにが?」


「私とのこと」


「あぁ、それは別に……」


 いや、だからそうじゃなくって……。


「えっと、ハクの話しに戻そうか」


「うん。そうだね」


 ハッキリ言われる。


なんだか余計にしゃべり辛くなった。


終点のコンビニの灯りが、いつも以上に眩しい。


この坂、いつの間にこんなに短くなった?


「荒木さんは、どこまで知ってるの?」


「ほぼ全部。ハクが宝玉探すのを、何だかんだで手伝ってくれてる」


「進み具合は?」


「うん、全く。神社にご神体として奉納されてた宝玉は、その後地元武士の家宝にされてて、この辺りの土地をもらう代わりに、それを城の殿様に差し出したってところまでは分かった」


 宝玉と土地の交換か。


人間ってやっぱりニンゲンだな。


「宝玉って、ニンゲンに御利益はないの?」


「人に使えるものではないらしい」


「あぁ、そういうことね」


 ただ綺麗なだけで無価値な石なら、そりゃ土地の方がいいよな。


「で、その後は?」


「写真が残ってた」


「マジで?」


 スマホを取り出す。


彼女の見せてくれた画像は、古い紙の資料を撮影したものだった。


古びた木製の棚に張ったガラスが、フラッシュで反射している。


厚みのある小さな座布団に鎮座したそれは、俺の握りこぶしより少し大きくしたくらいのサイズだ。


見た目は虹色の光りを放つ透明な石で、よくある占い師の水晶玉のようだった。


「何かの雑誌に載ってたやつの、写真の写真?」


「そう。『昔の資料集に、こういう写真が載ってました』ってやつを写した写真」


「いつの資料?」


「戦前だって」


「わーお」


 随分と近づいたけど、まだ遠いな。


「……。戦争で失われた?」


「その可能性はないって、ハクが言ってた。そう簡単に壊されるものじゃないからって」


 資料の資料画像によると、戦前に建てられていたお城の、歴史資料館に飾られていたらしいけど、その資料館自身は、戦火によりお城と共に消失してしまったらしい。


「じゃあその後の行方は……」


「謎のまま。焼け跡に残ってるか、持ち出されてしまったのか……。もし、持ち出されたのなら、もうどこへ行ったのか分からないよね」


「全国の水晶玉を検索する?」


「売買サイトに上がらない個人所有のは、探しようがないって部長が……」


 ここまでか。

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