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龍神さまのいるところ  作者: 岡智みみか
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第5話

「お前も頼めばよかっただろ」


「やだよ」


「なんで」


 みゆきはフンと鼻をならした。


「撮れた画像のモデルがいいって言われるの、なんかムカつくから。やっぱ腕をみてもらいたいじゃない? そりゃいいモデル使う方がいいっていうのは、間違いないんだけどさ」


 みゆきはふてくされたような顔で言った。


「それに、希先輩も頼まないっていうから……」


「そうなの?」


 意外だな。


あの人は誰よりもそれを望んでいただろうに……。


「遠くからならいいんだけど、恥ずかしいんだって。つーか、去年希先輩がモデル頼んだ時も断ったって話しだから、本当は目立つのあんまり好きじゃないのかもね」


 そう言ったみゆきを見上げる。


「あぁ、なるほど」


 そういう解釈の仕方もあるのか。


「ちょっと意外だよね。『俺は誰のものにもならない』ってタイプなのに」


「なんだそれ」


 そんな雰囲気あるか?


「きっと圭吾には分からんよ」


「あっそ」


 そんな情報を仕入れたところで、どうしようもない。


遠くから見ているだけの俺には、それ以上近づけないことを知っている。


「ま、私の場合はそれだけじゃないけど……」


「撮影に行ってくる」


 ホワイトボードの行き先を「校内」に動かす。


賑やかになってきた部室を抜けだした。


人物の方が人気高いって、そんなのは知ってる。


だけど撮りたくないものは撮りたくないのだから、仕方がない。


 放課後の校庭というのは、特別な時間だと思う。


日中の学校がタテマエだとしたら、こっちはホンネみたいだ。


部活棟付近に設置された原生林脇のベンチに、舞香とハクが座っている。


ここからはあの池も近い。


俺が近寄ると、ハクはとぐろを巻いたまま片目を開けた。


今日は体が透けていない。

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